印刷Q&A ユポとグリセリン | 1級技能士・成田の印刷技術

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●質問

 

今度、久し振りに、ユポを刷る事に成りました。ユポには、あまり慣れていないので、

復習の意味で、ネットで検索して、刷り方の注意事項等をチェックしていましたら、

ユポさんのホームページ上で、次のような、恐ろし気な文章を見付けました。

 

「特に、グリセリンを添加した湿し水などは、大変危険です。」

 

これは、どう捉えればよいのでしょうか?ユポがグリセリンと反応して、溶けてしまう

とか、最悪の場合、化学反応を起こして爆発してしまうとかって言う話なのでしょうか?

自分が使っているエッチ液に、グリセリンが入っているのかどうかも分かりませんし、

溶けて有毒ガスが発生したり、爆発したりしたら、大変なので、対応策を教えて下さい。

 

●回答

 

私も、ネットで検索してみました。確かに書いて有りますねぇ。 大変危険です

って書いてあるくらいだから、本当にヤバいんでしょうね。こりゃねぇ、ユポを刷る場合は、

有毒ガス対策で、防毒マスクをするとか、爆発対策で、機動隊のような、金属製の盾で

身を隠しながら印刷せにゃアカンって感じの勢いですよね。

 

とりあえずね、今時のエッチ液で、グリセリンが入ってる物なんて、まず無いですから、

その点は、一つ安心出来ますよね。んでもって、なんで「大変危険」なのかは、私にも

分かりませんでしたので、ユポの技術さんに電話して聞いてみました。そしたら・・・

 

「ええッ!そんな文章、未だに残ってますッ!?」 なんつって、ビックリされてましたので、

「このページの、ここに有ります。」って言ったら、「すぐに削除しますッ!」っておっしゃって

おられたので、もう、すでに削除されて、無くなっているかも知れません。

 

ユポさんとしては、ユポ印刷の時には、アルコールを添加する事を勧めておられるん

ですが、その昔、ノンアルコール化のために、エッチ液にグリセリンを混ぜた物が有ったん

ですよ。もうすでに、20年以上も昔の話だと思います。

 

アルコールはね、揮発性が高いですから、版面→ブラン→紙へと転移して行くうちに、

ほとんど、飛んで無くなってしまうんですが、グリセリンは揮発性が低いので、残って

しまって、ユポにまで届いてしまうんですね。

 

そうなれば、乾燥不良だとか、乳化だとか、簡単にトラブルを招いてしまうので、

大変危険です と言う表記をされたのだそうです。・・・なんかね、そんな書かれ方を

されてしまうと、命に係わるような危険が有るのかッ!って、ビックリしちゃいますよね。

 

物事は、常に進化しています。古いままのマニュアルでは、通用しない事柄も、当然のように

出て来てしまいます。ですから、メーカーさんの方でも、常に改訂作業をされているのですが、

気付かない事も多々有るワケで。「今回は質問者さんのおかげで、正しく改訂する事が出来

ました。ありがとうございます。」と、お礼を申されておられました。

 

しかし、大変危険です って、質問者さんじゃなくても、心配に成ってしまいますよね。