人生竪堀

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TEAMナワバリングの不活発日誌

☆ 献本御礼 ☆

 

 

 以下の書籍を、著者・関係者の皆様からお送りいただきましたので、ここに紹介させていただきます。ありがとうございました。

① 中井均・加藤理文編『東海の名城を歩く・静岡編』(吉川弘文館2500円)両編者から
 おなじみ吉川弘文館の『名城を歩く』シリーズの最新版は静岡編。実際に執筆に当たっているのは、おもに各教育委員会の担当者だが、中井氏・加藤氏が直接、執筆している城もある。いつもながらコラムも充実しており、静岡の城や戦国史に興味のある人には、必備の一冊となっている。

https://www.amazon.co.jp/dp/4642083650/

 


② 髙田徹『絵葉書から分析する近世城郭の建築と空間』(戎光祥出版6800円)著者から
 著者の髙田徹氏が長年、趣味として収集してきた古い絵葉書を資料として、近世城郭について考察した本。計64城が採り上げられている。明治以降、日本人が城といかに関わってきたかを考える上でも、すぐれた仕事だと思う。
 髙田氏とは古い付き合いなので、絵葉書を収集してきたことは以前から知っていたが、こうして本当に研究という形でまとめてくるとは … 。オタク道を極めると立派な研究になる、という見本のような業績ではある。ただ、オタク道が研究に昇華するためには、コレクションが充実しているだけではダメで、きちんとした知識や分析視角が必要、という厳然たる事実も、また思い知らされるのである。

https://www.amazon.co.jp/dp/4864033625/

 

 

③ 佐伯哲也『越前中世城郭図面集1(越前北部編)』『同2(越前南部編)』(桂書房・各2500円)著者から
 富山県在住の佐伯哲也氏は、越中の城を作図し倒しただけではあきたらず、飛騨や越後、越前といった周辺地域に進出しては、踏査・作図を行い、その成果を精力的に出版していて、その研究姿勢は実に頭が下がる。今回の越前編も、小さな城まで丹念に踏査して作図しており、巻末には独自の論考も収められている。こういう仕事を、後世に残すべき資料と認めて本にしてくれる、地元の出版社の存在も心強い。彼の業績が基礎研究として正しく評価され、こうした出版事業が文化として正しく受け継がれてゆくような、そんな社会であってほしいものだ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4866270659/

 

 

 

※ 献本紹介は、できるだけ1~2ヶ月に一度を目途に、定期的に出すようにしていますが、献本を頂くペースがどうしても一定しないので、間が開く場合があります。その結果、稀にですが、何かの拍子に取り紛れて、せっかく献本頂いたのにご紹介しそびれてしまう場合があります。まあ、僕の整理がいい加減なのがいけないのですが、ごめんなさい。この機会に、まとめて謝っておきます。

 大河ドラマというと、ご当地ヒーローの活躍は観光資源になるので、大河ドラマの招致活動のようなことを、地域や自治体でやっているところが少なくない。地域の歴史好きの人たちが作る団体などで、そうした活動をしているところもあるようだ。
 ただ、どうだろう。少なくとも『蒼天を衝け』『鎌倉殿の13人』を見ていると、地元の招致活動やら請願運動やらが奏功したとは思えない。深谷や鎌倉が、大河の招致に熱心だったなんて話は、聞かないものねえ。
 以前に大河に関わった経験から、ちょっとだけ感想を述べると、ドラマの制作は基本的には現場主義だ。いま各地で行われているような招致活動やら請願運動が、制作現場の判断に影響するとは正直、思えないんだよね。大河のテーマが選ばれる原理というのは、本当はもっと別のところにあって、それを外したところでいくら熱心に活動しても、効果はないんじゃないのかなあ。
 まあ、本気で大河化の実現を目指しているわけではなく、地元が楽しく盛り上がれれば、それでいいのだ、という考え方なら、別にかまわないけど。

 東国の城郭とか戦国史のことを書いていると、北条五代を大河にしたいですよねえ、という声をしばしば耳にする。いや、そういう活動をしたい人たちから、講演の打診をいただいたこともある(お断りしましたが)。
 でも、北条五代は無理だろうなあ。五代百年を一年間で描くというのは、ドラマでは無理じゃないかなあ。人物像の問題もあるし。最大のネックになるのは、御初代様じゃなかろうか。
 僕ら研究者の間では、御初代様は「伊勢宗瑞」と呼ぶのが通例だし、ゆうきまさみ氏も「伊勢新九郎」として描いている。でも、一般には、まだまだ北条早雲だ。
 真田幸村を信繁で通すのが、いまどきの大河。信繁の場合、史実の波間で翻弄されてきた主人公が、大坂夏の陣に臨むことで、伝説の勇者へとステージが上がるからこそ、信繁→幸村という改名が、作劇の上で有効だった。
 対して伊勢宗瑞の場合は、どこをどうやったって、生前に北条早雲を名乗るわけにはいかない。にもかかわらず、僕なんかより上の世代の、歴史好きの人たちは「北条早雲公」で刷り込まれている。そして、招致運動で主導的な役割を果たしているのは、そういう世代の人たちなのだ。「北条早雲公を大河の主役に」みたいな。
 これじゃあ、ダメじゃなかろうか。小田原の人たちが「北条早雲公」と言っている間は、大河化は実現しないような気がする。伊勢新九郎がスタンダードになっている人たちに、もう少し世代交代できないものだろうか。

 

西股総生

 

☆ お知らせ ☆
《注意》イベント等については、時局次第で延期・中止になる場合があります。あしからずご了承下さい。変更等の情報は、わかり次第SNSで流しますので、ご注意願います。今回は新着情報から掲載します。(写真は備中高松城)

 


① 9月4日(金)発売の『歴史群像』10月号は西股の城記事がカラーで2本立て!
「戦国の城・出羽中山城」&「天守の軍事論」。中山城は、何年か前に女の子たちに連れてってもらった城。そのとき、大阪から来た子が「いやあ、こんなところで蒲生さんの石垣に会えると思わんかったわあ」と言っていたのが強く印象に残っていて、いつか記事にしてやろう、と心に秘めていたネタなのだ。今回は、ついでに天守とは何かを、僕なりに分析した記事も付けてみた。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08GLQXMQS/


② 10月3日(土) 塩尻市「鉄炮が変えた戦国の城」(講師=西股)
 《中~上級者向け》
 ・9月11日から受付開始(要申込み)です! お間違いなく!
 ・日時:10月3日(土) 午後
 ・場所:塩尻市総合文化センター
 ・問合せ・申込み ⇒ 平出博物館 (電話) 0263-52-1022 
 ・参加無料(定員100名、先着順)
 信濃の城についての講座ではありませんので、ご注意を。あと、戦国時代の基本的なことをわかっていないと、話についてこられないと思いますので、ご了承下さい。
 ※会場と申込先が別になっています。ご注意下さい。
http://www.city.shiojiri.lg.jp/tanoshimu/hakubutukan/hiraidehakubutukan/gyojishokai.html

③ 10月31日(土) 朝日カルチャーセンター新宿教室「戦国合戦と城攻めのリアル」
  《ビギナー~中級者向け》
 ・日 時  : 10月31日(土) 15:30~17:00
 ・場 所  : 朝日カルチャーセンター新宿教室
 ・講 師  : 西股総生
 西股の本を読んだり講座を聴きに来ている人には、おなじみの話が多いので、物足りないかも。ただし、後半は本能寺の変や秀吉の中国大返しについて私見を語ります。僕がこのテーマで語るのは、かなりレア。
 なお、13:00~14:30には関幸彦氏(日本大学史学科教授)による「中世の武力を計らう/一騎打ちから一揆合戦へ」があります。ご興味ある方は併せてどうぞ。
詳細・お申し込みはこちら↓
https://www.asahiculture.jp/shinjuku
(TEL.03-3344-1945)


④ 9月20日(日) TEAMナワバリング主催の女子限定イベント
 TEAMナワバリングと行く〝浮かべる城〟戦艦三笠!
 ・日 時  : 9月20日(日) 13:00~16:00(予定)
 ・集合場所: 横須賀市三笠公園・東郷平八郎銅像前
 ・参加費  : 2000円(入館料別途・各自で券を購入して下さい)
 ・ゆる解説: 城郭研究家・西股総生(浮かべる城なので)
 軍艦とかって、何となく面白そうで興味はあるんだけど、一人で行ってもよくわからないし、ちょっと怖そう … みたいな女子のための企画。 もちろん、日本海海戦や聯合艦隊をガチで知りたい・語りたい方も大歓迎。西股が受け止めてあげます(笑)。
詳細・お申込みはこちら↓
https://eventon.jp/20414/