ブルベってステキな趣味だと思います。反面、理解されづらい趣味だとも思います。なぜなら、世間様の普通の範囲を思いっきり逸脱しているからです。自転車で走る距離は、普通は片道数kmがいいところでしょう。自転車の値段は、普通は2〜3万円といったところでしょう。自転車の所有台数は、普通は1人1台でしょう。自転車で走る最低距離が200kmとか、オレのロードバイクは数十万円とか、我が家にはロードバイクとMTBとブロンプトンとリカンベントがあるけれどアイスブルベに出るからファットバイクが必要とか、普通の人にはあまり話をしないほうが身のためです。私の妻の仕事関係の人がロングライドに興味を持ち、ロードバイクを買ったそうです。1日100km走ることを目標にしているそうです。話の流れで妻は言いました、「私の夫は1回に600km走る」と。「基地外ですね」と言われたそうです。ブルベってステキな趣味だと思いますけれど、これが世間の普通です。私がどんなにブルベのすばらしさを語ったとしても、サイクリングに対する前提が違いすぎて、まったく理解されません。ですので、私は、ブルベの最中に何をしているのか尋ねられたとしても「ちょっとそこまで」とか、「自分勝手に走っているだけです」などと、答えるようにしています。ではでは、そんな非ブルベ民との交流があったトカプチ400の様子を綴っていきまっしょい!
国内に6箇所あるナショナルサイクルルートのひとつ「トカプチ400」をブルベ用にアレンジしたコースです。然別湖畔で森林浴を楽しみ、幌鹿峠から九十九折を降って十勝三股でノスタルジーに浸ります。絶景・三国峠でカフェをきめて折り返し、十勝平野の豊かさを感じながら音更までロングダウンヒル。道の駅や音更の街でまったり補給して、利別からは下り基調のひねもす河川敷ライド。浦幌から昆布刈石を回ってナウマン国道で満天の星を堪能し、大樹で北上開始。マジックアワーのパープルハイウェイ(イメージ)を疾走して、清川からスパッとほぼ一直線にゴールを目指す403.6km。獲得標高は3,728m。
獲得標高の多くが前半に集中しており、然別湖へ向かう白樺峠、ぬかびら源泉郷へ向かう幌鹿峠、そして道内国道最高標高を誇る三国峠へと厳しい上りが続きます。三国峠を上った後は、帯広市までの長い下りとその後は平坦に見えますけれど、小さなギザギザが侮れない雰囲気を醸し出しています。私は、400kmを苦手としていることもあり、今回も厳しい内容になりそうな予感をもって準備を進めました。
前日に三国峠経由で音更町の温泉宿へ移動、夕食にインデアンをキメて、コース前半の長い無補給区間に備えて食料を買い込み、5:15ごろ起床、朝食、チェックアウトをし、数分の距離のスタート地点に移動しました。

すでに参加者さんたちが集まっています。私が到着してまもなくラナさんがいらっしゃいました。前日に帯広市内でクルマと接触しかけたとツイートしていらっしゃいましたので気をもんでいたのですけれど、ケガもバイクの故障もなかったとのことで安心しました。
まずは、受付名簿兼権利放棄書に署名をして、受付番号を伝えてブルベカードを受け取ります。
ブリーフィングを待っていると、「何のイベントか」と話しかけられました。前口上で述べたとおり、私はこんなときに、口角泡を飛ばしてブルベのすばらしさを語ることはしません。「みんな好き勝手に集まって、好き勝手に走るだけです。(三国峠まで行くのか、という問いに対して)まぁ、そんなところですね。」というような具合です。なぜなら、我々に話しかけてくる人は、自転車に興味と理解のある人1割、自転車にはほとんど興味はないけれど、なんだかよくわからない集団がいるから興味本位で声をかけてみた人7割、異質なものに悪意を持っていて、隙あらば責め立ててマウントをとりたい人2割、だからです(いもさく調べ)。身も蓋もない考えかもしれませんけれど、後ろ指だけは指されないように、丁寧な対応は心がけています。

サドルバッグは、オルトリーブで、防寒用のウインドブレーカー、ウインドベスト、予備チューブに加えて途中で入浴するための風呂道具が入っています。ダウンチューブのボトルケージにはボトル、シートチューブ側にはR250 ツールケース スリムスーパーロングタイプ カーボン柄/ブラックファスナーと携帯ポンプ。トップチューブバッグまでは300kmまでと同じ装備です。今回は、前半の長い無補給区間に備えて多くの補給食を携行するためにフレームインナーバッグを追加しました。あと、前夜までに確認した天気予報では全行程で曇りだったのですけれど、スタート時の雲行きが怪しかったのでフェンダーを取り付けました。
毎回同じ装備なのに毎回同じ装備紹介をしてしまうのは、誰かの参考になれば嬉しいな、という思いからです。どのブルベ出走記事を読んでも装備紹介に行き着くようになっています。見飽きたという方は、サラッと読み飛ばしてもらえると幸いです。

ハンドル周りは、ガーミンエッジexplore2、eTrex30x、シールパックに入れた簡易キューシート、予備チューブとコンデジを入れたR250ドラム型フロントポーチラージ。400kmは夜通し走るので、前照灯の予備バッテリー2個をそれぞれシールパックに入れて、ポーチに仕込みました。が、夏至近くの北海道は夜が短く、予備バッテリーの出番はありませんでした。

ハンドル下にはキャットアイボルト800を2本。そして、ガーミンエッジexplore2の下には拡張バッテリーを装着しました。カタログ値からもこれまでの経験からも、explore2の内蔵バッテリーでは400kmの27時間は保たないことがわかっています。

リア周りは距離による装備変更はなく、尾灯は、キャットアイオムニ5とリフレックスオートの2灯です。
ブリーフィングではキューシートや出走ガイドに沿って走行上の注意などを受けます。PC1のセブンイレブン上士幌店にはゴミ箱がないので、スタッフさんがゴミを引き取ってくださるとのこと。持続可能なゴミの引き取りのために、節度ある使い方をするように求められました。まぁ、ゴミの引き取りはスタッフさんのご厚意によるものですから、当然の話です。ブルベは、自己責任、自己完結が原則ですから。また、ご後援くださっている音更町と音更町物産協会からお土産があるとのことで、ゴール後に受け取るようにアナウンスがありました。
安全装備の確認を受けるために車検の列に並びましょう。ヘルメットと反射ベストの着用、自転車本体に固定された前照灯2灯と尾灯の点灯、ヘルメット尾灯の点滅の確認を受けますので、灯火類は点灯または点滅させておき、ブルベカードに出走サインをもらえるように準備しておきます。
車検を終え、エントリー40名、出走34名という面々で、自身今シーズン初の400kmの旅のはじまりはじまり~。
前日までに確認した天気予報では、スタートからゴールまではほぼ曇り、気温は20度ほどでしたので、服装は夏用半袖ジャージ、ビブショーツ、アームカバー、レッグカバー、指切りグローブ、のつもりだったのですけれど、日差しがなく、霧雨の空模様では肌寒さを感じましたので、ウインドベストを追加してスタートを切りました。

スタートして数分、信号待ちで鉄夫さんが追いついてきました。少し言葉をかわして、爽やかに追い抜いていきました。
北海道を、そして国内を代表する穀倉地帯の十勝平野を、鈍色の雲の下、いつもどおりスタート直後からボッチで軽やかにペダルを回します。風はなく、25km/hほどで巡航します。
旅の途中で幾度となく見かけることになる、ナショナルサイクルルート「トカプチ400」のコースを示す看板です。既存の柱への併設ではなく、独立した柱に設置された看板に国の意気込みを感じます。ふと疑問に思ったのですけれど、我々ランドヌール(ズ)は400kmを27時間以内に走ってしまいますけれど、ナショナルサイクルルート「トカプチ400」を旅するサイクリストさんは何日かけて走破するのでしょう。サイクルマップでは8セクションに分けていますので、おおむね8日間なのでしょうか。コースは帯広市の南北に分かれてもいますので、南部と北部の2回に分けて走ってもらうことも想定しているのかもしれません。
防風林と畑地の景観は、石狩平野などでも見ることができますけれど、十勝平野で目にするそれは、やはり格が違うというか、なにか特別な感じがします。
7:39、17.9km、今回1つ目のカントリーサインを眺めつつ鹿追町に突入。ほぼ無風の中、引き続き25km/hほどで旅を続けます。
作物の名前がわかりませんけれど、畝に沿って整然と植えられた苗の景観もまた十勝らしさを感じます。

美瑛の丘300まではイマイチ本気を出し切れていなかったexplore2でしたけれど、今回は俄然張り切っていて、曲がり角での音と画面によるナビが冴え渡っていました。eTrex30xもやる気十分で、安心して旅を続けられます。26.3km地点、鹿追町市街地にある最初のコンビニは、用事がなかったのでスルーしました。次のコンビニは、161.5km地点です。オダックス・ジャパン北海道のブルベは、正統派というか優しさに満ち溢れているというか、30kmごとにコンビニがあったりするのですけれど、ときどきこういったツンデレっぽさをぶっこんでくることがあります。幻となった知駒400にも150kmを超える長いコンビニ無し区間がありました。
8:03、1時間ぶりに参加者さんと行き合いました。
地元中学の自転車通学生と邂逅しました。軽快車に混じってロードバイクもいることに驚きます。これが十勝スタンダードなのでしょうか。この後行き合った別の集団にはLivを駆る女子生徒もいました。若いうちに一流に触れることっていいことだと思いますけれど、そこに投資できる親御さんには脱帽です。お子さんがお小遣いを貯めて手にしたのかもしれませんけれど、どちらにしても脱帽です。

然別湖へ向かう白樺峠は、Ride with GPSだと延長7.7km、平均勾配6.7%ですので、私のホームコースである知駒峠と同じくらいです。無理せず上っていると、2、3人の参加者さんと行き合いました。写真の方ではありませんけれど、その中に、ジブぽんさんっぽい方がいらっしゃいましたので、「もしかしてジブぽんさんですか?」と尋ねたところ、ジブぽんさんでした。また1人フォロワーさんとお目にかかることができました。二言三言言葉をかわして、そっと前に出てみました。上りは、いつもヘッポコですけれど、この日は輪をかけてヘッポコで、右足首に痛みを感じていて、まるで踏めず、トルクがかからない状態でした。
せっせと上っていると、思いがけず強めの日差しを受けたりして、額に汗が滲みます。9:32、ようやく峠の頂上が見えてきました。然別湖までの下りで尻と脚を休めましょう。
白樺峠から然別湖までの下りは幅員が狭く曲がりくねっています。おまけに路線バスにつっかえたりして、ハアハア言いながら上って貯めた位置エネルギーをブレーキシューとホイールリムの摩擦熱に変換して放出する無駄遣いをする羽目に。
第2話へ続きます。













