イメージ 1
 ERTとは初療室開胸のことです.超緊急で止血が必要,手術室まで移動出来ない状況などの時に行います.

本日のドクターヘリ
1件目 交通外傷(乗用車 VS 乗用車)
 4名の傷病者の内,1名が重症とのことでヘリ要請です.情報は「ショック状態」.ランデブーポイントまで10分もかかりません.輸液2ルート,気管挿管準備,エコー準備,骨髄針(BIG)用意など行います.ランデブーポイント着陸直前に無線がはいります.「急変,意識レベル低下!」.着陸後,すでにランデブーポイントに到着していた救急車内に乗り込みます.全脊柱固定された患者さんは,顔面蒼白,頻呼吸,冷汗著明,橈骨動脈は触知不可です.末梢ルートを2本確保,加圧バッグで急速輸液です.と同時に出血源の検索.FASTでは心嚢液貯留なし,腹腔内液体貯留なし・・・ん,右胸腔に血液?しかし,胸部に外傷,動揺はありません.左大腿骨骨折もあり,骨盤骨折を疑いサムスリング装着.まだまだ橈骨は微弱です.やばい状況に変わりありません.速やかに気管挿管を行い搬送を開始します.ヘリ機内でもFASTを繰り返します.すると右胸腔内の液体貯留が増えてきています!やはり血胸!?幸い1000mLの急速輸液で橈骨動脈は触知可能になっています.胸腔ドレナージも考えますが,もうすぐTECCMCへ着陸です.ならば根治的治療を含め,初療室での展開を決断します.ヘリポートには幸部先生のお出迎え.状況は非常に切迫しています.病院前から予めオーダーしていた緊急輸血を投与.バックボードごとレントゲン撮影,初療室でのFASTでも右胸腔内の液体貯留は増えています.松井先生が胸腔ドレーンを挿入します.真っ赤な血液が溢れ出ます.やはり大量血胸!出血源は?身体所見,胸部レントゲンでもはっきりしません.循環は不安手なまま.ならば出血源精査と止血目的にERTです.静脈麻酔をしつつ胸部の消毒,その間に手術室の看護師さんが機材とともに初療室へ.あっという間に開胸,肺挫傷もありhilar twist.さらに検索すると・・・ありました,胸椎椎体の破裂骨折部からの出血です.一番やっかいな出血.と同時に心停止.左開胸も追加し蘇生開始.緊急輸血追加.椎体からの出血は破裂部にガーゼをパッキングし一時止血を試みます.心拍も再開.止血もいけそう.ならば一時閉胸しICUで全身管理です・・・夜間にアシドーシス改善,体温も上昇,出血傾向も消失,そして意志疎通も可能になりました.さて,明後日ガーゼ除去を含めた手術を予定しましょう.
 ヘリがなければ救急車内で心肺停止になっていた患者さんです.消防の適切な要請により,1人の命が救われました.北近畿,もはや救急医療・外傷対応過疎とは言わせません.

 午後からはあっという間の時間が過ぎました.明日午後から朝来市で講演を行います.さて,準備しないと・・・
イメージ 1
 ドクターヘリの運航開始前,毎日フライトドクター,フライトナース,操縦士さん,整備士さんで機内の点検,準備を行います(写真).トーマスバッグ,携帯用エコー,加温輸液バッグなど.そして今の時期に必須物品は「クーラーボックス」.中には凍らせたペットボトルです.自らが脱水,熱中症にならないための予防策です.

本日のドクターヘリ
1件目 列車にはねられた
 朝の回診を始めようとICUに上がった瞬間に要請です.相棒の松井先生,清水看護師と階段を駆け下りヘリに乗り込みます.JA822Hはいつも通り,青空に舞い上がります.運航管理室からの情報,「年齢不詳,男性が列車にはねられた」.列車とケンカして勝った人を知りません.10分後,ランデブーポイントに到着,すでに到着していた救急車内に乗り込みます.気道,呼吸,循環は問題なさそうですが,不穏です.瞳孔の左右差もあります.頭部に裂創もあり頭部外傷が疑わます.であれば,TECCMCしか搬送先はありません.ヘリ内でprimary surveyを完了させ,ヘリポートからdirect CTで全身検索です.やはり重症頭部外傷.CT後,レベル低下など気道の確保も困難になり気管挿管です.ヘリ搬送でなければ救急車内での急変,2次性脳損傷を来していたかもしれません.消防の適切な要請が救命は当然,後遺症軽減をももたらした事案です.

2件目 窒息
 救急覚知同時要請です.「食事中にのどに詰まらせ,意識無し」との情報.時間的にランデブーポイントから支援車で自宅まで行くことを想定します.もうすぐランデブーポイント,とその時「救急隊現着時意識あり.キャンセル」との連絡です.ホッと一安心し,反転帰投です.

3件目 溺水
 救急覚知同時要請です.「湯船につかって意識無し」との情報.ランデブーポイントまで15分はかかりますが,救急車の現着も時間を要する地域です.このような地域だからこそ,ドクターヘリを活用した早期医療介入は必要かつ有用なのです.

 今宵,静かなICUと初療であることを願います.
イメージ 1
 青森ドクターヘリのブログに取り上げていただきました.ありがとうございます.先輩救命救急センターの活躍をブログで拝見しつつ,地域の皆様に質の高い救急医療を提供し続けたいと思います.今後ともよろしくお願い申し上げます.

 本日は入院も1名のみ(救命救急センターにですが)で,ゆったりと過ごしています.ICU の方々も軽快されています.ブログでお話しさせていただきた患者さん達も元気になられています.明日への活力ですね.

本日のドクターヘリ
1件目 頭部外傷後(施設間搬送)
 先週,墜落に伴う頭部外傷で現場挿管しヘリ搬送した子供さんです.笑顔も出るようになり,意思疎通もほぼ問題なく出来るようになりました.引き続きの加療目的に地元の病院へヘリ搬送です.早く元気になって残りの夏休みを楽しんで欲しいものです.

 本日の写真は道路脇の空き地に着陸中のJA822Hです.先日の事案です.では本日もお疲れ様でした.
イメージ 1
 今宵,豊岡駅前のメインストリートを歩行者天国にした「サンスト夏の夜市 第2夜」が開催されました.その一画に今宵も「豊岡ドクターヘリブース」を出店させていただき,本当に多くの市民の皆様に訪れていただきました.フライトドクター,フライトナースもフライトスーツで皆様にご挨拶いたしました.沢山の皆様から温かい励ましの声をいただきました.この声をメディアに焼き,ドクターヘリに乗せ現場に向かいます.「住民の声援・応援と共に飛ぶドクターヘリ」,FLY TOGETHER! なのです.

 今日の写真はそんな夏の夜にまつわる1枚です.
(左上)幸部先生の愛車第2号です.フライトナースを2名乗せ,ドクターカブ発進!
(右上)今宵の夜市を飾ってくれたドクヘリ君です.ちなみに後ろにこっそり写っているのがJA822H.
(左下)写真撮影用のバックです.ご協力いただいている主な機関の名称を入れております.
(右下)今宵のドクヘリチームです.蒸し暑い中,お疲れ様でした.

本日のドクターヘリ(2件要請,2件出動)
1件目 急性硬膜外血腫(施設間搬送)
 急性期を乗り切り,地元の病院へ搬送です.救急車なら2時間以上かかるでしょう.ドクヘリはTECCMCヘリポートを離陸後,25分程度で消防の待つランデブーポイントへ着陸します.早く退院出来るまでに回復すれば良いですね.

2件目 痙攣
 夕方,涼しい風がそよぐ中離陸です.「小児の繰り返す痙攣」,他の情報はありません.指定されたランデブーポイントは標高も高く,所轄消防の中では一番遠い現場です.予想通りヘリの方が先にランデブーポイントに到着します.そこから救急車にピックアップしてもらい一緒に現場に向かいます.現場到着,患児は横になっていますが痙攣は消失,意識もしっかりしています.聞けば林間学校の最中とのこと.救急隊と協力しヘリポートまで移動,ヘリに乗せかえ離陸です.陸路で1時間30分以上ところ,10分もかからずTECCMCヘリポートに着陸です.

 林間学校や合宿で来られている皆さん,ケガや熱中症には十分にご注意ください.
イメージ 1
 今日は朝から夕方まで外に出っぱなしでした.院内もバタバタしており,なかなか大変な1日でした.皆さん,お疲れ様でした.

本日のドクターヘリ
1件目 脳梗塞
 朝の点検中に要請です.クルーは全員ヘリポートに揃っています.救急覚知同時要請のようです.快晴の空に舞い上がり,情報を聞きます.「左半身麻痺」.発症時間,既往によっては血栓溶解療法の適応になるかもしれません.10分もせずランデブーポイントに着陸,その直前に救急車が現着したことを上空から確認しています.ランデブーポイントから患者さん宅は100mほど.資機材を持って,岡本先生,林田看護師とともに走ります.患者さん宅におじゃまして診療開始.覚知から30分もかかっていません.これぞ救急医による究極の往診!CPSSは3項目陽性.やはり脳梗塞が疑われます.発症時間などから搬送先,搬送手段を決めるだけです.

2件目 意識障害
 救急覚知同時要請です.情報は「○十九歳(←ここが無線で良く聞こえなかった・・・),意識無し」.高齢者の意識障害と考え準備を行います.ヘリで約15分飛ぶと現場上空です.救急車が停まっています.どうやらどこかの会社のようです.ご高齢ですが,お仕事中??ヘリを現場から約200mほど離れた国道横の空き地に着陸させ,ドッキングです.救急車に乗り込み,診察開始.あれ,若い!?確かに意識レベルは悪いですが,救急隊に年齢を確認すると「十九歳」とのこと.岡本先生ともども思い込みは動揺のもとと反省です.現場で低血糖を否定,神経学的所見をとり,地域の医療事情も考慮しTECCMCヘ搬送です.

3件目 倒木による腹部打撲
 2件目を搬入しカルテ書きの最中に一斉PHSが鳴ります.お昼前,気温は上昇中,ヘリも気持ち良く上昇します.運航管理室から情報を聞きます.「山の中,倒れてきた木に挟まれている.ランデブーポイントからかなり遠方の山中」.ランデブーポイントは朝の1件目と同じ,まずは現場周辺に着陸可能なスペースがないかを確認します.すると・・・
 (写真左上)山の中,林道の突き当たりに救急車発見!どうやらその奥が現場のようです.
 (写真右上)現場に向かう林道の途中にヘリが着陸可能な空き地あり.支援車もかなり時間がかかるようです.消防の許可をもらってその空き地に単独着陸,現場まで資機材を背負って行くことにします.照りつける太陽の下,ヘルメットをかぶり林道をひたすら上ります.フライトスーツ(この時点ではフライトではなく,ウオーキングですが)の下は汗の洪水です.数百m登ったところで,事故関係者の車が来ます!まさに救いの車です.同乗させていただき,現場へ.
 (写真左下2枚)現場は切り立った山の上.我々の装備では行かない方が良いでしょう.救出中なので下で待機します.しかし,いつもいつも消防の皆様,大変な現場をお疲れ様です.
 (写真右下)山の上から舟形タンカで救出,早速安全な場所で外傷初期診療を行います.輸液確保,FAST.出来ないのはレントゲン撮影だけです.幸い呼吸,循環は安定しています.皆でタンカを救急車まで運んで,救急車でヘリの所まで移動です.
 このような事案であっても受傷から1時間以内に外傷初期診療が開始されています.救急車であれば救助後,1時間以上かけての搬送になります.ドクターヘリの有用性を最大限に引きだそうと考えている消防機関の意識の高さが,住民の皆様に安心を提供します.

4件目 心肺停止
 開業医さんの往診中に急変のようです.救急隊現着時,心肺停止.心肺蘇生術を施行しながらヘリとドッキングです.救急隊の胸骨圧迫が功を奏し,心拍再開!このままかかりつけ病院へ搬送です.しかし,遠く離れた(救急車で1時間)かかりつけの病院にヘリポートはありません.一番近いヘリポートへ着陸,救急車にて搬送する段取りをつけます.救急車からヘリに乗せかえ離陸・・・すると飛行中に体動が出現,合目的な反応もあります!脳蘇生はいけるかも.ヘリポートに着陸し,待機していた救急車に乗り換え病院搬入,引き継ぎを行います.様々な方の協力で,搬送時間の短縮が得られました.そして,本日病院からヘリポートまでの移動はタクシーです.運転手さんに「フライト時間に間に合いますか?ドクターヘリの方ですよね??」と心配されながらヘリポート到着です.

 本日は1件1件が中身が濃く,あっという間に運航終了時間になりました.
イメージ 1
 強い日差しの毎日です.外にいるだけで汗がにじみ出ます.体力勝負の救急医療,体調管理には十分気をつけます.

 本日も初療は多忙を極めておりました.緊急度,重症度に応じた診療を行っております.長時間の待ち時間が生じることはご了承いただきます.

本日のドクターヘリ(9件要請,5件出動)
1件目 交通外傷(バイク VS 乗用車)
 救急隊現着時,ショック徴候を認めドクターヘリ要請です.救急隊の適切な判断によって,早期からの外傷初期診療を開始することが可能になります.外傷例はTECCMCへヘリ搬送です.

2件目 圧挫
 「ローラーに巻き込まれた.意識なし」の情報です.サッカー練習中のグランドに安全確保の後,着陸です(写真).ご協力いただいた皆様,ありがとうございます.着陸10分後に救急車も到着です.幸い意識もしっかりされており,左前腕を巻き込まれた様です.開放骨折もあり,TECCMCへ搬送です.

3件目 溺水
 初療でERTの最中に要請です.幸部先生,松井先生に後を任せヘリポートへ走ります.「小児が溺れて意識無し」.夏の休日,起きて欲しくない要請内容です.ランデブーポイントまで15分強.それでも早期医療介入につながります.ランデブーポイント到着,救急車に乗り込みます.すると幼児が泣きわめいていますが,様子が変です.どうやらプールに浮いているところを発見され,心肺蘇生にて呼吸再開したようです.集中治療の適応と判断します.家族事情,患児の状態を考え,小生の古巣への搬送を決断します.消防機関同士の速やかな調整,ドクターカーでのランデブーポイントまでの迎えなど数分で決定です.離陸し10分,太陽の塔の隣で以前の同僚に引き継ぎです.人のつながりに感謝です.

4・5件目 交通外傷,複数傷病者
 「乗用車が崖から落ちた」にて同時要請です.ランデブーポイント到着直前に傷病者2名との連絡.であれば緊急度,重症度に応じた搬送順位,手段を決定するまでです.夏休みの中学校グランドに着陸,救急車を待ちます.1台目,頭部外傷が疑われます.かなり不穏が強く,意思疎通が困難です.2台目の情報を消防無線で聞きます.下肢開放骨折がありますが,呼吸,循環,意識は問題ないようです.であれば,頭部外傷の搬送を優先です.しかし,2台目も早期の外傷初期診療を行う必要があります.そこで,頭部外傷のヘリ搬送を小生が担当,下肢開放骨折の対応を相棒の三浦先生,濱看護師に指示します.ヘリはまず頭部外傷の患者さんをTECCMCヘリポートまで搬送,そこでエンジンカットせずストレッチャー載せ換え,再び離陸し下肢開放骨折の患者さんを向かえに行きます.1人目をヘリ搬送中に下肢開放骨折の患者さんは出来るだけTECCMC方面に走ってもらい,少しでも近いランデブーポイントでドッキングです.2名の医師搭乗とピストン搬送により,早期医療介入と搬送時間の短縮を実現することが出来ました.

 重複要請で全てに対応出来ず申し訳ありません.可能な限り全ての患者さんに早期医療介入と搬送時間の短縮が提供出来るよう努力いたします.今後ともよろしくお願い申し上げます.
イメージ 1
 仕事(フライト)が終わり,皆に連れられ香住の花火大会に行ってきました.いつも使っているランデブーポイントから見る花火はなかなかのものです.

本日のドクターヘリ
1件目 墜落外傷疑い
 朝礼中の要請です.スタッフ全員が一気に動き始めます.全員,ヘリポートにダッシュです.ランデブーポイントまで約15分,情報は「用水路で人が倒れている」です.本日も澄み渡った青空を一直線に飛んで行きます.半分ほど飛んだころでしょうか,「救急隊にて対応可能,ミッションキャンセル」の連絡.ヘリは反転,帰投します.ヘリを有効に活用するためには,このようにキャンセルを厭わない覚知同時要請が必要になります.消防の意識の高さの賜物です.

2件目 交通外傷(自転車 VS 乗用車)
 頭部外傷疑いとの情報です.10分もかからず,ランデブーポイントに着陸します.救急車内で外傷初期診療を開始.受傷から30分以内に診療が開始されます.気道,呼吸,循環,意識と問題ないことを確認しTECCMCへヘリ搬送です.

3件目 縊頸
 救急覚知同時要請です.情報は心肺停止らしいということだけ.ランデブーポイントの工場の駐車場に着陸し,支援車で現場に向かいます.国道上で救急車とドッキング,ALSを施行しつつ直近の二次病院へ搬入としました.早期医療介入と適切な心肺蘇生術の施行という観点から非常に適切なヘリ要請でありました.

 これから緊急手術です.遊びに行った後は,ちゃんと仕事しないと.夜なべ仕事ですが・・・本日はこれまで m(_ _)m
 
イメージ 1
 朝のカンファレンス,回診でベッドコントロールを行います.救命救急センターを軽快退出される方,良くなられて転医される方などなど.本日は半分の患者さんが無事救命救急センターから退出されました.皆さん,早く良くなってください.

本日のドクターヘリ(3件要請,3件出動)
1件目 「産まれた!」
 朝のカンファレンス終了後,回診に向かっている途中での要請です.いつも通り,ヘリポートにダッシュ,快晴の但馬の空へJA822Hは本日も舞い上がります.運航管理室へ無線で情報を聞きます.「自宅で子供が産まれた・・・」.機内一同,「・・・産まれた??・・・」.相棒の幸部先生は「プライベート含め子供を取り上げた経験はありません」と.取り敢えずお母さん用に成人用トーマスバッグ,赤ちゃん用に小児用トーマスバッグを持っていくことにします.ランデブーポイントに着陸すると,支援隊から「この車に乗ってください.現場まで行ってもらいます」と,案内されたのは白い普通乗用車.運転手さんも一般の方.乗り込んで聞いてみると,お母さんの父親(赤ちゃんのおじいちゃん)の方でした.家族も消防も医療従事者も全員で命と向き合います.素敵な地域です.車の中で情報を収集.どうやら満期産で,かかりつけの病院もあるようです.自宅に着くと2階のベッドの上にお母さんと赤ちゃん.お母さんは顔面蒼白です.出産時の出血が少々気になります.酸素投与と輸液開始.赤ちゃんはアプガースコア満点.すでに救急隊により吸引,臍帯クリップがなされていました.赤ちゃんの保温に注意し,お母さんの腕の中に抱っこしてもらいながら搬送です.2階から全員で母子ともに搬出し,救急車でランデブーポイントに向かいます.ヘリに乗せ替え(本日の写真)一直線にかかりつけ病院へ搬送,そのまま分娩室へ搬入です.母子ともに元気なことを確認し,我々のミッション終了です.ヘリ要請のキーワードに「産まれた」はありませんが,消防の適切な判断でヘリが要請されました.
 生後1時間.今までで一番若いJA822Hの患者さんです.コウノトリ(7月2日ブログ参照)が本当に赤ちゃんを天から運びました.

2件目 バイク事故
 本日は珍しく初療,ICU共にのんびりとした時間が流れていました.午後の静寂をやぶるようにドクターヘリ要請の一斉PHSが鳴ります.情報は「バイク事故で心肺停止疑い」です.輸液2ルート,気道確保の準備,開胸の準備を行います.ランデブーポイントまで15分,長い時間に感じます.現場に近づき消防本部から追加情報の連絡,「意識あり」です!現場直近に着陸可能なスペースがあり,着陸,資機材を担ぎダッシュで現場に向かいます.患者さんは若干の意識障害がありますが,気道,呼吸,循環は安定しています.FASTもnegative.これなら直近の病院にJターンも可能な状態です.現場から速やかにヘリへ搬入し,大空へ舞い上がりました.

3件目 墜落
 夕方の要請です.救急覚知同時要請.離陸後にヘリ要請内容を確認です.「小学生,2階から墜落し意識なし」.一同,顔が曇ります.ランデブーポイントまで10分もかかりません.救急車は来てるでしょうか?その時,消防本部からの連絡,「ランデブーポイントから支援車で現場まで来てください.まだ救急隊現着してません」.ヘリをランデブーポイントに着陸させ,支援車で現場に向かいます.どうやら林間学校に来ている小学生のようです.現場まで山道を12分ほど走り,現場救急隊とドッキング.意識レベルが低下しています.どうやら単独頭部外傷のようです.2次性脳損傷を防ぐために鎮静下に気管挿管.この間に直近にヘリが着陸出来る場所を支援隊に探してもらいます.すると,どうらや谷間に駐車場があるようです.ヘリクルーに連絡し,ヘリ,救急車,支援隊で臨時ランデブーポイントへ移動,ヘリに患児を乗せかえTECCMCヘ急ぎます.救急車であれば1時間以上はかかるでしょう.折角の夏休み,早く元気になるよう治療していきます.

 本日もフライトスーツの下は汗でびっしょり.洗濯が間に合いません・・・この夏,ちょっと汗臭いドクヘリクルーが北近畿の空を飛び続けます (^_^;
イメージ 1
 9名の救急医で初療,手術,集中治療などをこなすことは,かなりの業務量となります.しかし,お互いがお互いのことを考え助け合い,補い合いながら楽しく仕事をしています.その代わり2連休が月に4回あります.また看護師,コメディカルの協力も非常に大きいです.こんな素敵なチームの仲間に加わってくれる方を待ってます!

 毎朝,ドクターヘリの機内点検から1日が始まります.着替えて,外に出ようとすると医局棟の入口に珍しいお客さんです.メスのクワガタムシ.何十年ぶりに見たでしょうか.ちょっと嬉しくなり,そっと捕まえて一緒にヘリポートに向かいました.

本日のドクターヘリ
1件目 心筋梗塞・心室細動(施設間搬送)
 院内他科からの施設間搬送依頼です.専門治療が可能な病院への転医です.陸送であれば2時間以上かかり,致死的不整脈が出現すれば致命的となります.晴天の中,山を越え30分弱で転医先病院の先生へ引き継ぐことが出来ました.

2件目 交通外傷
 救急隊現着後の要請です.ヘリ離陸後の情報で,「骨盤骨折疑い.脈微弱」.救急隊の適切な観察結果により,適切なヘリ要請が行われます.5分後,ランデブーポイントに到着,その3分後に救急車もやってきます.救急車内に乗り込み外傷初期診療の開始.加圧バックによる初期輸液を行いつつ診療を進めます.どうやら骨盤,下肢に原因がありそうです.速やかにヘリへ搬入しTECCMCへ搬送です.

3件目 小児の頭部外傷(施設間搬送)
 本日の日勤責任者・松井先生から「ヘリで向かえに行って欲しい症例があります.小児の頭部外傷」との連絡です.陸送すれば50分以上かかります.ヘリの絶対適応です.3分後,転医元の所轄消防からヘリ要請です.10分もかからず,夏休みになった中学校グランドにヘリは着陸します.数分後,セミの鳴き声をかき消すように救急車が滑り込んできます.医師同乗で来られましたが,救急医によりあらためて外傷初期診療を行います.意識レベルはムラがありますが,気道,呼吸,循環は問題ありません.気管挿管を行う必要なしと判断し,TECCMCへ飛び立ちます.ヘリポートに到着直後,別事案の現場要請です!松井先生に連絡し,初療のストレッチャーでヘリポート途中まで向かえに来てもらいます.写真のごとく,途中で引き継ぎを行い,我々は再びヘリに戻ります.これも日常診療のチームワームの賜物です.そして,患児はヘリポート to direct CTで全身の再評価となりました.

4件目 潜水病の疑い
 救急覚知同時要請です.機内整備を行いながら情報を聞きます.「潜水後の左顔面および左半身違和感」.潜水病!?高圧酸素療法可能な施設をピックアップし,運航管理室と機内からとで事前問い合わせを行います.また連続出動のため残燃料を考慮した搬送となります.10分後,美しい日本海の港町,鉄橋のある街の小学校に着陸です.住民の皆さんが集まって来られます.そんな中,救急車がグランド内に滑り込んできます.救急車内に乗り込んで診療開始.幸い患者さんの症状は軽快傾向にあり,潜水病の可能性も低いと診考えます.しかし,脳血管障害などを否定しきれません.ならば高圧酸素療法も可能な一番近い救命救急センターにヘリ搬送です.潜水病の可能性も一応念頭に,日本海海上を高度を落として飛行します.操縦士,整備士,医療クルーとのあうんの呼吸,チームワークです.帰りの燃料を残して,ヘリポートに着陸,患者さんを引き継ぎミッション終了です.

 夕陽を浴びながら,但馬空港に帰投,時間的にも燃料的にも本日の運航は終了です.資機材を撤収し,クルー全員で豊岡病院まで帰ります.本日も暑い中,お疲れ様でした.どれだけ水分補給したことでしょう・・・
イメージ 1
 昨夜,豊岡駅前のメインストリートを歩行者天国にした「サンスト夏の夜市」が開催されました.その一画に「豊岡ドクターヘリブース」を出店させていただき,多くの市民の皆様に訪れていただきました.フライトドクター,フライトナースもフライトスーツで皆様にご挨拶いたしました.本当に沢山の皆様から温かい励ましの声をいただきました.この声をメディアに焼き,ドクターヘリに乗せ現場に向かいます.言わば「住民の声援・応援と共に飛ぶドクターヘリ」です.
 
 夏の夜市の一場面を写真で紹介します.
(左上)メッセージボードを持って,フライトナースと1枚.こんな写真達いっぱいをメディアに詰め込み現場に向かいます!
(右上)中貝市長もいらっしゃいました.市長も一緒に飛ばさせていただきます.
(左下)ご当地キャラ「玄さん」も訪れました.
(右下)今回参加のスタッフ一同です.暑い中,お疲れ様!

 来週27日の「サンスト夏の夜市」にも出店します.皆様,是非遊びに来てください.待ってます!

本日のドクターヘリ(4件要請2件出動)
1件目 呼吸困難
 救急覚知同時要請です.午後の暑い日差しを浴びながらJA822Hは離陸します.機内で患者さんの情報を聞きます.「自宅内で倒れていることろを発見.呼吸困難あり」.様々な可能性を考えながらランデブーポイントへ向かいます.10分ちょっとでランデブーポイントに到着,3分ほどしてから救急車も到着します.まずは救急車内で診察です.意識は清明,呼吸は促迫,冷汗あり.いろいろな可能性を考え,一番近い救命救急センターへヘリで搬送です.機内で状態は徐々に落ち着いてこられました.安堵しつつ申し送りを行います.

2件目 交通外傷(軽乗用車 VS 4tトラック)
 救急隊現着後の要請です.夕方,人の動きが出てくる時間です.機内で情報を確認,「乗用車とトラックの事故.患者ショック状態」.慌ただしく準備が始まります.輸液2ルート,気道管理の準備,開胸の可能性,胸腔ドレナージの可能性など冷静にかつ迅速に準備を行います.ランデブーポイント近くになり追加情報が入ります.やはり切迫した状況に変わりないようです.ヘリ要請から15分後,救急車とランデブーポイントでドッキングです.患者さんは・・・努力様呼吸,頻呼吸,橈骨動脈微弱,冷汗著明!FASTはnegativeで胸部外傷が疑われます.必要な薬剤投与,末梢ルート2本確保し初期輸液開始.搬送に耐えられる状況を作り出し,重症外傷はTECCMCへヘリ搬送です.機内で1000mLの輸液を行うと循環が立ち上げってきました.酸素飽和度も安定しています.これなら大丈夫でしょう.初療での検索の結果,やはり胸部外傷でした.

 現場に向かう途中は景色を楽しむ気分にはなれませんが,帰投時はクルー一同で美しい日本海,沿岸を楽しんでします.本日は晴天.心癒されながら「機窓からの風景」を満喫します.