印刷技術 情報伝達 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

昔、小学生くらいの頃に、「伝言ゲーム」って言う遊びをしませんでした?

「A君とC君が、海へ遊びに行ったら、クラゲに刺されてしまって大変だった」

って言うのを、ヒソヒソ話で順番に一人づつ、10人位に伝言して行くとね、

最後には「A君が海でクラゲ食べて死んじゃった」とかに変わってしまうって

言うヤツですよね。10人が正確に伝言して行くってのは難しい話ですね。

 

でもね、印刷現場の人達ってね、この伝言ゲーム、メッチャ、ヘタクソな人が、

ケッコウ多いように思います。10人どころか、営業マン一人からの伝言すら、

まともに解釈出来ていないとか、工場長からの指示を他のメンバーに正確に

伝える事も出来ないとかね。

 

例えばね工場長から、「社長からの指示で、15時に事務所へ全員集まる事」

って言う指示を受けて、次の人に伝える際、ここに余計な感情が入ってしまう

場合が有ります。「なんや知らんけど15時に事務所へ集合やて。社長はんが

エライ怒ってはるそうやでぇ」 ⇒ 「社長が怒ってるから15時に事務所やて」

その内に、15時に事務所集合って言う、肝心な情報が無く成ってしまって、

「工場長と社長がケンカして怒ってるらしいわ~」 くらいに成ったりとか(笑)。

 

我々、印刷現場の人間ってのは、基本的に「機械」を相手にしている仕事で、

人間を相手にするのがメインではないので、コミュニケーション下手に成って

しまいやすい事は否めないと思います。必要な情報だけを端的に伝達すれば

良いだけの事なのに、余分な感情だとか、相手への遠慮とか、自分自身の

思い、なんてのが入り混じって、情報に尾ひれ手ひれが付いてしまう。

 

一番アカンのはね、こうした状態を、いつまでも放置してしまう事なんですよ。

「その内、何とか成るだろう~」・・・いいえ、成りません。放置しておけばおく程、

状態は悪く成って行きます。「んじゃ、一人づつ教育して行くのか?」・・・それ、

多分、無理です。個別に教育したって、同じ様な成長は望めないんですよ。

 

印刷現場で、伝言ゲームは成立しません。「んじゃ、書面で伝達するか?」

もちろん、それもイイんですが、それではコミュニケーション下手のままです。

「どうする?」・・・工場長からの伝達事項が有れば、その場で即!全員集合!

「いや、今、印刷機が回ってるから」・・・停止させればイイだけの話ですよね。

停止ボタンの押し方を知らない機長なんて、まず居ないでしょう。(笑)

 

ハイッ!3分以内に全員集合ッ!と号令を掛け、全員が居る前で、伝言を

伝える。「社長から話が有るので、15時に全員、事務所へ集合する事。」

そんな事を言えば、ざわめきますわね。・・・どんな話だ?会社が危ない?

俺たちの給料が減るのか?「意見が言いたい者は、手を挙げろッ!手を

挙げて言えない様な事なら黙れッ!」

 

最初はね、手が挙がりません。でもね、こんな事を何度も繰り返していると、

少しづつ手が挙がる様に成ります。全員の前で、正式に自分の意見を言う

って練習ですよね。まるで小学校の学級会か、中学のホームルームの様な

光景ですが、コミュニケーション不足の人達には、ここから始めるべきです。

 

現場内のコミュニケーションが良好に成って来ると、いろんな事が変わって

来ます。「へぇ~、この特色を刷る時、そんなやり方してるんだ。今度オレも、

それでやってみるわ~」とか、「ウチはもう終わるから、今日、整備やるなら、

オレも手伝えるよ」とか、そう言ったコミュニケーションの一言一言が、より

良い現場を作って行くんですわ。

 

印刷現場は、時間との闘いです。不確かな伝言ゲームなど、やってるヒマは

有りません。不確かな物に頼るくらいなら、一気に生産を止めてでも、一発で

正確な伝達と、正直な意見交換を行い、何一つ迷う事無く、生産に没頭する

ことが可能な環境を作り上げる。情報の共有化ってね、それくらいに大切な

ものだと思うし、それ以上に、コミュニケーションってものは、大切ですよね。