前回の投稿からずいぶん時間が空いてしまいました。
大変失礼しました。
逐条型審査vsプロセスアプローチ型審査について考える ということで
1回目、2回目(前回)と話を進めてきましたが、総まとめとしての
3回目になります。
それでは以下をどうぞ。
審査現場の経験を20年ぶりに積むようになり、やはり感じることが色々出てきています。
逐条型審査vsプロセスアプローチ型審査と題して、昔の逐条型審査から今のプロセスアプローチ型審査に変わったことが本当に進化したのか、という視点でもう一段検討してみたいと思います。
今日はいきなりズバッと切り込みましょう。
まだあくまで情報収集段階にあるので、結論を出したいわけではありませんが、
現状の問題意識として、
逐条型審査を忘れてはいけない、
というのが、わたしの今の考えです。
少なくとも今のプロセスアプローチ型審査が万能とは思っていません。
審査は時間の限りがあり、かつ審査員も頻繁に変わるケースが多いので、連続性という点ではやや難があります。
その組織のことを一から確認していく審査は残念ながら経営コンサルティングの連続性とはだいぶ乖離があります。
どちらも一長一短はあります。
連続することにより、癒着のリスクもあるからです。
しかしそのリスクが審査の世界で取れるかどうか。
私の結論は「取れる」です。
もちろん10年も同じ審査員が行く、ではダメですが、3年は同じ審査員が行く方が望ましいでしょう(あくまで審査員にしっかりした力量がある、ということが大前提ですが)。
ほんとうの意味でのプロセスアプローチ型審査をするのであれば、その3年間でしっかり組織の状況及び改善、成長具合を見る、という手法が必要でしょう。
そこから導き出せる結論は、
3年に1回は逐条型審査を行い、基本に立ち返るということです。
具体的には
・更新審査の翌年からの3年間を一つのタームとする
・その3年間は同一審査員が審査を行う。
・3年間(3回)の審査は、2年(回)はプロセスアプローチ型審査、最後の3回目は更新審査であり逐条型審査
このスキームを入れ込むと、組織側の受け止め方も相当に変わるはずです。
管理責任者やISO事務局だけでなく、現場レベルにまで浸透させるISOマネジメントシステムという観点から考えも、この逐条型審査をある頻度で入れ込むことによって、規格の意図の理解もプロセスアプローチ型審査のみのスタイルよりも進むであろう、という効果も期待できます。
ただし大事なことは規格の理解を深めることではありません。
あくまで組織の目的は、経営力の強化です。
そこに繋がる仕組みとしてISOマネジメントシステムの存在意義があることを、審査をする側も審査も受ける側も当たり前のこととして、運用管理のあるべき姿を考えていく必要があります。
その組織運営の基本を再確認する場として更新審査の場を逐条型審査に変えてみて欲しい、という提言です。
そうすると、認証取得の目的が組織の経営目的と合致しているかどうか、ということも大事なポイントになってきます。
なぜISOに取り組むのか。そこから狙うものはなにか。
経営管理の基本事項ですが、ISOの要求事項にも同等のものがあります。
しかしただ単に表面的なプロセスアプローチ型審査をしてしまうと、それらのものが所与のものとして、そのとおりに運営管理されているか、という視点にどうしてもなってしまいます。
組織の目的、という部分にもう一度立ち返って、ほんとうの意味でのマネジメントシステムの構築ができているのか、経営者の目指す組織の将来に向けて、本当に役立つことになっているのか。
今の審査のままではその部分に十分な価値提供をしているとは残念ながら思えません。
審査をする側も受ける側もその問題意識を持ったうえで、あるべき理想の審査とはなにか、理想の審査スタイルとはなにか。その探求を続けてほしいと思います。
ご興味お持ちいただける方はぜひ個別メッセージをお待ちしています。
ある程度の人数が集まるようであれば、勉強会の開催を必要だな、と感じています。
本日もお読みいただきありがとうございました。