※このブログの続きになります。
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路上でキスだけして別れた1週間後、

彼からメッセージが来た。


“今日は何してる?”


 今日はちょうど展示を見に行く予定でした。

お茶でもします?”


“いいね、場所は◯◯でどうかな?”


“はい、行きます”



当日のメッセージで会うのは珍しい。


急いで身支度を整えた。

待ち合わせの駅に着くと、

改札にがいた。


普段は離れて歩くのに、並んで歩こうとする彼。

このエリアは、人通りが多い分、

いつどこで誰に出会うかわからない。

だいいち、彼の職場も近いはずだ。

そのことを彼に言う。


「今はみんなテレワークになってて、

職場に来る人もいないから大丈夫だよ」


「え、でも誰かに見られると悪いから、

一応離れて歩きましょう」


「ふふっ心配症だね。大丈夫だよ。

今日はデイユースもできるホテル行きましょう」


ホテルに入る。


チェックインが普通のホテルと同じ形態だ。

少し離れて彼を待つ。


エレベーターの中で、

「ここに来たことありましたっけ?」と質問した。

「うん


は、本当はと来たことがあるのを覚えていた。

1年前の夏だった。

その時に初めてスローセックスを体験して、

彼の身体の虜になった感覚がはっきり分かった。




その時は、快感が大きすぎて、

会った翌日にもすぐまた会いたいと

連絡してしまったのだ。


は一旦は了承したものの、

海外出張直前だからという理由で

続けては会えなかったが。


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翡翠に似た色のアクセサリーを身につけたその人に


“それは翡翠?”と聞いた。


“そんな高いもの買えません。これは樹脂ですよ。”


寺山修司のヒスイという詩のようなやりとりだ。


“ヒスイっていう歌があって、それを連想しました。”



するとその人は


その歌のサビのパッセージを、ごく自然に歌った。


よく通るテノールだ。


バーの個室の暗い壁に、その声が心地よく反響した。




つい一瞬前までは、グラス片手に、

アプリコットと洋梨のアロマが〜〜と言いながら

ウイスキーを飲んでいたのに。


わたしは目を丸くした。


“え、どうして?”


寺山修司が大好きで、

若い頃に彼の詩をほとんど暗記したと言った。

そういうことが、ごく当たり前であるかのように。

そして、いっとき歌をやっていたとも言った。


目をぱちくりさせていると、

続けて、その歌の中で繰り返されるフレーズを

歌った。


他者からの賛辞など眼中に無い、

さらっとやって普通以上にできてしまう人の態度で。


その後は何事もなかったように


照明をギリギリまで落とした個室のソファで


雑談をしたり、思いおもいのタイミングで


スマートフォンをいじったりした。


ふいに、『自由』ってなんだろうね、

という話になった。


たくさんのことは話さなかった。


僕が持っている自由をあなたは持っていないし


あなたが持っている自由を僕は持っていない


その人が言っていたこのフレーズが、

とても印象的で、頭にこびりついた。


彼と路上でキスそして別れた後、

クラフト作家の作品を展示販売しているビルに入った。

作品を見ながらさっきのキスを思いだしていた。

今ごろになって胸がザワザワしてきた。

身体も熱くなっていたようだ。


メッセージアプリに、何かを書こうと思った。


“カフェでプレゼン資料を見せてもらいながら、

今までのキャリアを凝縮してるような話を聞いて、

ますます好きになってしまいましたが本音だったが、

そんなことを書いたら調子に乗らせてしまう。


クラフト作品が展示されているフロアを歩きながら

なんと書こうかあれこれ逡巡した挙句、

いつも通りの無難な内容を書くことにした。


“今日はお会いできて楽しかったです。

今までの興味分野をずっと継続してきて、

現在のキャリアを形成しているんだなと思いました。

次に何をされるのか楽しみにしています。”と書いた。

これでは年賀状の挨拶みたいかな?と思い

“それと、キスがすごく甘くて柔らかかったです…”と付け足した。


うん、少しだけど会えてよかった。

ああいうキス、逆に新鮮だったね。

最後まで行けない感じが。”


“今日お会いしたエリア、

もともと好きな場所だったんですよ。

ギャラリーやクラフトものを見る場所という認識で。そこに今日の思い出が加わりました。”


そのあと、クラフト作家が作ったアクセサリーが

とても気に入ったので購入した。

めったにアクセサリーを買わないのだが、

この日の汗ばむような気温を下げてくれるような

涼しげなアクセサリーだった。


そのあと何度か、

『彼に会ったあと

このクラフトショップでアクセサリーを買う』

ということを繰り返した。


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