2008年の確定給付企業年金と確定拠出年金の動向
明暗を分ける確定給付企業年金と確定拠出年金
企業年金連合会「企業年金の現況と中小企業退職金共済事業本部から企業年金に関する数値発表があったので、2008年の確定給付企業年金と確定拠出年金の動向を確認しよう。
適格退職年金制度終了(2012年3月)後の受け皿の制度として、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済があることは以前述べた通りである。
ここ1年程度の動向を見てみたい。
確定拠出年金の普及ペースは鈍化
企業型確定拠出年金は、2008年11月末で2,893件、2008年4月末で規約数は2,725件であり168件、6%増にとどまっており、普及ペースはにぶい。
加入者数は約306万人である(2008年10月末現在)。
自分は最近、確定拠出年金(DC)の使い勝手の良さから、以前の認識を変え、確定拠出年金(DC)は評価しているが、世の中の動きは、その普及が鈍ってきているようだ。
また適格退職年金から中小企業退職金共済制度に資産が移換された件数は、2008年12月末で15,933事業所、移管された加入者数は約45万人である。
確定給付企業年金は半年で23%増
それに対して、適格退職年金の受け皿として急増しているのは、確定給付企業年金(DB)である。
2009年1月時点で4,617件、2008年7月では3,749件、2008年3月1日では3,099件であったが、ここ半年で868件増、23%も増えている。
そのうち、代行返上によって厚生年金基金から確定給付企業年金に切り替わった件数は806件であるが、それ以外は適格退職年金からの移行などである。
確定給付企業年金が普及し始めた当初は、厚生年金基金からの切り替えがほとんどであったが、いまや、基金母体以外の確定給付企業年金が大部分を占めるようになった。
それは基金型の確定給付企業年金は610件なのに対して、規約型が4,007件と多いことからも分かる。
なお、加入者数は2008年3月現在で506万人である。
確定給付企業年金(DB)は適格退職年金移管の大本命と目している向きもあるので、ようやく本領発揮というところだろうか。
適格退職年金の2008年度末の最新状況
企業年金大改革の年であった2001年には確定拠出年金法と2002年の確定給付企業年金法の施行、厚生年金基金の代行返上の開始があり、その後7年が経過しようとしている。
適格退職年金の残存可能期間もわずか3年に迫っている。
2012年3月で制度が終了することが決まっている適格退職年金は、最盛期は92,467件だったが、2008年3月末時点では32,826件(2007年3月末では38,885件、2006年3月末では45,090件、2005年3月末では52,761件、2004年3月末では59,162件)と、最盛期の半分以下まで減少している。
また1,078万人だった加入者数も、現在は443万人とやはり半分以下に減少している。
それでもまだ、それだけ残っているのである。
移管に要するシミュレーション、退職金規程や就業規則変更等を考慮すると、残された期間は、あと2年だろう。
もはや待ったなしの状況に違いは無い。
繰り返しになるが、大事なことは、自社の人事戦略・雇用戦略にマッチした退職金制度を作成し、それに見合う商品を選択することである。
税制適格退職年金における勘違い
こんな勘違いしていませんか?
運用のマイナスは保険会社が負担する?
適年の実態は資産運用です。それも受託会社任せです。
ほとんどの適格年金の予定利率は5.5%ですが、実際の運用利回りは1.00%くらいなもんです。
手数料(保険事務費や付加保険料などといいます)の額が収益よりも多くなり、実際は赤字になっている年金資産もあります。
その実態を具体的な数字で把握できていますでしょうか?
生命保険会社は運用のマイナスの責任をかぶってくれるわけではありません。
あくまで企業年金におけるマイナスは自己負担、自己責任なのです。
5.5%で運用できなければ、退職金や年金の額が下がるのでしょうか?
そうではありません。
その運用マイナスの部分については、未だ現役で働いている方のために準備しなければならない資産が減るだけのことです。
退職者の方の分として用意されている資産が一時金に満たなくとも正規の退職金が適年から支払われます。
その不足額は保険会社が負担するわけではありません。
未だ現役で働いている方のために準備しなければならない資産が減るだけのことです。
公的年金と同様に、適格年金は後世代負担の構造となっています。
適格年金は保険商品?
中小・中堅企業の適格年金の大半は生命保険会社が受託しています。
従って毎月保険料という名目でお金を払っています。
一番多い勘違いは、適格年金を単に保険と思っていらっしゃる経営者の方が案外いらっしゃるということです。
中には生保会社の保険には入っているが適年には加入していないという勘違いのお客様もいらっしゃいました。
単なる保険ではないという意味は、適格年金は労働基準監督署に届けた「退職金規程」や「退職年金規程」と必ずセットになっており、税務署にも届出を出しているということです。
適格年金への加入権利義務の関係で言えば、会社の退職金債務を就業規則で明らかにしているということです。
退職金債務の恐ろしさ
適格年金を解約しても就業規則であるそれら規程を廃止しない限り退職金の債務から逃げることは出来ません。
そして単なる廃止は不利益変更となり決して認められることはありません。
厚生労働省HPで適格退職年金の移行促進の公告
厚生労働省のHPにおいて、税制適格退職年金の移行を促進する公告がされました。
参考までに転載させていただきます。
厚生労働省の適格退職年金移行促進の公告
気になる企業様は、実際の厚生労働省ホームページで確認をお願いします。
(以下転載分)
適格退職年金の移行促進について
適格退職年金制度は、平成24年(2012年)4月1日以降は税制上の優遇措置を受けられなくなります。
適格退職年金制度の廃止まで3年を残すのみとなった現在、いまだに廃止決定時の約半数となる3万件強(平成20年3月末現在)の適格退職年金契約が残ったままとなっています。
引き続き税制上の優遇措置を受けるためには、確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度、厚生年金基金制度、中小企業退職金共済制度といった企業年金制度等に移行する必要があります。
企業年金制度等は、より豊かな老後生活に備えることを目的とするものであり、なかでも、確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度は、従業員の年金受給権を保護するため、積立基準等を明確にしているという点で適格退職年金制度に比べよりよい制度となっています。
適格退職年金制度から企業年金制度等へ移行し、引き続き制度を存続させることは、従業員の老後の所得保障等に資するものとなります。
適格退職年金から他の企業年金制度への移行手続には1年ほどかかります。
そのため、移行を検討されている場合は、早めの手続をお願いいたします。