神の子(下) (光文社文庫) 950円 Amazon |
町田博史は少年院の教官・内藤の親友の前原製作所
で働きながら大学に通っています。
大学で起業話が持ち上がり、それに博史も加わることに
なります。
しかし、室井はやはり博史を諦めきれず、いろんな手を使い、
博史の動向を探っています。
前半は室井の一味の雨宮などの動きに焦点が当てられています。
第三章からは博史と大学の仲間、為井たちが起こした会社の
事情などにも話がつながっていきます。
内藤は、室井の組織の実態を暴きたいと行動を起こし、
前原製作所の娘の楓と情報交換をします。
薬丸さんの話は少年犯罪のテーマが多く、
どちらかというと物語全般が重く、暗いイメージでした。
「神の子」も入りはそういう感じだったのですが、
段々と博史たちの起業によって、希望が見えてくるという
話になっていきます。
室井の組織の解明にワクワクし、誰が味方で、誰が敵なのか
というのも興味を惹かれましたし、最後は私にとっては
少し意外な感じがしました。
が、それよりもヒューマニズムをテーマにした物語に
なっていて、読んでいても暗さや重さより、
明るい気分になっていく気がしました。
弱者に対する温かい視点も感じられましたし、
面白かったし、よかった、ホッとしたという気分です★★★