●質問
高感度UV機を導入して、半年以上が経過しましたが、未だに苦戦しています。
一番苦労しているのが、汚れの問題で、ちょっと水を絞れば汚れるし、逆に、
ちょっと水を多目にすれば、濃度が淡く成ってしまうと言う繰り返しです。
エッチ液を替えたり、インキやブランを替えたりと、いろいろやっているのですが、
なかなか決定打が無く、困っています。何か良い方法は無いでしょうか。
●回答
そうなんですよ。油性機から、高感度UV機に替わると、まず苦労するのが、この
水幅の問題なんですね。どうやって調整して行ったら、自分の理想に近付いて
くれるのか?・・・本当にね、皆さん、苦労されていますね。
湿し水を絞れば汚れる、上げれば淡く成る。この、下限と上限の範囲を「水幅」と
呼んでいますね。・・・「このインキは水幅が広いから使い易い。」とか「このエッチ液に
替えたら、水幅が広く成って、楽に成った。」なんて事を言ったりしますよね。
確かにね、インキやエッチ液を替えると、劇的に変化する場合が有ります。でもね、
ここは、今一度、基本に立ち返って考えてみましょうよ。オフセット印刷の基本って
ヤツはね、あくまでも「インキと水のバランス」なんですわ~。
ヘタクソな人、・・・表現が悪いですね。 あまり、上手ではない人は、後追いで、
湿し水の量を調整して行く傾向が強いです。まぁ、もっと上手でない人ってのは、
湿し水の目盛りを、1年中、朝から晩まで常に一定で固定してしまって、知らん顔で、
ヒドい品質の物を刷っていますが、この際、そうした方は、チョッと除外して・・・。
「後追いで湿し水の量を決める」って言うのはですねぇ、「汚れた」と言う現象を確認
してから、水を上げるって言う、やり方なんですわ~。・・・まぁほとんどの方が、この
やり方で刷っているのではないかと思うんですが、そう言う意識で、高感度UVを扱う
ってのは、こりゃね、苦労をするばかりなんですよ。
オペレータってのはね、印刷をオペレーションする人の事を言います。
つまりね、自分の印刷機や紙やインキや、その他の全てを、自分の手の中で制御
しきる事が出来なければ、オペレーションしているとは、言えないんですよ。
「汚れと格闘している」なんて言うのは、オペレーションしきれていないと言う、最も
顕著な症状です。今回の質問者さんの質問内容を読む限りでは、「インキの出し量」
って事に対して、オペレーションが出来ていないように感じます。
朝、一発目の仕事で、最初にインキを、ローラー上に撒き過ぎてしまったら、こりゃもう
その日、一日中、汚れとの闘いに成ってしまいます。初期状態のインキを少な目にして、
水も少な目からスタートして、バランスを取りながら、作り上げて行く。
そうした、基本に忠実な、丁寧な立ち上げを、朝の一発目に心掛けてやれば、その後も、
非常に制御しやすい状態をキープし易く成ります。こうした基本をシッカリ踏まえた上で、
インキやエッチ液等の資材を選んで行って下さい。
出し過ぎてしまったインキを制御出来るような、そんなスゴいエッチ液は、今のところ
存在していません。水幅が狭い高感度UVだからこそ、インキと水のバランス取りを、
油性の時よりも、もっともっと慎重にやってやる。それだけの事で、ずい分楽に成ります。
と言うか、逆に言うなら、こうした基本的なオペレーションが、シカッリ出来ていないと、
資材選びとか、その資材の良し悪しなんて、分かるはずが無いんですわ~。とにかく、
とりあえずは、朝一番を慎重に!インキは少な目に出して制御し、湿し水も、それに
伴って少な目で制御すること。
春夏秋冬に関係なく、毎日、天候も気温も湿度も変化しています。毎日、同じ立ち上げ!
なんて言うズボラは、通用しないんだと思って、朝一だけでも、シッカリやってみて下さい。