印刷Q&A 冷却タンク内の泡 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

何気なく、湿し水の冷却管理タンクを覗いてみたら、洗濯機のように、

大量の泡が出ていました。これは、放置しておいてはいけないんですよね?

放置しておくと、どう成ってしまうのか、どうやったら泡が消えるのか、など

教えて下さい。(御社のTOP-ONEです)

 

● 回答

 

あらら、ご迷惑をお掛けして、大変申し訳有りません。

とりあえず、泡の発生はアカンです。この泡が、冷却管理タンクから、水舟にまで行って

しまうと、湿し水の調量ローラーにまで、小さな泡が付いてしまう場合が有るんですわ。

 

こう成ると、湿し水がダバダバに上がってしまって、まともな印刷が出来なく成って

しまいます。我々も、印刷工場にお邪魔させて頂くと、必ず、冷却管理タンクの水槽を

見させて頂いて、泡が立っていないかを確認します。

 

本当に良好な所では、水槽の水面が、全く泡の無い状態に成っており、湿し水も、

金魚が住めるんじゃないか!ってくらい綺麗だったりします。この状態が一番良いの

ですが、なかには、やはり、シッカリ泡立ってしまっている工場さんも有ります。

 

泡立つ原因は様々なんですが、多いケースとしては、戻り水のホース等や、その

ジョイント部分が老朽化してしまって、そこから、エアーを吸い込んでしまっている

ってヤツです。この場合は、当社のサービスに伝えて頂ければ修理が出来ますので、

当社、各支店等にご連絡を下さい。

 

・・・実は先日も、スゴい泡立ちのケースが有りまして。行って調べさせて頂いたら、

エアー吸い込みの形跡はナシ。本当にメチャクチャな泡立ちだったので、何か大きな

原因が有るだろうと断定し、その現場さんで使われている、洗浄液等を調べさせて

頂いたのだそうです。

 

インキローラーの洗浄液とかってね、ローラー上に残ってて、その残った物が、湿しの

ローラー →水舟 →冷却タンク と、流れ込んで来る場合があるんですよ。もし万が一、

この洗浄液に、泡が立つ物が有ったりすると、大変なんです。まぁ普通は無いんですが。

 

調べ方は簡単です。バケツに水道水を汲んで、その中に少量の洗浄液を入れてやって、

それから、チョッとハデ目に攪拌(かき混ぜ)してやるんですわ。もし、この時、バケツの

中の水道水が泡立ってしまったら、こりゃアカンです。

 

その現場さんでは2種類の洗浄液を使われていて、一つは通常の洗浄油。もう一つが、

色替え時に使うための溶剤なのだそうで、通常の洗浄油と、この溶剤を混ぜ合わせて、

印刷終了時の、ローラー洗浄に使われているのだそうです。

 

この、色替え時の溶剤が、先ほどのバケツ攪拌で、見事に泡立ちを起こしました。

なんで、こんなに泡立つ物を使ってるのかな?と、溶剤メーカーさんに問い合わせて

みましたところ、この色替え溶剤、ローラーにインキが残っている状態の時に散布して、

その後、数分間、印刷機を空転させてから、通常通りにローラー洗浄を行うってのが、

正しい使い方なのだそうです。

 

この使い方を無視して、通常の洗浄油に混ぜて使ってしまったので、それがローラーに

残ってしまって、湿し水のタンクに入り込み、異常な泡立ちを起こしたって言う推論が

成り立ちますわね。

 

そこで、湿し水を全て抜き取り、新しい物にして、この溶剤の使用を停止してもらった

ところ、泡立ちがスッカリ消えたそうです。 どんな物でも、そうなんですが、メーカーの

指定と違った使い方をすると、こんな弊害を招く事も有りますので、こりゃ要注意ですね。