●質問
今年で60歳代に成る、印刷部門の管理者です。今までは、他部門におり
ましたので、印刷に関しては、あまり詳しくないのですが、宜しくお願い致します。
湿し水の、pHに関する質問なのですが・・・。
水槽を洗浄して、エッチ液2%で、新しく湿し水を作った時のpHが、4.2でした。
2%の定量添加で、1週間、印刷をしたら、pHが、7.0に成ってしまいました。
7.0は中性ですよね。湿し水が普通の水道水に成ってしまったので、これでは
インキの乗らない所に汚れが発生してしまいます。エッチ液の添加量を増やす
べきだと思うのですが、どうでしょうか?
●回答
ハハハ、60代の初心者さんですか。私、年寄りには、メチャ厳しいので、覚悟して
読んで下さいませ。特に、管理者と言う者の責任は非常に重大です。そんな重大な
ポストに、なぜ初心者を置くのか、私には理解不能ですが、そのポストに就いた以上、
死に物狂いで勉強して下さい。そうした意味も込めて、超厳しく解説します。
あなた、私のブログや、私の書いた本とか、読んでます?読んでないですよねぇ。
それどころか、印刷に関して、全く勉強してないでしょう。・・・と、安易に突き放すのも、
何なんで、まぁ少しは解説させて頂きますが、あなたも、印刷に携わって給料を貰って
いるのなら、それだけで立派な「プロ」なんですよ。プロであるなば、プロとして恥ずかしく
ない、最低限の勉強くらいしましょうよ。
まずは、「インキの乗らない所」と言う表現。・・・ド素人丸出しですわ~。例えばですよ、
「リンゴ」と言う名称を知らない人に、リンゴを説明する時、「あのねぇ、丸い形をした
赤色の果物で、食べると少し甘酸っぱい感じのヤツ」とか、言ってたら、そりゃ、小学生
以下の、幼稚園児に話しているようなもんですわねぇ。
せめて、「非画線部」ってくらいの言葉は覚えましょう。そんな言葉、技能検定の勉強を
するまでもなく、印刷に関する書物とかを、少しでも読んだら、普通に出て来る言葉です。
もし「不感脂化」なんて言ってくれたら、それだけで、話が盛り上がるんですけどね。
エッチ液を入れた湿し水のpHが、7.0に成ってしまったら、普通の水道水に成ってしまうん
ですか?それ、どなたに教えられたんでしょうねぇ。私としては、ヘタな漫才ネタよりも、
数倍おもしろい冗談としか思えませんわ~(爆笑)。
例えば、水道水に砂糖を入れて、砂糖水を作ったとしましょう。砂糖は水に溶かしても
電離しないので、砂糖を入れる前のpHと変化は出ません。つまり、中性と言う事です。
でも、砂糖が入っていますから、それを飲めば、当然、砂糖の味がしますわね。
この砂糖水に、レモンを絞った汁を入れてみましょう。レモンは pH2 とか言われてますから、
当然のように、pH が下がりますわね。それを飲んだら、酸っぱいかも知れませんが、確実に
砂糖の甘味が残っていますよね。・・・同じように、今度は、砂糖水に、ほうれん草の絞り汁を
入れてみましょう、いわゆる、青汁みたいな感じですわ。
ほうれん草は、pH 10 とか言われてますから、こりゃ pH 値は上昇します。それでも、砂糖の
成分が無く成ってしまうワケでは無いですから、これを飲めば、やはり砂糖の味がしますでしょ。
そうした事と同じなんですよ。エッチ液を、2%添加した湿し水は、pH が7に成っても、決して
純ナマの水道水に成ってしまうワケではないのです。ちゃんと、エッチ液成分が残っています。
湿し水の、pH が上がるとか、上がりやすいとか言う話は、「バッファー」「緩衝剤」なんて言う
メチャ難しい話に成ってしまうので、この場では止めておきますが、ネットで検索すれば、
そうした言葉の解説も、いろいろ出て来ますので、その気が有れば、勉強してみて下さい。
「管理者」と言う、あなたの立場では、あなたの方針一つで、その現場のレベルが決定されて
行ってしまいます。今更、オフセット印刷・1級技能検定に合格しろ!とまでは言いませんが、
せめて、2級技能の学科試験に合格出来得る勉強くらいは、しないとアカンですよ。