40代以降の膝の痛みでもっとも多いのが変形性膝関節症です。
肥満した五十歳代女性に多く(男女比1:2~3)、病変としては骨棘形成、骨硬化などがみられ、炎症を伴うこともあります。炎症が起こると関節液がたまり、膝関節が腫れ、触ると熱感を感じます。この時、膝蓋骨を関節腔に向けて押すと沈み、手を離すと浮き上がる膝蓋跳動がみられます。
膝関節は、体のなかで最大の関節であり、体重という大きな負荷、跳んだり走ったりする時の負担に耐えていることから荷重関節とも呼ばれます。
膝関節は大腿骨下端、脛骨上端、膝蓋骨、そして、それらの表面を被う軟骨などから成り、毎日何回も屈伸運動を行うために、軟骨は少しずつ擦り減ります。つまり、変形性膝関節症は加齢によって軟骨が弾力を失い、摩耗することで発症するといわれています。
変形性膝関節症では以下のような症状がみられます。
①立ち上がり、歩き始めなど動き始めに痛む(運動開始時痛)②階段昇降、長時間の歩行で膝が痛い(運動痛)、③膝関節内に関節液がたまる関節腫脹(関節水腫)④正座や和式トイレでしゃがめない(運動制限)⑤膝関節の変形、⑥歩行時の側方動揺、⑦膝関節前面、側面、後面の圧痛、⑧膝屈伸時のあつれき音、クリック、⑨膝蓋骨を動かした時のざらつきと疼痛、⑩大腿四頭筋の委縮
これらの症状は摩耗した関節軟骨の一部が関節液のなかに落ち込んで膝関節を包んでいる滑膜を刺激すること、軟骨がすり減り骨が露出することで起こります。
短期的な治療としては第一に針治療を行います。変形性膝関節症では膝蓋骨周辺や鵞足部(脛骨内側(膝から5-7㎝ほど下)に位置し、縫工筋、半腱様筋、薄筋の腱が骨に付着する部位)などに痛みが出ることが多いのですが、膝関節後側の腓腹筋内外側頭、半腱様筋、半膜様筋、薄筋、大腿二頭筋などの圧痛点、硬結、筋緊張部位を探し、低周波針通電を施し、筋緊張をとると膝の痛みが楽になることが多々あります。
長期的には安静の保持、膝への荷重を減らすための減量がとても重要です。