セックス後のベッドの上で、
彼は延々と、仕事のことや家族のこと、
将来のことや人類の未来(?)のことなどを語っていた。
よく話すなぁ…と思って聞いていた。
ーーー
「そろそろ行こうか。」
ようやく話が終わった。
私が先にシャワーを浴びて出てくる。
部屋の机の上に、セックス前に外して置いた
私のネックレスと彼の財布、スマホが並んでいた。
そういえば、彼はセックス前にシャワーを浴びる時、私が洗面台に置いておいた髪飾りを見ただろうか?
前回、お茶をした後に路上でキスをされ、
その感触にドキドキしたままクラフトショップで
見つけて買ったものだ。
彼に指摘されたら、どういう経緯で買ったのか
言おうと思ったが、特になにも言われなかったので
こちらからは言わなかった。
シャワーを浴びたあと、
すぐにホテルを出るのかと思ったら、
彼はシャワーを浴びて着替えた後に、
今度はソファに座って話を始めた。
向かい合った状態で、また仕事の話。
コロナの影響で海外赴任が保留になっているから
転職を考えていて、
実は転職活動もやっているんだ、と。
転職候補作での、転職後のイメージ、
今までやってきた仕事と転職先のイメージが
重なっている事を示唆するようなエピソードなど。
その話を聞いていると、
確かに彼は転職をした方が自然だと思えた。
「ローン返済のためには、今の職場の方が
いいんじゃないかと奥さんに言われます」
さっきも聞いた話を繰り返した。
そして、私が聞いてもいないのに、
今の職場での収入額を私に言った。
思ったより多かった。
(自慢しているのだろうか?)
内心驚いたが、“そうなんですね”と言って
さらっと流した。
次の職場でやりたいこと
求められるスキルや経験、語学力なども、
彼にぴったりだと思えるポストだった。
「それ、作ってもらったポストですか?」と
冗談で聞いた。
「いやいや、そうじゃないよ。」
彼も笑う。
「収入のためとか、肩書きのために仕事を選ぶ人が
多いと思うけど、仮に収入が下がったとしても
転職しそう。そういうのかっこいいですね。」
「うん、やっぱりさ、人生1度きりだし、
本気でやりたいと思えることに挑戦したいよね。
おこがましいけど、イチローとか将棋の藤井みたいになりたい。」
(見えない所ですごい努力してそうですね、と
言いたかったが言わなかった。)
その後も彼は、“自分がやりたい事をできる場所に行きたい”という趣旨の話をしていた。
ひとしきり話して、やっと部屋を出る流れになった。
部屋から出る直前に、私の方からハグを求めた。
ギュってして、と言うと、笑顔で腕を広げてきて
穏やかに抱き合った。
ホテルを出て、エントランスで会釈をして別れた。
私はつい、「じゃあ、また」と言ってしまった。
また、という言葉は言いたくなかったのに。
無意識のうちに唇からこぼれてしまっている。
彼は、素直で自然な笑顔を見せて、
私とは逆方向に去っていった。
帰宅途中の電車の中で、
いつものように挨拶のメッセージを書こうと思ったら彼から先にメッセージが来ていた。
“今日は来てくれてありがとう。
たくさん話せてよかった。”
“楽しかったです。自覚したくないですが、なんだか満たされました。”
“満たされる感覚、僕もだよ”
予想外のメッセージで、少し驚いた。
そこでメッセージのやり取りをやめた。
彼は適当に相槌を打っているだけなんだろうが
なんだかドキッとしてしまったから。
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