『耳をすませば』 | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 ご存じスタジオジブリにより映画化された作品である。監督は近藤善文氏であり、宮崎駿氏はプロデューサーとして参加している。ストーリーは思春期のあのドキドキ感のあるラブストーリーであるのだが、それだけでは終わっていないところが僕がこの作品を好きな理由である。
 ヒロインの月島雫は明るい読書好きの女の子である。雫が一人の男の子と出会うことにより物語は動き出す。その男の子の名前は天沢聖司。中学を卒業したらイタリアに渡ってヴァイオリン職人の修行をしようと決意している男の子である。聖司は祖父と一緒に住んでおり、その祖父はクラシック家具などの修理と販売の店「地球屋」を経営している。友人とモダンジャズの演奏などを楽しむ素敵なおじいさんである。
 雫は将来を悩み、自分に何ができるかと進路を不安に思っている。それに比べ聖司は自分の夢を見据えて着々とその夢に向かって歩いていっている。そんな姿をみた雫は焦り、戸惑い、自分は何をやっているのだろうと悩む。雫は物語を書くことを決心し、一心不乱に取り組む。出来上がった作品を聖司のおじいさんに見てもらうのだが、自分自身でも自分の力のなさを感じてしまう。
 だいたいあらすじはこんな感じなのだが、僕にとって雫がまずやってみようと第一歩を踏み出す。つまり物語を書こうと思い、たとえそれがどんなものであっても最後まで書ききり完成させておじいさんに見せたということに大きな成長を感じるのである。そこで自分の力のなさを感じたならば、その力をつけるような努力をすればいい。夢を達成するためにどんな力をつければ、それに向かって歩いていけるのかというものは、そちらの方向へ向かって歩き出さなければ全く実感できないものであろうと思う。
 このアニメをテレビでやっていたのを大学時代にビデオに撮っておいたことがある。どんな巡り合わせか、次から次へと友達が入れ替わり立ち替わりやってきて一日でこの作品を5回観たことがある。それでも飽きずに自分の気持ちに照らし合わして観ることができた。
 いつからだろう、自分にできることを夢にしようと考えはじめたのは・・・
 いつからだろう、自分のやりたいことを見ないようにしはじめたのは・・・