(『人間革命』第10巻より編集)
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〈脈動〉 12
戸田は、それから、御本尊に、なぜ無量の力があるかを説き、彼自らの絶大な功徳の体験を語った。
そして、凡夫そのままで、十分に幸福になり得ることを述べ、中小、零細の事業、商売に携わる人々の多いことを、念頭に浮かべながら話を続けた。
「真剣に信心に励み、折伏をしていけば、幸せになることは、間違いない。しかし、人間として、ずるいところがあると駄目です。
商売人には、ずるい人も多いが、ずるいのは立派な商売人になれないし、幸せにもなれません。
だから、信心をちゃんとやっているか、折伏をやっているか、ずるくないか、これだで覚えておけば、指導はちゃんとできるんです。これで、貧乏するわけはないことになる」
戸田は、ここでユーモアを交えながら、にっこりして話を続けた。
「今、日本に何千億という金が回っている。こちらに福運がついてくれば、千円札が入る穴があれば、ちゃんと入ってくるだろう。
朝晩の勤行をきちんとやればよい。原料は、ロウソクと線香ぐらいのものです。
私が、大阪に月に二回来ると決意した理由は、大阪の人たちを金持ちにしてあげようと思ったからです。
大阪は信心が浅い、指導が足りない。それで、しっかり御本尊を拝んで、功徳を受けてもらいたいと通っているんです。
がっちり信心して、皆、金を儲けてください」
彼は、信心の実践たる「行」について、単純化されるだけ単純化して、大阪の幹部がどんな初信者に話しても分かるように語って終わった。
冬枯れの、夕刻の中之島公園は、堂島川と土佐堀川に挟まれて、凍てつくような川風に吹きさらされていたが、外に出た参加者は、寒風も、ほてった頬には心地よかった。
今年も大変にお世話になりました。来年は、一月三日から、またよろしくお願いいたします。どうぞ、よいお年を!