印刷技術 紙 初級編 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

先日、地方の印刷会社さんから、「新入社員が入ったので、たまには、

初心者向けの話も書いて下さい。」 とのリクエストを頂きましたので、

今回は、紙のお話の、初級編をば。

 

まず、「紙の大きさ」の話です。A4判とか、B5判とかって言葉は、新人の

方達でも、聞き覚えが有ると思います。A規格と、B規格って言う、大きさの

規格が有って、A1判(A全判)、B1判(B全判)のサイズが決められてます。

 

A1判と B1判では、どっちが大きいか?

この覚え方は、とっても簡単なんです。A1判の、「1判」って所を「カップ」

って言い換えるんですわ。Aカップと、Bカップでは、どっちが大きいか?

女子は勿論、健康な男子諸君なら、すぐに分かりますよね。(^^)v

 

この、A1判を半分の大きさにした物を、A2判って呼びます。A2判を半分に

すると、A3判、これを半分にすると、A4判、さらに半分にすると、A5判と

言う具合の呼び方に成るのですわ~。

 

印刷業界に入ると、A と B 以外に、「菊判」 「四六判」と言うサイズ規格が

登場して来ますよね。この二つも、全判の大きさが決められているんですが、

A < K(菊) < B < 四六 と、全判の大きさは、一番小さいA判から、最も

大きな四六判へと、こんな順番で並べる事が出来ます。

 

これ、何となく、聞き覚えの有る順番じゃないですか? 「AKB46」

残念ながら、48ではないんですが、紙の全判サイズの大きさ関係を覚える時

には、「AKB46」 の順番で、A(カップ)が一番小さいって覚えればOKです(笑)。

 

さて、問題は「紙の厚み」ってヤツなんですわ~。普通、世間一般で「厚み」って

言ったら、こりゃ「〇〇mm 」って、mm (ミリ)とか言う単位で表すじゃないですか。

ところが、印刷業界では、紙の厚みを 「kg 」 キログラム で表すんですわ~。

こりゃ、本当に、ビックリですよねぇ。厚みが、キログラムって!なんで~ッ!

 

通常、薄紙の場合、全紙 1,000 枚分の重量で表すんですが、全紙 1,000 枚の

事を「1連」(いちれん)って言います。1連での重さの事を「連量」(れんりょう)って

呼びます。1連で、実際の重さが 76.5 kg 有れば、「 76.5 kg の紙」って呼ばれます。

これは菊判サイズでの数字なんですが、この上に「 93.5 kg 」ってのが有るんですよ。

 

同じ菊判で、同じ 1,000 枚なのに、その重量が違う。そりゃ何でかって言うと、

紙1枚づつの厚みが違うから。って事に成りますよね。つまり、76.5 kg よりも、

93.5 kg の紙の方が厚い。って事が分かるってワケなんですわ。

 

んじゃ、ここで問題です。本当は、こんな紙は有りませんが、A判 100 kg の紙と、

B判 100 kg の紙が有ったとしたら、どっちが厚いでしょうか?・・・分かります?

Aより、Bの方が大きな紙でしたよね。大きさが違うのに、連量が同じ。んじゃ、

何が違うのか?こりゃ、厚みが違いますよね。小さいサイズなのに 100kg 。

大きいサイズなのに、100kg 。って事は、小さいA判の方が、厚いって事ですね。

 

何で、こんな、ややこしい事をやってるのか?・・・紙ってね、その重量で金額が

決まる仕組みに成ってるんですわ。紙の単価は、1kg あたり、〇〇円で表します。

例えば、単価 150 円の紙が有ったとして、単価×連量×連数で値段が出ます。

 

93.5 kg の紙を、2,000枚 買うとしましょう。(単価は、仮に 150 円とします)

150 円×93.5 kg × 2連(2,000枚の事)=28,050 円  って事に成りますね。

(おッ!消費税が入ってないか~。この値段じゃ買えないっすねw)

 ・・・久々に計算したけど、紙って、やっぱり高いっすねぇ~(笑)。

 

これは、2級技能検定試験の先生をやってた時に講義していた内容ですので、

本当の新人さん達には、難しいだろうと思います。先輩さん達が、新人さんへ

教える際の、台本にして頂ければと思います~。