あまり聞き慣れないかもしれないが、ソフトウェアルータというものがある。要するに、家庭用のみならず、業務用のルータの機能を担うものだ。

この分野ではVyOSやそのフォーク元のVyattaがその筋では有名かもしれない。VyOSはあるサーバマシン(ラックごとデータセンタに入れるタイプのもの)を導入する際に「ルータが必要」と言われてやむなく設定したことがあるが、文献が少なく大変ではあった記憶がある。

しかし、ソフトウェアルータといえばIIJ SEIL /x86 が(やはりその筋では)有名だろう。

高機能でありながら安価だった。確かSEIL /x86 Fuji が880円だったか?1,000円しなかったのである。

 

訳あってブロードバンド回線を新たに引こうかなと考えていた。その際、ルータを探していたところ、YAMAHAのものが評判がいいとの話があった。しかし、それなりに高い。

ならば、ソフトウェアでルータを準備してもよくないか?と思いSEILを購入してみるか、と考えた。

 

しかし、だ。

2020年3月末でSEIL /x86 Fujiの機能キー(他に機動キーがある)が販売中止になっていた。

SEIL /x86 Fuji自体はまだ配布されているようである。機能キーの有無は設定した変更内容の保存の可否であり、保存できなければ電源を落とすとまた設定し直し、となる。これはあまりにも切なすぎる。

 

SEIL /x86 Fujiに変わってSEIL /x86 Ayameが出ている。機能キーがスタンダードで税別5,000円、エンタープライズは250,000円である。

エンタープライズは10G対応でもあり、10インスタンス分使えるのでもの凄く割安かもと思う。しかし、個人利用ではそこまでは不要である。

スタンダードでも価格が5倍以上になっていて、少し高値の華になってしまった。まあ、そもそももっと高くてもよい製品だったので、今回の金額は以前よりは妥当なのだろうと思う。

 

Ayameは物理サーバ対応を明記していないのだが、ライセンスの文脈に設定に「物理マシン 1台に1つのSEIL/x86 Ayameをインストールした場合: 1インスタンス」と、物理サーバにも入れられそうではあるが、対応を謳っている訳ではないので何とも言えない。

 

今回はIPv6のDS-Lite対応ルータを作れればと思っている。SEIL /x86 Fujiがあればそちらにしたが、仮想マシンを用意するつもりもないので、今のところVyOSの方が無難かなあ。

少々悩んでいるところである。

あくまでも私の経験談であるが。

 

まずは過去の話。

公共系のお客様で、システムがクラウドとオンプレに分かれていて、クラウドは情報公開のサービスを、オンプレは内部のデータを管理していた。クラウドとオンプレはそれぞれ別の企業が受注しており、私はクラウド側の企業の立場だった。

モバイルルータを使ってオンプレのネットワークに接続させ、外出先からも仕事ができるようにする構想があり、モバイルルータのセットアップと接続試験をしたことがある。

その試験の際に、1度は接続できるのだが、2回目以降は接続できなくなる事象に見舞われた。

オンプレ側企業のセキュリティ担当に確認したところ、何も確認せず「ルータの問題だ」と返された。しかし「こちらのルータに問題があるなら全く接続できないと考えられるが、1回はつながっている。2回目以降は例えば不正端末と見なされたりしているとか、そういうことはないか?」と返してみた。すると「お宅がそんな訳の分からないクソみたいなルータを使うからだ」と返された。確かに、モバイルルータはクラウド側の企業で取り扱っていた製品で、あまり一般的なかったが。「1回はつながっているので、そのログの確認と、接続できなかったときのログを調査して頂けないですか?」と頼んで、実際に接続失敗するところを確認して貰った。

結果、セキュリティ関連のソフトの設定ミスが判明し、修正して接続がうまくいくようになった。

別に謝罪はどうでもよかったが、暴言を吐いて、謝りもしないもんだなと感心した。

 

現在進行形の話。

やはり公共系のお客様で、あまり詳しくは書けないが、インフラとネットワーク担当、Webとミドルウェア担当、要件や変更管理担当、などといくらかの企業が分かれている。

私はWebとミドルウェア担当で、契約の形態上かなり下の位置にいるが、実施責任者でもある。そんな中、インフラとネットワーク担当の対応がいただけない。

公開するためのWebが表示されないトラブルがあった。しかし、何も調べずに「Webサーバで制限をかけているのでは」とし、調査をしてくれない。内部の他のサーバからはアクセスできることなど説明して、ようやく調査を始めるまでに2週間。原因はすぐに判明し、ネットワークの開放漏れであることが発覚した。

他にも、フロントエンドはともかく、バックエンドのセグメントへの接続を3ヶ月前には依頼してOKを貰っているのに未だ接続されない(その説明もない)ため、作業が止まっている。

 

いろいろ安請合いして調子のいいことを言うのも、それが結果的に間違っていたとしても、代替案で対応できるなら別にいい。プロジェクトで想定外は起こるので、こまかい失敗は問題ない。それを皆で知恵を出し合ってリカバリしていけばいいのだ。

しかし現在進行形で何の相談も説明もなく「この案を進めることにして調整した(それも追加費用が結構掛かる)」という決定を、上層と決めて話を持ってきている。そうすれば自分の失敗にならないからだろうか。

それに対して「そもそもこういう話だったよね?」「それが実現すれば追加費用はいらないよね?」という返事を返すと一気にトーンダウンした。ミーティングでも話題になり、ようやく動き出してくれることにはなった。

 

 

トラブルが起きた時って「自分の責任じゃないから知らない」ではなく、「このトラブルを解決しないとお客さんに迷惑がかかるので、みんなで情報出し合って解決していこう」と考えてくれるエンジニアって、あまり見かけない。エンジニアに限ったことではないんだろうけど、エンジニアには多いように感じる。

こういうトラブルのときに、その人の本質なのか、その人の組織人としての本質なのかが垣間見えるようにも思う。

 

ちょうど去年の今ごろ、保守の関係でSIM での固定IPという記事を書いた。

この時は固定IPを持てるSIMが1択だったように思う。

 

今年になって、保守要員を一人増やすことになり、やはり固定IPを持ったSIMを取得する必要が出た。

改めて調べたが、何社かサービスを提供しているようだ。

 

インターリンク

https://www.interlink.or.jp/service/sim/

 

イプシム

https://ipsim.net

 

エアネット

https://www.airnet.jp/fixed-ip/mobile/

 

で、今回はイプシムを選んだ。

理由は二つある。ひとつめは同じ通信容量のプランで月額費用が安いことである。まあ、これは大きい。

次に、プランの変更の手数料が無料であることである。以前の契約は余裕を見て7Gのプランにしている。実際7Gはおろか、入院中に3Gちちょっとまで使ったことはあるが、通常は1G未満である。しかし、プラン変更にも費用が掛かるのでそのままにしている。

イプシムだとプランの変更が無料なので、閑散期には7Gから1Gに変更するなど、柔軟に料金節約が可能だ。ただし、プラン変更は1ヶ月単位であることには注意が必要である。

 

以下、参考にイプシムの比較表を。

https://ipsim.net/plans.html