印刷技術 非常識 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

その事柄が、常識なのか、はたまた非常識ななのか。それを判断するって

言うのは、実は非常に難しい事だったりします。自分のモノサシで測れば、

自分にとっては、完全に「常識」って事柄でも、他の人のモノサシで測ると、

何とも大変な「非常識」だったりする事も、多々有ります。

 

私より、6歳年下の男性、今年56歳に成るのかな?彼は未だにスマホを

持っていません。でも携帯は頻繁に使っていますから、いわゆるガラケー

ってヤツの愛用者です。彼は「アプリ」と言う物の存在を、一切知りません。

詳しい事は、あとでメールしておくわ~。LINE しとくから、読んどいて~。

 

「ゴメン、メールとかLINEとか、よ~分からんから、また後で電話して~」

なんて感じです。ガラケーの中でも、お年寄り向け?の簡単な物しか使っ

た事が無いのですから、彼にとってはアプリを知らない事が常識なんです。

 

ええッ!今時の50歳代で、メールもLINEも出来ない人が居るの?そりゃ

また、非常識な人だねぇ~。ってな具合に、他から見れば、彼の方がね、

圧倒的な、非常識人って事に成ってしまいますわね。まぁ彼の場合だと、

アプリを入れても、文字を打つ事は出来んでしょうけどね。(笑)

 

こうした、いわゆる「格差」ってヤツが、もっともっと激しいのが、印刷現場

なんですわ。ある印刷現場では、5千枚通しの物なら、午前中に3台は

仕上げるってのが、普通な所もあれば、午前中に1台が精一杯でしょう!

それが常識ッ!と、胸を張る現場も有ったりしてしまうんですよ。

 

おいおいおい、午前中に5千枚通し1台だけって、それで利益が出せるの

かよう~。見れば、チンタラやってるとしか思えんような動きだけど、それが

「常識」なんて、よく言ってられるなぁ~。改善する意思は無いの?

 

それが常識だッ!と信じ込んでしまっているから、あえてその常識を覆して

午前中に2台仕上げよう!なんて言う考えが、起きるはずも無いですよね。

間違った常識ってヤツは、人の成長を妨げてしまう恐ろしい物なんですよ。

 

例えば、印刷機に付ける人員に関しても、その常識は様々です。菊半才判

いわゆる「ベビー」って言う4色機を、2名で使うのが常識だと言う現場さん、

今でも多く有ります。ベビー1台の生産高で、2名分の人件費を捻出するって

言うのは、かなり難しいと思うんですけどねぇ。

 

ベビーを二人で使っている機長さんに話を聞くと、「ええッ!一人でやったら、

紙積みの時間だけ、生産が落ちるだろう!二人でやって効率を上げる方が

いいに決まってる!」と言い訳しますが、その作業状態を見てると、紙積みを

補助の人がやってる時間、機長さんはチンタラしてるだけにしか見えないん

ですよね。こりゃ、自分が楽したいだけの言い訳やな。って思いますわ。

 

それとは真逆に、菊全の4色機を一人で使うのが常識だ!と言う現場さんも

多々有ります。菊全で一人だと、紙積みとか大変でしょう?と機長さんに訊く

とね、「いや~、ウチは昔から一人でやってるから、これが常識なんでねぇ~」

などと、あっさり言ってのけてしまいます。

 

「常識」って言うものに対する考え方の差、取り組み方の差で、その現場さんの

モチベーション、やる気、なんてものに雲泥の差が出来てしまいます。おそらく、

マイナス方向に設定された常識は、自分達だけで改善する事は不可能でしょう。

どんな改善案を出したって、「いや、これまでの常識だから」と一蹴されて終わり。

 

事実上、今の印刷業界は、非常に厳しい状態です。甘い事を言っていると、

減収だとか、リストラだとか言う波に飲み込まれてしまいかねないんですよ。

こんな時だからこそ、自社内の「常識」ってヤツを見直してみる。本当にそれ

って、他社でも通用する様な常識なのか?メチャクチャな「非常識」である

可能性はないのか?・・・自社内で、自主的に、そんな事が見直せるように

成ったら、本当に強い現場が出来上がると思いませんか?