私がベンダーで営業をしていた1990年代は、汎用機やオフコンを中心に企業での情報システム投資も盛んに行われ、月刊のコンピュータ雑誌ではいつも「xx社が○○戦略システムを稼動」などのプレスリリースが相次ぎ、ユーザー企業は他者に先駆けて新しいシステムを稼動させるなど、情報システム部門の人々も士気が高かった気がする。
昔はライバル会社との「競争」がシステム化の推進力の一つだった。金融、製造、流通、サービスいずれの業界・企業でも競合他社に負けないシステムを企画立案するためにITメーカーと戦略的に組んだ。
「競争会社はIBMでシステムを作ったから、うちは富士通でいく」といった感じで、私のようなベンダー営業マンも、お客さんの経営戦略にどっぷりつかってシステム提案をしたことが懐かしい。
2000年に入り、バブル崩壊とともに、IT技術はもっぱら「コスト削減」のための手段として事務・人件費削減が費用効果の最大のテーマとなった。「このシステムを導入すれば、現在の事務員を半数に削減できます」等、いわゆる戦略的・先行投資的なシステムというよりは、人員削減など少し「後ろ向き」な提案に変わっていった。技術面でも汎用機からオープン技術へシフトさせる開発への投資が盛んに行われた動機は、高価だった汎用機の運用コストの削減からだった。
その後、オープン技術も定着し、新たなシステム投資に対する動機付けが乏しくなりつつある現在、不況もあいまってベンダー営業は、今まで投資していただいたIT設備そのものに対するコスト削減提案しか「売り」が無くなってきているような気がする。
次に来るトレンドは、ASP?クラウドコンピューティング?アンドロイド? 低迷するIT業界、新たな需要を喚起するトレンドが生まれることを望む。
