印刷技術 「誰から」「誰と」 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

例えば、観光で、どこかに行くとしましょう。

この時に「どこに行くか。いつ行くか。は、あまり大きな問題ではなく『誰と』行くか。

が最も重要な問題である。」 という言葉が有ります。つまり、温泉に遊びに行くと

して、顔も見たくない大嫌いな上司と一緒に行ったってねぇ、楽しくも何とも無い

ですよね。どちらかと言えば、出来れば一緒になんぞ行きたくないですわ~(笑)

 

しかし、大好きな彼女と行くのであれば行き先が温泉でなくても、近くの公園でも

一向に構わないし、来月でも来週でも何なら今すぐでもイイですわね。要するに、

どこに行くか。いつ行くか。よりも 「誰と」行くかが一番大きな問題なんですよ。

 

物を買う時も同じで「何を買うか。いつ買うか。よりも『誰から』買うかが最重要。」

なんだそうです。例えばロレックスの腕時計が有って、「これ、新品なら98万円よ。

これ中古だけど程度はスゴくイイね。普通なら中古で50万円だけど、今ならコレ、

20万円よ。おまえ、今、買わないとスゴく損ね。どうだ、おまえ買うか?」とかって、

中国の方から言われたとして、「ええっ、中国ってニセ物の国だよねぇ。これもさぁ

ニセ物でしょう」とか言う疑いを持ってしまって、なかなか手が出せないですよね。

 

でも、この売り手が有名時計店の店長さんで、「とても良い中古が手に入りました。

普通なら50万ですが、今なら25万で、お譲り出来るんですがいかがですか?」

って言われたら、心が動きますよね。何を買うか。いつ買うか。よりも誰から買うか。

が最重要って事なんですよ。・・・これね、教育や指導等でも同じなんですわ。

 

何を教わるか。いつ教わるか。よりも「誰から」教わるか。が、最重要なんですわ。

例えば、見るからに情けない様な、やる気が有るのか無いのか分からない様な、

そんな先輩から、仕事の手順について教わったとしても、まず信用出来ない!と

言うか、その真偽の程を、誰か他の人に確認したく成ってしまいますよね。

これが、常日頃から尊敬している上司からの教えであれば、即!納得ですわ~。

 

・・・私(成田)の仕事は、印刷の技術指導です。ほぼ、初対面の人達に印刷技術

を教える仕事をしています。そりゃ中には「えッ!あの成田さんですか!本を3冊

とも買って読んでます!ブログも毎日、見てますッ!」って言う方も、おられます。

こうした方にとって、私は、素晴らしい「誰か」に成り得るので、指導もスゴく簡単

なのですが、当然の様に、そうでは無い場合の方が多い訳なのですよ。

 

「・・・成田?誰じゃそれ。京都から来た?なんでそんなヤツの指導を受けなきゃ

成らんのだ。そんなヒマ無いぞッ!」って感じです。こうした方達にとって、私は、

偽物時計売りの外国人と同じなんですわ。その人の、間違ったやり方を正そうと

必死に説明を繰り返しても、疑いの白い眼を向けられるだけ。

 

そりゃそうですよね。私から見れば、メッチャ間違ったやり方で、もの凄く損をして

しまっているのに、彼にとっては、それこそが、長い年月を掛けて築き上げて来た、

自分自身の努力と苦労の結晶!の様な、最上級の「やり方」なワケですからねぇ。

こりゃね、チョッとやソッとでは、譲りませんわね。

 

でもね、こうした頑固な方の多くは、苦労を重ねただけの「作業者」である場合が

多いんですわ。それに対し、「技術者」って言うのは、何よりも向上心や好奇心が

強いので例えば、どこぞの馬の骨である私が言った、何だか分からんような理論

にも、取り合えず興味を示してくれます。

 

「ええ?何で、そんなやり方が正しいって言えるんですか?」・・・ですからね、御社

では伝統的に、こんなやり方をされてるじゃないですか。それって、ここで不安定な

要素が発生し、それを補う為に、こんな無駄な対応をされていますよね。であるなら

不安定要因を発生させてしまう、この作業を最初から削除してしまえばイイんです。

 

「ええッ!そんな事でウマく行きますか?」・・・ハハハ、実は、そんな不安定な作業を

しているのは、私が知る限り、日本中でも、この現場だけなんですよ。理論的に考え

ても、こうでこうでこうだから、この作業が無駄で、不必要な物だって分かりますよね。

「ああ、なるほど~」 ・・・私が、特別な「誰か」に、少しだけ近付けた瞬間ですね。

 

印刷現場の多くは本当に閉鎖的な場所で、各現場、各個人の中で独特な「やり方」が

出来上がってしまっていて、それが大間違いだとしても、それを誰も疑う事無く、長い

年月、それが「普通」だと思い込んで進行してしまっているケースが多々、有ります。

私自身が、もっと素晴らしい「誰か」に成り得れば、そうした現場を、すぐにでも楽にさ

せてあげる事が出来るのに。と、自責の念に堪えません。

 

日本全国の印刷現場の皆さんにとって素晴らしい「誰か」に成れる様、努力を積んで

行きますので、それが達成された折には、皆さんの現場で、是非ともお会いしたいと、

心の底から思っております~ッ!