考える道具を考える -73ページ目

考える道具を考える

The instrument which I think

安延山 承福禅寺住職の埜村要道禅師は「やすらぎの禅語」(廣済堂出版刊)という本を出版されている。埜村禅師はまた、自らのホームページを持っている。

私は時々、埜村禅師の禅語に親しみたくて、このホームページを訪れる。

様々な禅の言葉の中で、私が一番好きなのが「知足」である。京都竜安寺に残された「吾唯足知」という言葉として有名であるが、利休が茶の湯の心として残した言葉(南方録)としても知られている。

そして、埜村禅師の居る承福禅寺の伝道掲示板に禅師が好んで掲げる言葉が、知足の心、すなわち以下の言葉です。

  貧乏とは何も持っていない人のことでなく、
  多くを持ちながら
  まだまだ欲しい欲しいと
  満足できない人のことである

知足‥すなわち足るを知るという言葉の裏側にある人間の欲を戒めた言葉でしょう。

自利利他の精神‥私は、宗教者ではないので、こうした清貧の生き方を目指しているわけではありませんが、実はビジネスそのものは、こうした「自利利他の精神」こそが大切なのだと考えているのですね。

今年も、この精神で、自分のビジネスを求めていきたいと思っています。


考える道具を考える-談春
1月2日、NHKの深夜0時より5時間に亙って放映された「今日はまるごと談志の日」を観た。朝の5時まで。

この番組はBSで放映された10時間に亙る談志さんの番組を5時間に短縮しての再放送だった。

このナレーションをしていたのが談春さんだ。(明日のTBS情熱大陸で特集される予定‥楽しみ)

そして2008年度の講談社エッセイ賞を受賞し話題を呼んだのが、談春さんが書いた「赤めだか」(扶桑社 2008年4月初版刊)だ。立川談志さんのもとに弟子に入り、前座と呼ばれる修行時代のことを描いたのがこのエッセイ集で、噺家の世界の修行時代の体験が実に目に浮かぶように描かれている。

特に、談志さんの弟子である。
天才の名を欲しいままにし、またその発言で様々な物議を起し続けている談志さんの厳しいが実に優しい指導の模様が、弟子の眼線からスケッチされている。

   ‥‥いいか、落語を語るのに必要なのは、リズムとメロディだ。それが基本だ。

最初の言葉の書き写しの中にあった言葉でした。

偏屈の談志さんが、実は弟子の指導は実に懇切丁寧で、優しいというのも有名な話。最初は、モノマネ。話を覚え、真似をしていくことを教える。高座に上がってからの座り方、お辞儀の仕方、体を起した後の視線の置き方、座布団と扇子の置く位置と、その意味‥‥。

うーん、自分が弟子になった気分で、談志さんの教えを受けている気分になる名文で綴られるのが、本エッセイですね。

立川流の志の輔さん、志らくさんが大好きな私は、改めて談春さんの書き言葉の中に、落語の楽しさを学んだのでした。NHKに出ていた談志さんの本質は、「伝統を現代に生かす」だったでしょうか? 落語の御話の世界を現代的に解釈し、その場の雰囲気、空気を読んで一回きりの話をする。

変化を恐れない立川流の落語を、今年も楽しんでいきたいと思います。
談春さんありがとう。


新年のNHKスペシャルで「2009 世界はどこへ向かうのか 日本はどう向き合うのか」という番組が放映された。小泉改革の頭脳として活躍した竹中平蔵慶応大学教授、八代尚弘国際基督教大学教授(内閣府経済財政諮問会議議員)、勝間和代さんら論客が参加し、日本の経済金融政策や労働政策について議論した。

久々の本格的な議論に思えた。経済論や労働論の全てが、日本の高度経済成長を支えた時代に出来上がったシステムとして機能していること、時代の変化に対応しきれていないという指摘だったように思える。

改革するとは、成功したシステムを時代の変化、特に国際社会の中の日本という位置づけで見た上でまさにチェンジ!変革できるのか?という問いだったように思えましたね。成功体験を否定するのは難しい。国際化の波の中で、日本だけ関係ないとはいえないのも事実なのですね。

‥‥

国際化。
そういえば、元旦恒例の第53回全日本実業団駅伝を観ていてふと思った。
主にケニア選手が数多く所属する実業団駅伝チームですが、今年は、外国人の登録が2区約8キロのコースに限定されたことですね。ケニアの選手の群を抜く脚力と日本選手との差が大きすぎるので、第一区から大きな差ができてしまうとつまらなくなるとでもいうのでしょうか?(高校駅伝も一区から排除された)結局、富士通、日清食品グループ、旭化成の三チームの団子の戦いになってしまったのですね。

高校でも大学でも、日本の伝統の駅伝にどんどんケニアの選手が参加するのは、とても刺激的。もっと多様な国々の選手が参加するほうがレベルも上がるし、楽しいはずなのに、このような「規制」をすることに何の意味があるのか? 

‥‥

話は変わって、私の友人の一人がテレビのニュース番組を制作している。
この年末年始は静岡などに詰めているという話をきいた。工場での派遣労働者切りの実態を取材しているそうだ。特に、ブラジルからの労働者が多いこの地域。今回のリストラで最初に契約解除されたのがブラジルなどの海外から来た労働者たちなのだそうです。

国際化‥をテレビで議論した最中に、国際化とはまったくかけ離れた現象が、スポーツでも、仕事でも、様々な場面で発生していることを、どう考えたらいいのでしょうか?


そして自分の今年。
実は、こうした四方山話をテレビの向こうに見ながら、
朝から美酒に酔っている自分がいるのも、また事実なのですね。