「人がいますよ…?」


「ふふっ、大丈夫だよ。

そういえば、なんだかtefeさんの唇甘いね」


「今日、甘い味付きのリップを塗ってきたから。」


、と、焦ったように、指で唇を拭こうとする彼。


は、自分のハンカチでの唇を

しっかりこすって拭いた。


「これで大丈夫。」


「赤くない?

講演会で話すから、口紅が付いてたらまずいな。」


ジッとの唇を見て、大丈夫ですよと答える。


自分からキスをしてきたくせに焦る様子が可愛かった。


「本当にもう… 相変わらずラテン系ですね。

どうしてそんなに

日本人らしからぬ事ばかりするんですか?」


照れ隠しでそんな事を言いながら、

は少し早足で大通り方面に向かった。

はゆっくりついてくる。


最後の別れ際、彼は本当に申し訳なさそうな表情で、“今日は振り回してごめんね”と言った。


「いえ、会えて良かったです。

講演頑張ってくださいね。」


“今度またゆっくり会いましょう”と言う彼に、

は肯定的な眼差しを向けて曖昧にうなづき、

それ以外彼を引き止めないよう、

もう行ってください、というように、

が進むべき道に向かうよう

手のひらを上に向けて、誘導するような仕草をした。


私は、“じゃ、また!”と言って、

を振り切るようにお辞儀をして

大通りを駅の方へ歩き出した。


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私は、大通りに行きあたったので

今度こそお別れだと思ったのに、

彼はまた方向転換をして、

さっき通った道を引き返した。


そして、いそいそと先ほどハグをした場所に入り、

くるっと向きをかえた。

後ろからついてきた私と、

正面から向かい合う格好になった。


彼は、待ちきれなかったというような感じで、無言で

両腕を広げて顔を近づけてきた。


お互いマスクをして歩いていたのだが、

いつの間にか彼のマスクは唇を覆っていなかった。


私は一瞬戸惑ったが、抗えない何かに

引き寄せられて彼の脇腹から腰に両腕を回し、

顔を近づけた。


至近距離で目と目が合う。


マスクをしっぱなしだったことに気づき、

自分で下に引き下げた。


唇が重なる。


木製の、スリット状のフェンスの物陰に

なっているとはいえ、路上に面している場所で

キスをするなど想定外だった。


一瞬で終わるかと思ったが、

生暖かくてスベスベでフィット感が良い

の唇が吸い付くようで、

思いのほか長い間、唇を重ね舌を絡ませていた。


暑い日でお互い汗をかいていたが、

そんな事は気にならないくらいの

蕩けそうなキスだった。


キスしている間は、頭の中がパーッと白くなって、

周囲の事は目に入らなかった。

ひとしきりして、身を離した。

数メートル先にサラリーマンがいて、

こちらを見ている気がした。


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その場を早く納めたくて、

私は、子どもをなだめるように

“はい、じゃあギュッてしましょうね”と言って

彼ににハグをした。


彼は私の耳元で、

“今日は激しく抱いてあげたかったのにゴメンね”と

囁いた。

は照れ笑いをして、

“もう、なに言ってるんですか”と言って

彼から身体を離した。


木製のスリット状のフェンスで

なんとなく隔てられているとはいえ、

道路に面した場所でハグしてイチャイチャする事が

いたたまれなくて、

私はフェンスのかげから道路に出た。


一方のは、明らかにハグより先を

望んでいる感じで、

細い路地がある方に迷わず進んでいく。


「…猫みたいですね。」

「ふふっ」


さっきの通りより更に細い路地を進むと、

暗がりになっているかと思いきや

隠れ家風の料理店があって人が出入りしていた。


彼はくるっと方向転換をして、

が目指していた大通りの方に向かい出した。


それでも、注意深く、

物陰になっている場所を確認しながら進んでいた。


半地下になっている階段、

ビルとビルの隙間の暗がりなど。


ほんと、行動が野良猫みたい」


彼は、ニヤリとした顔を見せただけで

なにかに急かされているように歩く。


一見薄暗がりになっていそうな場所なのに

近寄ってみるとどこも人目につきやすいという場所を

何ヶ所も通り過ぎて、いよいよ大通りに着いた。


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