つらい思い出はスルメイカ、噛めば噛むほど味が出る。
楽しかった思い出は、時間が経つと案外忘れてしまうものですし、他人に話したとしても「よかったね」「いい思いをしたね」で終わりがちです。
ブルベのゴール受付で参加者さんがスタッフさんに「あそこの登坂がホントにつらかった」などと話をするのは、自身の経験を含め、よく目にするものです。そんなつらい思いをした話をしている参加者さんの表情は、どこか楽しげです。心底つらい思いをしてくじけてしまった人はゴール受付に来ることはないからです。そして、そのつらいコースを設計したり試走をしたりするスタッフさんは、そのつらさをよくご存じですので、共感の思いをもってその話を聞いてくださいます。称賛ではなく、この共感というヤツが心底うれしく、ブルベ沼にハマっていく、つらくも楽しい罠だったりします。
わかっていても、いえ、わかっていないかもしれませんけれど、そんな罠に再びハマってしまった江差600のつらくも楽しい様子を綴っていきまっしょい!
江差は北海道で最も早くに開けた町の一つ。今年の夏はかつてニシンで栄えた道南の歴史ある街並みを観に、江差まで自転車で行ってみましょう。スタートは札幌。JR発寒駅を出発したらまずは峠へチャレンジ。毛無峠・樺立を抜け倶知安まで南下、さらに羊蹄山・昆布岳の麓を抜け豊浦まで下ります。噴火湾に沿って静狩峠を越え、長万部まで走ったら次は内陸へ。美利河峠を越えて今金・せたなを過ぎ太櫓越峠を越えたら後は日本海を観ながら熊石・乙部を経由して江差まで走り抜けましょう。帰りは来た道を辿り今金まで戻ります。さらに長万部まで戻ったら今度は黒松内、目名峠を超えて蘭越経由で倶知安へ。赤井川市街を抜け冷水峠、フルーツ街道を通り蘭島に出たらゴールはもうすぐ。最後の力を振り絞り小樽市街を抜けて札幌に帰る603.1km。獲得標高は7,444m。とんでもない超級山岳はないものの、毛無峠、樺立峠、静狩峠、美利河峠、太櫓越峠、目名峠、冷水峠など多くの峠を上り下りしますし、往路と復路で同じ道を走るところが多くあり、ひとつの峠を両側から味わえる、一粒で二度おいしいお得な(?)コースとなっています。この獲得標高の多さと多くの峠に尻込みしてしまい、去年は出走をためらってしまいましたけれど、今年はトライしてみた次第です。いつもどおり、前日にクルマ輪行をして札幌市で前泊をし、3:00起床、チェックアウト、スタート地点近くへ移動し、白んでいく東雲の空を眺めながら朝食を摂り、自走でスタート地点へ向かいました。

スタッフさんとジャパン・グランドネ2025北海道1200km納沙布岬スタッフ認定試走の話などをしつつ、受付名簿兼権利放棄書に署名をして、ブルベカードを受け取ります。ラナさん、Gekizaka Cycle Coreさん、およそ2年ぶりにお目にかかるMichiaki ISHIDAさんと言葉をかわします。リドレーのバイクで見送りにいらっしゃっていたガーティーさんと思しき、ロット・スーダルのジャージを召した方に声をかけたところ、ガーティーさんでした。美瑛の丘300やトカプチ400で行き合っていたのですけれど、ようやく挨拶ができました。

装備紹介です。トピークのトップチューブバッグ、オルトリーブサドルバッグは、いつもどおりです。600kmの長距離の割にサドルバッグが小さめなのは、替えのジャージなどを持たなかったためです。暑くなりそうでしたので水を多めに持ちたくて、いつもシートチューブ側のボトルケージに刺さっているR250 ツールケース スリムスーパーロングタイプ カーボン柄/ブラックファスナーはサドルバッグに収納し、代わりに水のペットボトルを持ちました。その他、サドルバッグには、チューブ2本、キャットアイボルト800の予備バッテリー2個、2日目のハンドタオルと靴下が入っています。フレームインナーバッグは、今回が初運用となるRhinowalk(ライノウォーク) バイクバッグ バイクフレームバッグ 防水 バイク トライアングルバッグ 2.1L 自転車ポーチ アンダーチューブバッグ プロフェッショナルサイクリングアクセサリー(XL)を持ちました。400km以上で携行するROCKBROS(ロックブロス)フレームバッグは容量が大きくてよいのですけれど、やや大きすぎて、特に夜間のボトルのノールック抜き差しに難儀するのが課題でしたので、少し小さいものを買い増してみました。右側のメインの荷室には菓子パンなどの補給食を、左側のサブの荷室にはモバイルバッテリーと充電ケーブル各種を収納しました。使用感はなかなかよく、十分な補給食を収納できる容量とスムーズなボトルの抜き差しが両立でき、長旅に大いに役立ちました。

ハンドル周りは、ガーミンエッジexplore2、eTrex30x、チャック付きポリ袋に入れた簡易キューシート、コンデジを入れたR250ドラム型フロントポーチラージと、いつもどおりの装い。

ハンドル下にはキャットアイボルト800を2本。400km以上で必要となるガーミンエッジexplore2下の拡張バッテリーは持たず、代わりに10,000mAhのモバイルバッテリーで対応しました。宿での仮眠時に、モバイルバッテリーからスマートフォンとスマートウォッチに充電し、explore2には復路を走りながら充電しました。ガーミン拡張バッテリーは、ガーミンエッジの防水性を担保しながらバッテリー容量を拡充できるスグレモノなのですけれど、その重量により走行中の振動でマウントが垂れてくるというデメリットがあります。後から思えば、宿での仮眠中に拡張バッテリーからexplore2に充電する手があったな、と思ったり。
ブリーフィングではキューシートや出走ガイドに沿って走行上の注意などを受けました。道路工事による片側交互通行、コース沿いの湧き水の活用による暑さ対策、通行止めの急峻な迂回路など、ありがたいお話しをいただきました。
安全装備の確認を受けるために車検の列に並びましょう。ヘルメットと反射ベストの着用、自転車本体に固定された前照灯2灯と尾灯の点灯、ヘルメット尾灯の点滅の確認を受けますので、灯火類は点灯または点滅させておき、ブルベカードに出走サインをもらえるように手に持っておきます。
車検を終え、エントリー19名、出走13名という面々で、SRがかかった600kmの旅のはじまりはじまり~。
曇天無風の夜明けの札幌市街地をトレインを組みつつ小樽市へ向けてペダルを回します。28km/hほどのペースを維持しつつ、信号で停まりながら、トレインは伸びたり縮んだりを繰り返します。5:26、8.3km、この日初めてのカントリーサインを眺めながら小樽市に突入。

ラナさん、Gekizaka Cycle Coreさん、nao_tcr2017さんに牽かれながら早朝の国道5号を西進します。今回も、作戦らしいものはなく、1)停車はできる限りPCのみとする、2)停車時間を短くするために、補給食は菓子パンまたは調理パンとし、走りながら食べる、3)納沙布岬1200で睡眠の重要性を思い知ったので、3時間の睡眠を確保する、という理想を掲げました。
5:40、日本海が見えてきました。今回の旅では、日本海と太平洋の両方を往復とも望むことになります。あ〜、復路では太平洋は見えないかもしれませんね〜。

序盤の100kmほどはGekizaka Cycle Coreさんとご一緒することが多かったです。私は普段、ホントにボッチ走行ばかりなので、こうして参加者さんと一緒に走ることは新鮮でとっても楽しかったです。小樽市市街地を2人でミスコースしながら走ったのもいい思い出です。いつも楽しいYouTube動画をありがとうございます!

Gekizaka Cycle Coreさん、nao_tcr2017さんとは、PCじゃないローソンで別れ、初めて上る長い毛無峠をせっせと上ります。まだ序盤でしたし、それほど気温は上がっていませんでしたので、脚は軽やかに回り、いい感じにペースを作れていました。途中の橋から、遠く眼下に石狩湾と小樽市の市街地を望みます。クルマで巡回中ののざ@ノズトフさん、noztoff(ノズトフ)さんが声をかけてくださり、写真を撮ってくださいました。このときの写真を後日拝見すると、ホントに手前味噌ながら、いい笑顔をしてるなぁ、と。普段は眉間にシワを寄せてつまらなそうな顔をしていることが多いので、心底意外というか、ホントに自転車が好きなんだなぁと思ったりします。
7:18、37.8km、赤井川村に突入。毛無峠の頂上付近は、2度の上り返しがあります。
7:21、38.4km、頂上っぽい小さな看板を通過。
道の駅あかいがわまでの長い下りを楽しみます。ブリーフィングでは、この区間の路面の縦溝に注意するようにという話がありましたけれど、私はそれほど気になりませんでした。道路脇の水田では、稲穂が実りつつあります。
北海道新幹線の橋脚工事が進んでいます。
7:50、54.8km、道の駅あかいがわ前を通過。用事がなかったのでスルーしました。通り過ぎてから慌てて写真を撮りました。

次は樺立峠を上りましょう。クライムプロによると延長およそ5.4km、平均勾配5.5%ですので、それほど厳しいわけではありません。まだまだ序盤ですので、体力も気力も十分です。途中、Gekizaka Cycle Coreさんが軽やかに追い抜いていきました。
8:28、64.1km、2つ目の大きな上りを終え、樺立トンネルに到着。トンネルの中が涼しくない・・・。
8:34、66.2km、トンネルを抜けて倶知安町に突入。長い下りを終えれば、PC1です。
いつもなら下りは脚を止めて脚と尻を休めるのですけれど、この日は30km/hくらいまではできる限りペダルを回してみました。江差町の宿でできる限り睡眠時間を確保したかったので。
道路脇にはソバが小さな白い花をいっぱいに咲かせています。
羊蹄山が大きく見えてきました。PC1までもう少しです。
9:08、80.7km、PC1セイコーマート俱知安北3条店に到着。気象庁データによると、このときの気温は26.7度で、暑いというほどではありませんでした。
第2話に続きます。
















