神曲 | チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

 

 小鳥店を営む檀野家の平穏な日常は、突然終わりを告げた。

 小学生の息子が通り魔に殺されるという凄惨な事件によっ

 てー。「息子さんのために、歌わせてください」悲しみに

 暮れる檀野家に、不思議な合唱隊がやってくる。訝しむ父

 をよそに、母と娘は歌うことで次第に心を取り戻していく

 が‥。                ー裏表紙よりー

 

 

 

 息子が事件に巻き込まれ、家族が崩壊していくというのは

 わりと耳にする話です。

 この小説の家族の場合、娘は父親の連れ子のため母親にと

 っては自分の血の繋がった唯一の子どもが亡くなったこと

 になります。

 娘はこの母親が好きでしたが、自分が生き残り弟が亡くな

 ったことで罪悪感を抱いています。

 そのため母親に逆らえず母親と同じ宗教の道に入っていく。

 父親はそんな妻と娘を取り戻そうと一時はがんばりますが、

 力尽きます。

 大事な人間を失ったとき、その喪失感を何で埋めるのか‥

 それはどんな人間にでも突き付けられる問題です。

 例えば私の場合はそれは「推し」です。

 それが宗教に向かう人もいれば、趣味とか他に愛すべき人

 を探すとかそういうことになるのでしょうか。

 娘の花音には支えになる人が現れ、いい感じで物語も終わ

 るのかと思いきや、ラストは結構壮絶。

 母親は娘を守ったのでしょうが、果たして洗脳から解き放

 たれたのか?

 ラストを読んで小鳥店を営んでいる設定にしたというのは

 考えられていたんだなと思いました。★★