【今週のワンポイント-14】都への道のり | 人生竪堀

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TEAMナワバリングの不活発日誌

 今回は、『鎌倉殿の13人』がなぜ面白いのか、という秘密を、特別に教えちゃいます。もちろん、三谷さんの脚本がすばらしく(これは考証の仕事をしていると本当に痛感する)、役者さんやスタッフさんたちが情熱を傾けているからなんだけど、それだけではない。

 

 鎌倉幕府成立の物語が、そもそも面白いのである。

 

 まず、片田舎に暮らしている勇者が、ある日突然、「以仁王の令旨」というアイテムを手にする。そこから少しずつ仲間を集めて、敵に立ち向かうが、全滅寸前までやられて、命からがら海を渡って逃げる。

 そこで、いろいろな人たちと出会い、「千葉常胤が仲間に加わった!」「上総介広常が仲間に加わった!」と仲間を増やしながら、次のステージへと進む。加わる仲間も、戦士タイプだけでなく、MPを使う僧侶タイプや、賢者タイプなど多彩だ。「頼朝は賢さが2上がった」「義時は政治力が1上がった」と、キャラも成長する。

 冒険の途中には「あやしいドクロ」「法皇様の密書」なんていうアイテムもあった。「義時は兄の言葉を深く心に刻んだ」というシーンもあった。そうして、いろいろな人に話を聞きながら、都を目ざす。

 

 わかりましたか? 鎌倉幕府成立の物語が、そもそもロープレ的なのである。

 

 今回、こんな話を書いたのも、勇者頼朝が「寿永2年10月宣旨」という重要アイテムをゲットしたから。このアイテムによって、ステージはさらに上がる。戦う相手も強大になる。

 ところが、教科書やお堅い歴史の本では、このロープレ感が伝わってこない。

 三谷脚本で、言葉遣いやキャラの言動を現代風にアレンジした方が、ロープレ味が出て、現代人に面白く感じられる。『鎌倉殿の13人』は、鎌倉幕府成立の物語がもともと持っていたロープレ的な面白さを、うまく引き出した作品なのである。

 

(西股総生)

 

《ワンポイントイラスト》

 

 

鎌倉幕府成立はRPG的な面白さがある! 詳しくは『鎌倉殿の13人』非公式ガイドブック『オレたちの鎌倉殿』を読もう!

 

(みかめゆきよみ)