印刷技術 FMスクリーン | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

もうすでに、過去の遺物に近い状態かと思っていた、FMスクリーン。

これね、高性能な枚葉機でも、刷るのが、非常に難しいシロモノです。

 

もちろん、良いところもイッパイ有るんですよ。普通のAMスクリーンが網点の大小で

グラデーションを現すのに対して、FMは、網点の大きさを変えず、小さな網点の粗密、

つまり、グラデーションの明るい部分は、少ししか点を置かない。その逆に暗い部分は

点をイッパイ置いて表現すると言う方式です。

 

網点は・・・

例えば、C(シアン)の網点と、M(マゼンタ)の網点が、紙の上で重なり合ってしまうと、

濁った紫色で発色します。これが、超細かい網点では、紙の上での重なりを最小限で

抑える事が可能ですよね。そしてそれを見る人の目の中で、C とM が混合される。

 

すでに紙の上で重なり合って濁ってしまった紫色に対して、目の中で混合される紫は、

濁りの無い、メッチャ鮮やかな紫色で表現される事に成るんですわ。AM網点では、

表現不可能な蛍光色、例えば、エメラルドグリーンの海の色なんてのが、かなり良い

感じで表現出来てしまったりします。

 

AM網点でも、高精細にして行けば、蛍光色に近い色を表現する事が可能ですが、

FMの領域にまで持ち込む事は、チョッと無理だろうなぁ?って気がします。あとね、

FMスクリーンは、角度を持たない点ですから、モアレが起きません。これも大きな

特徴と言うか、FM最大の武器ですよね。

 

ただね、点が小さく成れば成るほど、印刷が難しく成ります。一番大変なのはですねぇ、

ドットゲイン、網点の太りの管理なんですよ。以前にも書きましたが、高精細に成れば

成るほど、網点が太りやすく成ります。(ドットゲインが出やすく成る)って事はですよ、

刷り始めから、最後の1枚、例えば5千枚目までの、色調のキープが非常に難しいって

事なんですわ。平たく言ってしまえば、色ムラを出してしまいやすいって事です。

 

1回の印刷で、色調を安定させるのが困難な物がですよ。例えば、1ヶ月前の増刷で、

同じ色で刷ってくれ。なんて言われたら、こりゃ半端なく難しいです。と言うか無理かな。

それとね、極小な網点ってヤツは、転移能力が劣ります。って事は、ブラン残り、つまり

パイリングが発生しやすいって事ですよね。

 

FMや、高精細に特化して、仕事をしてらっしゃる印刷会社さんが有ります。これはね、

本当に素晴らしい事だと思います。資材の選択、印刷機のメンテ、工場環境、そして、

それらの維持。何もかもが、バッチリな状態じゃないと、商売に成らない事と思います。

 

FMにしても、高精細にしても、色調再現性を高度にし、より高品質な印刷物を得る事が

一番の目的です。それをね、「インキ削減」を目的にして、輪転業界に勧めて行くのは、

こりゃ本末転倒、全くの間違いであると、私は思っています。

 

輪転でインキ削減がしたかったら、それが出来る「製版ソフト」を使う方が有効ですよね。

・・・いや、やってみたけど、ありゃ難しい。と言う人も居ますが、輪転で、FMや高精細を

やるよりは、100倍、簡単だと思いますよ。

 

あとは、私が担当している、コスモテックの、CFG を使うことですね (^^)v。

(たまには、宣伝させてくれ~(笑))