米崎地検の検事・佐方貞人の事務官を務める増田陽二。
高校時代の柔道部の恩師の告別式で、旧友の伊達と再会し
た増田は、マネージャーだった木戸と3人でその夜旧交を
温める。増田にとって、伊達は柔道をやめずに済んだ恩人
であり、ヒーローだった。だが、大阪で警察官になったと
いう伊達には、ある秘密があった‥(「ヒーロー」)。
シリーズスピンオフ作品をはじめ多ジャンル作を集めた、
著者初のオムニバス短編集。 ー裏表紙よりー
11編の短編集。
本当にバラエティーに富んだ作品集です。
佐方貞人のシリーズが好きなので佐方貞人がすべての作品
に絡んでいるのかと思っていましたが、佐方が出てきたの
は「ヒーロー」だけでした。
これは意外と地味なお話でした。
表題作の「チョウセンアサガオの咲く夏」は母をひとりで
介護する娘のお話です。
介護しながら孤独を感じている娘・三津子がどうやってガ
ス抜きしているかという結末に戦慄を覚えました。
一番面白かったのは「初孫」です。
畑中啓一は子どもが授かりにくい体質だったのですが、不
妊治療を始めて1年後に子どもを授かります。
しかし畑中は血液型から子どもと自分の親子関係に疑惑を
持ち、大学で遺伝子工学の研究をしている友人の藤堂に親
子鑑定を依頼します。
その結果が驚愕。
え、え、えとなりました。
10ページほどの短編なのですが衝撃が大きすぎる。
ネタバレになるのでこれ以上書けませんが、このあと畑中
はどうするのだろう?とこの後の展開が気になりました。
★★