印刷ってのは、基本的には、「白い紙に、色の付いた絵柄(文字)を刷る」って事に
成るワケですが・・・。私が言う「色」ってのは、墨とかも、「無彩色」と言う名の、色と
言う解釈で表現していますので、墨も当然、「色」の仲間です。
紙に色を付けるために、当然のように必要に成るのが、「インキ」ですよね。
今回は、普通の、枚葉機用プロセスカラーインキを、チョッとだけ考えてみましょう。
一口に、そう言っても、今はいろいろ有りますよね。例えば最も一般的な物としては
「油性インキ」。そして、紫外線でインキを硬化(いわゆる乾燥)させる「UVインキ」。
それから、今、大流行の「高感度UVインキ」 なんて感じですかね。
この、それぞれを、「刷り易さ」で、順位付けしてみると、油性⇒UV⇒高感度UVって
感じじゃないでしょうか。・・・オレは、普通の油性機から、高感度UV機に替わった~。
なんてオペレータさんも多いかと思いますが、高感度UV機へと替わったばかりの頃
って、油性と高感度UVとの差が激しくて、いろいろ戸惑われた事と思います。
この二つの方式、何が違うのか?って言ったら、まず一番の違いは「乾燥形態」です。
油性は、空気中の酸素と化合する事による「酸化重合」って言う乾燥形態ですよね。
それに対して、高感度UVの場合は、紫外線を照射する事による強制乾燥方式です。
油性と高感度UVって、紫外線を当てるか当てないかだけの差?・・・こりゃ違います。
油性インキに紫外線を当てたって、何も乾燥してくれないですもんね。紫外線に反応
して硬化(乾燥)してくれるインキを使わなければ、UV印刷が成り立ちません。
ですからね、普通の油性インキには入っていない、「紫外線硬化剤」「硬化開始剤」
なんて呼ばれる物が、高感度UVインキの中には、入れられているんですわ~。
普通の油性インキが、一番、扱いやすい、刷りやすいインキです。1kg のインキの
中に絶妙なバランスで、様々な成分が配合されているので、発色も良く、ツヤも良く、
そして水幅も広いので、本当に楽に、良い印刷物を刷り上げる事が可能です。
硬化開始剤を入れて、この絶妙なバランスを崩しているのが、UVインキなのです。
だから、油性インキよりも刷り辛いインキに成ってしまっているってワケですわね。
あッ!一口に、UVって言っちゃアカンですね。UVと、高感度UVは違いますよね。
これまた、何が違うのか?って言うと、最も簡単に言ってしまえば、「紫外線の量」
なんですわ。UVは、複数本の紫外線ランプで大量な紫外線を当てる事が出来るん
ですが、高感度UVは、1本のランプ(LEDを含む)で、処理をしなければ成りません。
つまり、高感度UVの方が、紫外線の量が少ないってワケなのです。少ない紫外線で
インキを硬化させなければ成らない。と言う事は、UVインキよりも、高感度UVインキ
の方が、より多く、硬化開始剤を入れなきゃアカンって事に成るってワケなのですわ。
硬化開始剤の混入でバランスを崩したUVインキ。それよりも、より多く硬化開始剤を
入れなきゃ成らない高感度UVインキ。こりゃ大変ですよね。・・・正直ね、本当に大変
なんですわ。油性インキの気楽さでは、とても太刀打ち出来ない大変さです。
んでもね、流行して、多くの人が使ってくれるように成ったから、ずい分、改善されて
良く成ったんですよ。高感度UVが出だした当初は、本当にヒドかったんですから(笑)。
・・・最近、ちょくちょく見掛けるように成ったのが、高感度UVの輪転機です。
輪転機って、基本的には、ガスバーナーの熱風で乾燥をさせて行きますが、あれって
ケッコウ大変な設備です。それを高感度UVにしてしまった輪転機が、活躍しています。
輪転の人達も、高感度UVを勉強しなきゃ成らない時代に成って来てるんですねぇ~。
こりゃね、本当に大変ですよ~(笑)。