印刷技術 pH管理 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

湿し水の、冷却管理タンク。ウチの製品なら、TOP-ONE とかですね。

このタンク内で、エッチ液の添加量を制御しているのは「定量添加方式」です。

例えば、湿し水が 5ℓ 減ったら、水道水を 5ℓ 追加して、その時の添加量が、

2%ならば、5ℓ の2%で、100cc のエッチ液が自動的に添加されると言う

方式ですわね。(正確に言うと、エッチ液100cc+水道水で、5ℓですよね)

これに対して、pH管理方式ってのが有ります。

 

2%の定量で添加するのではなく、pH値を読み込んで、例えば、pH5.0で

設定してあったら、常に 5.0 に成る様にエッチ液を添加して行くと言う方式

なんですが、今のエッチ液は、この方式で制御する事が出来ません。

 

ずっと昔なら、pH管理で制御可能なエッチ液が、普通だった時代も有るの

ですが、今時のエッチ液は、それに対応していないんですよ。昔のエッチ液

と比べた場合、今のエッチ液は非常に高性能です。pH管理方式を捨て去る

事によって、その高性能さを維持し、更なる性能を求められる様に成ったと

言っても決して過言ではないんですわ~。

 

湿し水は、本来、弱酸性が良いと言われていた時代が有ります。これはね、

版の性能が悪く、その版を守る為の設定だったんですよ。だからpH5位が

良いとされていました。でもね、そんなのは、ずっと昔の、過去の話です。

今時の版も非常に高性能なので、pH 7.5 までなら大丈夫です。

 

ですからね、今時、湿し水のpHをウンヌンするなんてのは完全に無意味な

事だと思って下さい。・・・古い先輩から教わって、pHが6以上に成るのが

嫌だ!と、pHが上がるとエッチ液の量を増やすオペレータが、未だに結構、

居るのですが、そう言う人に限って、ハッキリ言って、ヘタクソです。

 

何も理解していないのに、昭和の昔の錆び付いた様な理屈を持ち出して、

pHが上がるのはアカンとか言ってる。まぁチャンチャラおかしいですわ~。

んじゃ、pHが7に成ってしまったら、その時の湿し水は、どう成ってると

言いたいんですか?って訊くと「真水に成っている」と、真顔で答えます。

 

笑わせんじゃねぇぞ、こらッ!定量添加でエッチ液が入ってるのに、なんで

真水に成ってしまうんだよ。だいたいなぁ、何で、こんなにpH値が上がると

思ってんだ?君がヘタクソで、インキを出し過ぎて、水も出し過ぎてしまって

いるから、インキが溶けて湿し水に、どんどん混入しpHを上げてしまって

いるって分からないかッ!・・・なんて事は、言いたくても言いませんが(笑)。

 

本当はね、ウチのTOP-ONE等からも、pHの表示なんて取り去ってしまい

たいと思っているんですよ。でもね、世の中には、いろんな人が居ますしね、

いろんなトラブルが起こります。例えば、湿し水の中に、大量な洗い油などを

間違って混入させてしまった。そんな時には必ずpH値に異常が出ますから、

そうした異常を察知する為にも、pH表示は必要かと思っています。

 

しかし、pH管理方式の装置は、絶対に無くすべきでしょうね。こんな物は

100%不必要ですわ。でもね、特殊な印刷方式の場合、(金属印刷等)の

場合は、未だにpH 管理のエッチ液を使っている事も有ります。そうした、

特殊な場合等を考慮すると、pH管理方式を残しておいた方がコストアップ

を防ぐ事が可能なので、未だに付いているってワケなのですよ。

 

とにかく、今現在は、必ず「定量添加方式で使う事」。そして「pH値は7.5

までなら、上昇しても一切気にしなくて良い」。と言う、この2点をシッカリ

理解しておいて下さい。