印刷技術 2色機でカラー | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

実は私、2色機で、4色カラーを刷っていた時期が長いんですわ~。

菊半才・ローランド・ファバリット って言う、メッチャ古い印刷機です。

もちろん、モルトンです(笑)。当たり前ですが、壺ネジ方式です(笑)。

 

21歳から、27歳位までの、6年位は、この2色機で毎日、カラーを

刷っていました。・・・2色機で、どうやって、4色カラーを刷るのッ?

若い方には全く経験が無いかと思いますので、今日は、そのお話しを。

 

刷り順は、1回目に、藍⇒紅 です。んで、2回目に、墨⇒黄 で完成。

当時はフィルム製版の、超~アナログな時代ですから、インクジェット

なんて物は、当然のように、有りません。なので、刷り色見本ってのは

「平台校正機」ってので印刷した、「校正刷り」ってヤツに成ります。

 

この校正刷り機で、4色カラーを刷って、お客さんからOKをもらって、

印刷機で、本刷りって事に成るのですが、校正機で4色カラーを刷る

時に、藍+紅の2色だけを刷った物を作ってもらうんですわ~。

これを「分色(ぶんしょく)」って言います。

 

2色機のカラーオペレータは、この「分色」を見本にして、藍+紅の

2色刷りを、まず完成させるってワケです。・・・ここが一番の勝負!

なんですよね~。4色カラーの出来、不出来ってね、紅で決まるん

ですわ~。紅の濃度をキッチリ出して、少し濃い目で勝負が出来る

ように成ると、メッチャ、綺麗なカラー印刷が出来るように成ります。

 

私は、この経験が長いので、カラー印刷物を見る時は、どうしても、

紅の良し悪しを基準で考えるように成ってしまっています。「ああ、

このカラー、紅での勝負が足らんなぁ~。だから色調の主張が甘い。

グラデーションも甘い。もっと紅で勝負せんとアカンわ~」てな感じ。

 

繁忙期が過ぎて、少しヒマに成ったら、今、刷り終えたカラーの

印刷物を、墨、藍、黄をOFFにして、紅の1色だけ刷ってみて下さい。

ルーペで、ベタや網点を覗いてみて、ベタがガサガサしてるとか、

網点がキレイじゃないとか感じたら、この紅版が、もっとキレイに

刷れるように、いろいろ改善してみて下さい。

 

紅がキレイに刷れるように成るとね、印刷物の品質や、見栄えが

格段に良く成ります。「カラーは、紅で勝負する」・・・頭の片隅に

置いておくと、色調が出せなくて困った時など、ケッコウ役に立つ

かと思います。

 

色調不良とか、色ムラとかで、クレームや、刷り直しに成って

しまった。なんて時の大半は、紅に問題が有る事が多いんですよ。