山の学習での活動の一つに「暗夜行路」がある。目隠しをしてロープを頼りに6・7人のグループでゴールを目指すものである。僕も小学生の時に同じく山の学習で行った。ただただ無我夢中でロープを必死にたどってゴールを目指し、そのゴールでわけもわからぬままアメ玉を口の中に入れられた記憶がある。今回その暗夜行路を目隠しを取った状態でサポートする立場で参加し、見ることができた。
子ども達はスタート前の元気はどこへ消えてしまったのかと言うほど、スタート直後は不安で前へ進めずにいた。口をついて出てくる言葉と言えばグループの友達の悪口ばかり。「早く行って!」「ひっぱるな!」「ちゃんと伝えて!」「早くついてきて!」「もうわからない!」、グループのチームワークなどカケラも見あたらなかった。それでも前に進まなければゴールできない。コースは山あり谷ありのデコボコ、くねくねコース。子ども達は目隠しをされ不安げな顔であった。
そんな子ども達がコースが進むにつれてここまで劇的に変化するものかと驚くことになる。泣き言ばかり言っていたグループのリーダーは先頭に立ちコースの障害を大声で伝える。「ここに木があるよ!」「ロープをくぐって!」と言っては、次に続く人の手を手探りで見つけ、次に続くロープへと導く。導かれた人はさらに次に続く人へと同じように導く。グループが一つの波のように躍動し一体感を持つようになってきた。前に進めないと言って泣いていた女の子は口をギュッと結び一生懸命に進み、必要とあれば大声で指示を出す。
ゴールする頃にはスタート直後とはまったく違った面を子ども達は見せてくれた。人が成長する場面とはこんなにも心を打つモノなのかと山の木々を通したやさしい空間の中でしばらく動けなかった。
子ども達にとっては必死にロープを伝ってゴールしたという記憶しか残らないかもしれない。僕もそうであったように。しかし、その記憶こそが素晴らしい土壌となってさらに新たな経験を育むのかもしれない。どんな風に成長するのか楽しみであり、期待もしている。