「おい、黒龍や。読者の諸君の様子はどうだね?」




ヒュンヒュンと素早く空中を移動しながら、光の如く強い輝きの白い龍神が尋ねる。






「ええ、比較的穏やかに過ごしておられるようです。皆さん、大変優秀ですから心配はないでしょう」


メガネ越しに眼下を眺めるのは、知的そうな黒い龍神だ。

黒とはいっても、その身体はツヤツヤと光り、まるで黒曜石のように美しい。



「ならよかったがね。なんせ、人間は自由を好む生き物だからな。

いくら未知のういるすが飛び交っているとはいえ、思うように外に出られなければ気分もふさぐがね。

少しでも楽に過ごさせたいではないか」


「ガガさんのおっしゃる通りです。ですが、私たちのそばにいる人間は、多くの場合ちゃんと自分で自分の行動を取ることができます。

今の状態でも、それなりに楽しみを作って過ごしているようですよ」


この龍神たちは、とても優しくあたたかい。

いつも人間たちのことを考えている。


何か困っていることはないか、手伝えることはないか、後押しできることはないか、悲しくはないか、寂しくはないか、一人ぼっちで泣いていないだろうか、しばらく笑っていないのではないか、心が硬く冷たくなってはいないか、ちゃんと愛はあるか……


直接手を下せないまでも、なんとかこの世に生きる人間と縁を繋いで、問題解決のために日本中を飛び回っているのだ。


ガガと呼ばれた龍神は、口が悪い。

普段はくだらないギャグを話して笑いを取ってばかりいるが、実は相手を和ませるためだったり、楽しい気持ちにさせるためだったり、そのほとんどは旺盛なサービス精神から生まれる生粋のエンターテイナー龍神である。

しかし、この龍神を怒らせない方がいい。

もちろん滅多に怒ることはないが、筋を通さなかったり誰かを陥れたりした時は、本当に恐ろしい。

もちろん滅多に怒ることはないけれども(繰り返す)。


そして、黒い龍神の方は見た目の通り黒龍という。

名前自体が黒龍なのだ。

この黒龍、遥か昔はちょっとワケアリの龍神だった。

自分が誰よりも優秀であると思い込み、他の龍神たちを下に見ているうちにいつのまにやらどの龍神にも先を越され、気が付けば誰にも相手にされなくなり、龍神としての存在自体が危うくなった過去がある。

にっちもさっちもいかなくなった時に、エンターテイナー龍神のガーガーうるさいガガに拾われ、人間界のあるダメ男と組んで頑張り、そいつをのし上げることに成功。

起死回生を果たした、一回死んでやり直した過去を持つ数奇な運命の龍神である。


まるでオセロのような白と黒の龍神は共に行動し、今は疫病を鎮めると言われるアマビエの広報活動を頑張っている。






ギャラもないのに(いや、そもそも龍神のギャラとはなんなのか)。


そして、主役でもないのに(そうだろうか、もう脇役の粋を出ているような気がする)。



まあ、なにはともあれ、一人でも多くの人間を笑顔にしようと日々、日本中を飛び回っていることだけは事実である。


「今は大きな変革が起きている時代だがね。無論、それには様々な変化や痛みを伴うが、必ず良い方向に向かっていくだろう。

人々にはもう少々、辛抱してもらわねばならんが、これもまた人生の学びや成長に繋がっていくがね。

我々も頑張ろうではないか」


ガガが言う。


「ええガガさん、もちろんです。今の状況は一見、八方ふさがりに感じますが、必ずしもそうとは言えないでしょう。

実際、これまで気がつかなかった豊かさや、周りからの愛情に気がついたという声が多く届いていますから」


そうだ。

人間たちはこれまで多くのことに気が付いていなかったのだ。


人と人が近い距離でコミュニケーションを取れること。

なんの心配もなしに遊びに行けること。

好きなものが食べれることも、愛している人に触れることも、触れられることも、すべての尊さに気が付いていなかったのだ。


大きく呼吸をしたり、手を繋いだり、赤ん坊を抱きしめたり、普通に生きて普通に死ぬことの尊さに、ただ気付かなかっただけなんだろうと思う。


だけど、今はもう違う。


人間たちは気が付いた。

この世のすべてが尊く、素晴らしかったということに。


「我々は人間を守るために存在するからな。ま、他の龍神の事情は知らぬが、我々はすでに人間界にどっぷりつかってしまった身だがね。今日も人間の身を案じて、せっせと働くのだよ」


「承知しました、ガガさん。本日も頑張って参りましょう。このウイルスショックが終息したら、きっと新しい世界が拓けますからね。私たちもそれを楽しみにいきましょう」



そう、この人間臭い龍神たちは今日も見えないところで動いている。

人々が笑顔で暮らせるように。


もしかしたら人間にはわからない、大変なこともあるのかもしれない。

辛いこともあるのかもしれない。

だけど、オセロのような龍神たちはいつもパワフルで、たくさんのパワーをくれる。




だから、もう少し頑張ろう。

きっときっと、いい未来が待っている。


さあ、今日もまた元気にいこう。

今日はなにをしようか。




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