印刷技術 トラブル | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

オフセット印刷ってヤツは、常に様々なトラブルと、隣り合わせです。

 

いつも私が言っている事ですが、オフセット印刷には、3つの不安定要因が有ります。

インキ、紙、そして水。温度変化で、カチカチやダラダラに変化してしまうインキ。

湿度の変化で、伸びたり縮んだり、表面の強度が変わったり、波打ってしまったりと、

カメレオンのように変化してしまう、紙。

 

そして水は、汚れたり、不純物が入って来たりする事で、どんどん劣化し、本来の

性能を著しく低下させ、汚れや乳化や、着肉不良、乾燥不良、網点の太り、ヒッキー、

・・・あげれば、キリが無いほど、さまざまなトラブルの原因に成ってしまいます。

 

話は変わりますが、昔の「レコード板」って、レコード板と、その凹凸を拾う「針」とが、

直接、接触して音を奏でていました。ですから、凹凸の中に、ホコリが有れば、その

ホコリの音を拾ってしまって、バチバチと雑音を出していたんです。

 

これが、非接触の「CD」に成って、雑音が皆無に成りました。我々の印刷の版も

同じです。フィルムで版を焼いていた時代は、小さなゴミが、イッパイ絵柄に成って

しまって、そのゴミを消すのに、どれほどの時間が掛かったことか。

 

版とフィルムが接触して、紫外線で焼いて行くので、版⇔フィルム間の密着が悪いと、

メチャクチャな版が出来上がってしまいます。もう本当に、超アナログの世界ですよね。

これが、非接触のCTPに成って、デジタルで版を作るように成ってからは、ゴミは皆無

だし、見当精度は抜群だし、良いところだらけです。

 

それに比べて、我々のオフセット印刷機って、どうですか? ローラーにしても、版や、

ブラン、そして最後の紙にいたるまで、圧力を掛けながら、接触と密着を繰り返して、

超アナログな方式を取っているのです。こりゃね、雑音が出て当たり前。ゴミが乗って

当然って言う世界なんですよ。

 

ボタンを押せば、誰にでもオフセット印刷が出来る。・・・んなワケがないですわ。

不安定な事が多く、トラブルだらけの、超アナログな生産形態です。絶対的な

技術力が必要不可欠なのです。正しい知識や理論なしでは、安定した生産が

出来ないのです。そうした事を可能にしているのが、オペレータ諸君です。

 

世の中の、オフセット印刷機オペレータ諸君!あなた達がやっている技術と言うのは、

本当に素晴らしいものなのです。・・・印刷会社に入社して、オフセット印刷機の担当に

成って、紙積みに明け暮れて、トラブルが起きるたびに叱られて、どれだけやっても、

思い通りに行かず、刷り直しや納期遅れ・・・、どれだけ悔しい思いをした事か。

 

何度も何度も、もう辞めよう!と、考えた事だろうと思います。

難しいからこそ、遣り甲斐が有るッ!なんて言う、根性論を持ち出す気などはサラサラ

有りません。物事はね、それを極めれば、全ての事が簡単に成るんです。「そう言えば、

昔、そんな事で苦労してたよなぁ~ハハハ」なんつって、ほとんどの事は笑い話に成って

しまうんですわ。この技術の道を極めて、いつか一緒に笑いましょう!