チョッと、高精細系の話が続いてしまいますが、今回は用紙と線数の話しです。
例えば、300線のような高精細を使っていたとしましょう。この300線ってヤツ、
かなり細かな網点です。この細かな網点を刷るのに、どんな用紙でも大丈夫か?
って言うと、こりゃやっぱり、アカンです。用紙を選びます。
例えば、表面がガサガサの更紙に、300線で刷って、何かイイ事が有るのか?
って言うと、何もイイ事は有りません。上質紙でも同じです。高精細ってヤツは、
印刷する紙の表面平滑度が、問題なんですわ~。
表面がガサガサな紙ってね、普通の175線でも辛いですよね。網点がツブレて
しまいます。そこで、もっと粗い133線なんてのを使うのが普通なんじゃないかな。
網点再現性が悪い紙に、細かな網点で刷ると、画像がツブレて、何の写真なのか
分からなく成ってしまうんですわ。
例えばです。昔の新聞と、今の新聞の写真画像を見比べてみて下さい。どれくらい
昔か?って言うと、フィギアスケートで言うなら、伊藤みどりさんの時代くらいです。
彼女が良い成績を残して、新聞の一面に、その写真が載ったのですが・・・。
正直ね、あまりキレイな写真では有りませんでした。顔の目と鼻と口を判別するのが、
精一杯なくらいの感じです。それに比べて、浅田真央ちゃん。新聞に載った彼女の顔
には、流れ出した涙の一滴が鮮明に映し出されています。
写真の技術も、みどりちゃんと真央ちゃんの時代では違います。画像処理の技術も、
もちろん違う事と思います。でもね、一番、違うのは、新聞の「紙」なんですわ~。
新聞紙は、ご存知のように再生紙です。決して良い紙では有りません。
ですから、みどりちゃんの画像が精一杯だったのです。・・・実はね、今の新聞紙はね、
塗工紙なんですよ。再生紙の表面に薄い塗工が施されて、網点などがキレイに出る
ように作られているんですわ。こりゃ、スゴイですよね。
正直ね、私も様々なテストをしましたが、微塗工紙や、軽量コート紙に300線で刷った
としても、それほどキレイな物には成りません。やっぱり質の良いコート紙が必要です。
今時、アート紙を使うケースは少ないかも知れませんが、最近のA2コート紙は表面の
平滑性が良く、本当に立派な品質で作られていますから、アート紙の存在価値が少々
薄れて来てしまっているようにも思います。
高精細・300線の場合、私は、好んで、サテン金藤を使っていました。紙の平滑度が
非常に良く、仕上がった時のダル感が最高でした。まぁ、白色度がチョッと不足して
しまっているのが、唯一の欠点といえば欠点でしょうか。
紙は木材から抽出したパルプ繊維で出来ています。必死に平滑性を出そうとしても、
こりゃなかなか難しい物が有ります。・・・そこで登場するのが、ユポなんです。ユポは
パルプ繊維など使わず、石油から作られた物ですから、その均一性、平滑性は抜群
なのです。300線等の高精細には、スーパーユポやウルトラユポなんて最高です。
ユポですからね、印刷の難易度は高いですが、もし高精細をテストされるのであれば、
一度は、ユポも試してみるとイイですよ。・・・いや、ウチは高精細なんて必要ないから。
そう言う人も多いと思います。でもね、もし、手持ちのCTPで、高精細を出力する事が
可能であるならば、ヒマな時にでも、是非、挑戦してみて下さい。高精細をウマく刷る
ノウハウが出来上がると、通常の175線の品質をね、大きくレベルアップさせる事が、
出来てしまうんですわ (^^)v