印刷Q&A ダブリ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

 

昨日、ダブリの話を書かれておられましたが、私の知識不足で、

ダブリが発生するメカニズムが、イマイチ、明確に把握出来ません。

専門書を読んでも、なかなか納得出来ませんので、出来るだけ、

分かりやすく、解説を頂けませんでしょうか。(印刷管理者)

 

●回答

 

印刷管理者さん、質問、ありがとうございます。印刷オペレータ出身の管理者さん

なら、ケッコウ理解しやすいと思うのですが、オペレータ経験が無い方には、少々

理解が難しいかも知れないですね。・・・初心者向けの解説をしてみます (^^)v

 

例えば4色機で、4色カラーの印刷をしていたとしましょう。一番、分かりやすいのは、

油性(UVとかではない普通の印刷)だと思いますので、今回は油性での印刷の話で

進めて行きましょうね。油性ってね、印刷直後、デリバリィ(排紙部)に印刷物が出て

来た時、指で絵柄部分を触ってみると、指にインキが付いてしまいますよね。

 

指にインキが付いてしまうって事は要するに、まだインキが乾いていないって事です。

墨(1色目)⇒ 藍(2色目)⇒ 紅(3色目)⇒ 黄(4色目) と、印刷が進行して行くワケ

ですが、4色共、刷り終わった時点でも、まだ乾いていないんですよね。

 

つ~ことは、紙に1色目の墨が印刷されて、2色目の藍を印刷する時、これはまだ、

墨インキが、紙の上で全く乾いていない状態で、藍を印刷する事に成りますよね。

2色目の藍を刷るために2色目のブランケットに、墨絵柄を刷った紙が、圧着される

事に成るんですが、墨インキが乾いてないですから、藍のブランケットに墨絵柄が

付いてしまいます。つまり、藍のブランケットに、墨の絵柄を印刷してるって事です。

 

・・・ここまでは大丈夫ですか?簡単に書きましたけど、これって結構、スゴい事だと

思いません?って言うのはね、藍のブランケットに、墨の絵柄が付いてしまっている。

その藍のブランケットに付いた墨絵柄も、まだ乾いていませんから、次に刷る紙にも、

藍のブランケットの墨絵柄が、淡く、付いてしまうってワケなんですよ。

 

1色目で刷られた墨絵柄が、2色目のブランケットに残っている墨絵柄によって再び、

同じ色で同じ絵柄を印刷されてしまう事に成るのです。(もちろんチョッと淡くですが)

つまりね、細い文字の一つ一つ、小さな網点の一つ一つが、寸分の狂いも、全く無く、

バッチリ同じ位置に来ないと、太ってしまったり、二重に成ってしまったりした文字や

網点に成ってしまうって事なんですわ~。

 

ですからね、「ダブリ」 って言うのはね、1色目を印刷した後に、何らかの理由で、

紙が微妙にズレて、藍のブランケット上で、バッチリ同じ位置に来ることが出来ず、

そのズレた絵柄を、紙が拾ってしまって、墨が、二重絵柄に成ってしまう状態です。

(墨のダブリで説明してますが、これは藍や紅でも同様の事が起きますね)

 

この「何らかの理由」ってのが、多くの場合、「爪」 の不具合だったりします。爪って、

紙の咬をつかんで、紙を搬送して行くパーツなんですが、ズラズラと並んでる爪の、

例えば1本に、調整不良が有って、紙をシッカリつかむ事が出来なかったりしたら、

つかめなかった部分の紙が、たわんでしまいます。このたわみが、印刷の圧力で

絞られて、用紙の咬尻部分に不規則な歪を作り、刷り位置がズレてしまうワケです。

 

・・・こんな説明で、どうでしょうか?ダブリのメカニズムを、少しは理解して頂けたで

しょうか?実は、この他にもダブリの原因に成るものが有るのですが、基本的には、

今回の内容を、まず、理解して頂ければと思います。