田舎のポルシェ | チャウ子のそれでも本を読むのだ

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チャウ子のごった煮風500字読書日記
 地味に更新中f^_^

 

 

 実家の米を引き取るため、助っ人の車で岐阜から東京へ向か

 うことになった翠。だか待ち合わせ場所に現れたのは軽トラ

 に乗った強面ヤンキー!さらには大型台風が迫りー。往復1

 000キロ、波乱だらけの強行軍を描いた表題作ほか、それ

 ぞれ秘めた思いを抱いた人々の哀歓を旅のスリルに乗せて届

 ける珠玉の作品集。           ー裏表紙よりー

 

 

 3編の中編小説集。

 表題作の「田舎のポルシェ」。

 翠の元に坊主頭の瀬沼という男が現れます。喉元から金の鎖

 が覗いていて、街で見かけたら関わり合いになりたくない類

 の男です。

 ただ、礼儀正しく翠に対してもきちんと敬語で接します(ま

 あ途中から連れのような言葉遣いになりますが)。

 この瀬沼と1000キロのドライブをする翠ですが、最初は

 風貌のこともあり瀬沼を警戒していましたが、段々瀬沼の人

 となりがわかってきます。

 あおり運転に遭い翠がいちゃもんを付けられたときもちゃん

 と翠を守ってくれたし、重い米を運んでくれたりなかなか男

 気溢れる男です。

 途中である事件が起こり、それにより翠と瀬沼は職務質問を

 受け警察に連れて行かれます。

 ここで私は、え、瀬沼ってやっぱりヤバい奴だったのか?と

 思ってしまいました。裏切られたーという思いになりました。

 これは誤解だとわかりやっぱり瀬沼かっこいいじゃんと思っ

 てしまいました。

 瀬沼は結婚にも失敗していますし、そんなに頭がキレるタイ

 プの男でもありませんが、私はすごく好きなタイプ(笑)。

 惚れてしまいました。

 3編目の「ロケバスアリア」。

 これはコロナ禍でのお話です。

 春江は未亡人。歌を歌うのが趣味です。コロナ禍の緊急事態

 宣言で、ある音楽ホールが格安で借りれることになり、その

 ホールに車で孫の大輝とディレクターの神宮寺という男と一

 緒に向かいます。DVDに録画して無事終了となるところがそ

 のホールで事故が起こり翌日取り直すことに。

 春江と神宮寺の古希コンビのなんとも言えない会話が胸に刺

 さります。同じ時代を生きてきて何の接点もないけれど、そ

 れでもなんとなく阿吽の呼吸があるという感じがしました。

 春江は翌月7桁の大金が入るという文言が途中出てくるので

 すが、ラストにそれが何かが判明します。そういうことだっ

 たのかと胸にきました。

 ラストの「運命を嘆いてなどいられない。神仏を恨んだとこ

 ろで何になるだろう。今日を楽しみ、歌い、食べて、飲んで、

 働き、人生を愛する。命の尽きるその日まで」この文章にち

 ょっと涙してしまった私です。★★★

 

 

 

 

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