# 38 孤独な木 | 吉岡 暁 WEBエッセイ ③ ラストダンス

吉岡 暁 WEBエッセイ ③ ラストダンス

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WEBエッセイ、第3回

                       

 

ウィンストン・チャーチルが言ったという箴言らしき言葉がある。

”Solitary trees, if they grow at all, grow strong.” 

君はどうせ原文を読むのを面倒くさがるだろうから、意訳しておく。

 

    孤独な木は、曲がりなりにも育ってしまうと、一際強靭な木となる。

 

若い君が、竹の様にすくすく真っ直ぐとは行かず、曲がりくねって育ったとしよう。

土壌は痩せ、日差しは悪く、風も通らない場所に芽を吹いた不運があったとしても、とにもかくにも育ち切ったとしよう。

心はでこぼこの節だらけ、瘤だらけ。

周囲を見渡しても、一本の同類も見当たらず、決して人には見せない内なる孤独を持病のように抱えて生きてきたとしよう。

 

怖れるな。

君のでこぼこした節や瘤の一つ一つが、君の自覚する以上に君を強くしている。大抵のすくすく真っ直ぐに育った木よりも遥かに強い。

君のでこぼこした節や瘤の一つ一つが、やがて大きな樹影を造り、木漏れ日や雨滴や風のそよぎを誘い入れて、新芽や若木を守り育てる。守らねばならない者を守り育てて行くうちに、君はもっともっと強くなる。

 

喜べ。

節や瘤だらけだった君の見事な勝利だ。

 

                                                                               (2023.04.09)

 

 

 

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