こんにちは!税理士の高山弥生です。
節税、脱税、租税回避の違い、わかります?
節税と脱税ははっきりしてますが、租税回避?
まずは節税とはなんでしょう?
これは税法の範囲内で税負担を減少しようという行為。
必要経費を適切に計上して課税所得を小さくしたり、
税額控除などを適用して税負担を少なくすることは、
税法によって認められた行為で節税。なんにも悪くない。
租税回避とは何でしょうか。
租税回避は課税要件をくぐり抜けるために
通常ではありえない不自然、不合理な取引形態を採用するこ。
つまり、法の抜け穴を突いて、課税を逃れようとする行為。
これは税務署としては課税したいのですが、できない。
なぜか。
日本は「租税法律主義」という立場を取っています。
国民がどういう場合に課税されるということを
あらかじめ知っていなければならないとするのが
租税法律主義ですから、
租税回避は法で定めていない部分をついて
税から逃れているため、課税することができないのです。
実際に、このようなケースでは裁判で国が敗訴しています。
最後に脱税は?
脱税は仮想隠蔽によって納税を免れること。
仮想隠蔽とは
裏帳簿の作成、
売り上げの除外、
架空仕入れ、
架空経費の計上、
棚卸資産の除外、
税務調査での虚偽の答弁,
他人名義や架空名義の使用
などですね。
捨ててあるレシートを拾う、
白紙の領収書に自分で金額を記入する
棚卸をちょろまかす(棚卸が少なければ原価が増えます)
なんて行為も脱税!
軽い気持ちでも犯罪なんです。
売上除外は売上をなかったことにしてしまうことです。
商品を引き渡したものの、
代金は事業用ではない通帳に入れてもらう、といったようなやり方です。
今年はやたら儲かっているから期末の売上を翌年1月に回す、
というのは「期ズレ」と呼ばれます。
調査で見つかれば直して、となりますが脱税とはみなされません。
翌期ではありますが売上を計上していますから、
脱税(売上の除外)とまでは見なされません。
もちろんよろしくはないですが・・・。
たまに見かけますね、期末月の売上がガクンと減っている。
ちょっと知っている人間からすれば思いっきり怪しく見えますので
調査に入られれば修正を求められるでしょうし、心証が悪くなります。
あったものをなかったことにしたり、
なかったものをあったことにすることが脱税です。
租税回避は法的には悪くないのですが
武富士事件みたいに何年も争う可能性もあるわけです。
税金を安くするために負う負担としてはどうなんでしょう。
何年も裁判を当事者として抱える心理的負担は相当でしょう。
とはいいつつ、税理士として求められるのは
税負担の軽減、はつきものなので、租税回避チックなことを
考えたくなるところもあるんですよね。
難しいところです。