今回もISO審査員日記です。

 

 

■してしまった失敗

今までの審査ではリーダーの指導を多々受けては来ていますが、特段大きな問題にはぶつかることなくここまで来ました。 


しかし今回は、ちょっといつものようにはいかず、リーダーから自分の判断を否認される初の経験をすることとなりました。


ああ…失敗、失敗の巻、ということになります。

 

さて、具体的にその内容についてお伝えしましょう。

 

 

ある部門審査の中で、管理表の中に含まれていない機材の存在が明らかになりました。
その機材は確実なメンテナンスをすることが大前提。そこが審査のポイントになるので、その状況確認と、しっかり外部機関も活用してメンテナンスしている状況を確認することができていました。

 

よし、問題なしだな、と認識する状況です。

 

次の項目の審査への意識は行き始めますが、同社の内部規定上も、台帳登録をしなければならないし、マニュアルにも明快に台帳のことが記載されています。

では一応、台帳登録状況を確認させていただきましょうか、
という形で次の言葉を発したことが発端となりました。

 

提示された台帳を見ると、その機材が載っていないのです。

 

互いに顔を見合わせる状況。
さあ、お互いに弱った、という状況です。

 

 


 

■不適合指摘をするかどうか

単なるケアレスミスであれば、目をつぶることは実際の審査上は起きることです。
しかしこれをケアレスミス、と言ってよいか。

 

被監査側もさすがにその抗弁は無理と察したのか、その後の言葉が出なくなります。

これを不適合、と宣言してしまうのは簡単です。
ですが、実際の審査ではそう簡単にことは運びません。

 

今回の相手先も、ISO認証に取り組んで数年というレベルではなく、ISO規格の改訂を何回も経験してきているような極めて長い運用期間を誇る組織です。
少なくとも過去3年間の審査の中では不適合指摘を受けていません。

 

そして、台帳登録がされていないことで実業務への問題、弊害は起きていません。
ただ単に内部管理のレベルが高くなかった、という状況です。

心情的にはこのレベルでは不適合指摘をしたくありませんし、相手もこちらがどのように判断するのかを固唾をのんで見守っている感じです。

 

何とか改善提案(観察事項)にとどめておきたい、という判断が私の頭の中を駆け巡ります。
とはいっても、もちろん、不適合指摘という判断の可能性はここでは示しておかなければなりません。

 

「単純に判断すれば不適合指摘になってしまいますが…」

 

時間を稼いで、さあどう判断するかの自問自答です。

 

この台帳に関しては、前日別の部署の審査で確認して管理されている状態でした。
ただしそちらでも気になることがあり、改善提案(観察事項)とするかどうかをやり取りしていたため、様々な思いが頭の中を駆け巡ります。

 

結果として、そちらの部署で見送った改善提案(観察事項)を復活させる形で、両方の部署での連係プレーを含めて改善の余地がある、という整理を試みるようにします、と言ってその場を終えました。

 

 


 

■リーダーとの対話

そして昼休み。


食事をさっと済ませた後は、当該検出事項をどのように文書に落とし込むかを考え、アウトプットしなければなりません。
早々にPCに向き合って打ち込みを始めます。

 

文書を作成すると、口頭でやり取りしていた段階とは違う感覚も出てくるものです。
何とか文書にできるだろうと思って改善提案(観察事項)としましたが、文書にしてみるとどうにも苦しいのです。

 

どの要求事項とつなげるかを明確にする必要があり、そのストーリーがジャストフィットしないのです。

結局、2案(2つの要求事項の可能性)を考え、リーダーと意見交換をしようと判断しました。

 

そしてその案をリーダーに昼休み中に投げかけたわけです。


結果は…

 

 

 

見事に撃沈でした。

 

 


 

■リーダーの判断と指示

リーダーの指示は明快でした。

 

「これは改善提案(観察事項)ではない。不適合指摘にすべき事案です。」

 

やっぱりそうか、と思っても後の祭りです。

作り上げた資料も全部ご破算で作り直し。


しかし皮肉なもので、不適合指摘にしたほうが書面はすっとでき上がるのでした。

審査チームとしての判断はその日のまとめ会議で伝えることになります。
被監査側も管理責任者がすべての審査に同席していたこともあり、特段の反論もなく受け入れられました。

 

最終会議でも議論はなく、そのまま不適合指摘成立。
審査終了です。

 


 

■審査とは何か

審査は適合・不適合を確実に判定して結論を出すこと。
これが基本中の基本です。

 

一方で、以前この日記に記しました。

「できることなら指摘する場面にこの先、遭遇しないことを期待する」

自分の中で無意識に「不適合指摘は忍びない」という思いが芽を伸ばしていたように思います。

 

内部監査員研修の講師として、
「スピード違反を見つけた警察官は、晴天だからといって切符を切らないことはありますか?」
と毎回言っているにもかかわらず、です。

 

言っていることとやっていることが不整合。
ダメですね。

 

 


■反面教師にしてください

言い訳でしかありませんが、この時はもう一つ要因がありました。

 

この審査は更新審査で、不可抗力により日程が2か月ずれ込み、更新期限ギリギリ。
不適合指摘をすると是正対応に時間がかかり、期限切れのリスクが高まります。

審査機関としては顧客を減らしたくない。


スムースに更新したい。
その意識が審査員側に出てしまうのです。

 

まだリーダー経験も浅い中で、勝手な判断は避けたいという思いもありました。

その複合要因で今回の失敗をしでかすことになりました。

 

どうぞ審査・監査をされる方は今回の事例を反面教師にしてください。

 

 


 

■今回のひとこと

📌適合・不適合判断への迷いは禁物!経験を積んでも基本を忘れずに!

 

 

 

 

 

 

 

今回の記事の原文はこちらからどうぞ。