印刷技術 特別を普通にする | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

例えば、網点の線数です。

これまでの標準が「175線」ってヤツですよね。でも最近は、標準的に

「200線」を使う所が多く成っています。その理由は何か?って言うと、

 

① ジャギー(直線絵柄に出るギザギザ)を緩和させる。

② モアレ(網点による干渉模様)を低減させる。

 

なんて事の為に、200線を選択されている場合が多いかと思います。

CTPが無くて、フィルムで版を作っていた時代は、フィルム製作から

200線で作らなきゃアカンので大変でしたし、その200線のフィルムで

版を焼くってのも大変だったのですが、今時のCTPはデジタル制御

ですから、ソフトさえ有れば、何線で出すのも、メッチャ簡単ですよね。

 

んじゃ、175線と 200線で刷った絵柄(写真)が、どの程度違うのか?

って話なんですが、これねケッコウ違いが出ます。特に判り易いのは、

例えば、女性タレントさんの顔色なんてヤツですね。

 

私が最後に、現役で印刷してたのが、化粧品関係の物だったので、

例えば、A〇Bの〇〇さんの、ドアップの表情なんて言う印刷物だと、

175線と 200線では、雲泥の差が出る!ってほど違いが有りました。

 

簡単に言ってしまえば、線数が細かい(数字が大きい)ほど、網点が

小さく成りますから、色調が豊かに成ります。175線では、のっぺりして

しまっていた顔が、200線だと、立体感が出て、細かな色調がイッパイ

出て来るように成るんですわ。

 

化粧品関係の印刷物ですからね、例えば、ほお紅の色彩感とか、

アイシャドーや、アイメークの雰囲気が、175線と 200線では大きく

変わってしまいます。(もちろん、200線の方が綺麗ですよ)

 

色調が豊かに出るって事は、当然の如く、細かな色合わせの難易度が

高く成ります。175線なら「まぁ、こんなもんかな」で済んでいたような事が、

200線だと、「ほお紅が赤過ぎるので、少し抑えて下さい」なんて事に

成ってしまうってワケなんですわ。

 

「なんかさぁ、こんなに苦労させられるんなら、175線の方が良かったね」

なんて愚痴も何度か聞きましたが、要はね、「慣れ」なんですよ。175線が

通常だった時、200線ってのは、「特別」って事に成ってしまいますよね。

 

この「特別」だった事が、慣れて来れば「普通」に成るんですわ。

200線が普通に成った時、たまたま 175線を刷ると、「わッ!なんやコレ~、

カスカスやんッ!」なんて、色調の乗りの悪さにビックリしたりしちゃいます。

 

「特別」だった事を「普通」にする。・・・印刷用紙にも言える事ですよね。

私にとって、「純白ロールの裏刷り」なんてのは、未だに「特別」なので、

出来れば刷りたくないですが、コレを「普通」にやってる人も世の中には

沢山おられるワケですよね~。

 

私の場合、純白の裏刷りは「特別」ですが、ユポの仕事が多かったので、

ユポに関しては「特別」だと思った事は無く、「普通」だったんですわ~。

「エエッ!ユポッ!・・・ん~、出来れば、外注に出してよ~」 じゃなくて、

「ん、ユポ。 ああ、イイよ~」ってな、軽い感じで刷ってましたわ~。

 

「特別」だった事を、「普通」にしてしまう。そうすれば、何でも楽に出来ます。

それを毛嫌いして、いつまでも「特別」扱いしてしまっていると、技術の進化

が止まってしまいますよね。 何でも最初は、チャレンジ!ですわ (^^)v