「武士道−勇」について | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 以下、『武士道』(新渡戸稲造著 奈良本辰也訳)第4章をまとめる。

 「勇」は「義」によって発動されるのでなければ価値はないとされていた。つまり「勇気とは正しいことをすることである」と言える。武器を持つことを職業とする者にとってしばしば勇猛と同一視され向こう見ずな行為が不当に賞讃されてきた。しかし武士道が教える「勇」では死に値しないことのために死ぬことは「犬死」とされた。
 「勇」の精神的側面は心の平静さによって表される落ち着きである。つまり静止状態における勇気である。本当に勇気のある人は常に落ち着いていて決して驚かされたりせず、何事によっても心の生成差をかき乱されることはない。
 勇気と名誉は共に「価値ある人物』のみを平時の友とし、戦時においても「価値ある人物」のみを的とすべきと要求している。「勇」がこの高みに達するときそれは「仁」に近づく。