検事・佐方貞人シリーズの第4弾。
4編の短編集です。
1編目の被告人は被害者の非嫡出子。
腕時計を盗んだのではないかとの疑いを掛けられますが、
この件に関しては無罪。
しかし、新たな疑問が出てきます。
それに腕時計を盗んだ件に関しても本来であれば
起訴されなくて済んだものを何故か被告人は
そういうそぶりを見せなかったことに佐方は疑問を抱きます。
4編目は認知症の母を殺害した息子のお話。
介護に疲れて計画的に殺害したのだという息子の供述に
矛盾を感じる佐方。
事務官の増田は息子の身勝手な犯行だと考えていますが、
いろいろな証言を集めた結果、また違った展開が見えてきます。
介護殺人に関していえばいくら小説とはいえ、
身につまされるものがあります。
何もわからなくなった親に振り回され、我慢が限界に達し‥と
いうのもよくわかるのですが、
親子ってそんな単純なものでもないなとも思うわけです。
と、いっても追い詰められれば正常な判断ができなくなることも
あるとは思いますが。
佐方の自分の信義を守るという言葉は重いですね。★★