印刷Q&A 水飛び | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

高感度UV(LED)ノンアルコールの菊全機を使っています。
先日、4/6半裁の厚紙(0.25以上)のロングランの印刷時のみ
水飛びが起きたのですがなにか特別な理由は考えられるでしょうか?

やはり水が余ってくていることはわかるのですが菊やA、4/6の薄紙などでは
トラブルなくいっているので悩んでいます。ちなみに菊全以上もかなり
印刷していますのでやはり水の調整を見直したほうがいいのでしょうか?
ニップ幅は全胴確認でokでした。H液の影響もあるのでしょうか?

●回答

「水飛び」ですか、あれはイヤですね。後から検品するのも大変ですもんね。

おっしゃるように、大きな機械(菊全)で、小さな紙(4/6半裁)とかを刷ると、
紙が通らない両サイドの部分の水が余ってしまって、濃度が不安定に成ったり、
悪くすれば、今回のような、水飛びにまで発展してしまう可能性もあります。

しかも、高感度UVは、水幅が非常に狭いので、その制御は本当に大変だと
自分の経験からも、メチャ良く分かる話なんですわ~。・・・でもね、水飛びと
紙の厚みってのは、無関係だと思うんですよ。

厚い紙だから水が飛ぶ、薄い紙だから飛ばない。って言う理由を探すのは、
こりゃチョット難しいですよね。どちらかと言えば、絵柄の問題が多いのでは
ないでしょうか。

厚紙の方は(紙の銘柄が分かれば、もう少しアドバイスが出来そうですが・・・)、
絵柄が重いか、または、いやらしい(絡みやすい)平網が多いとかで、どうしても
湿し水が上がりぎみに成っているとかは、ないですか?

その他で考えるなら、機械の回転数かなぁ。厚紙の方は、回転数が遅めで、
薄紙の方は、回転数が早めだとしたら、水の挙動も変わって来るかと思います。

あとは、ローラーのグレージング状態とか、どうでしょうか?UV経験者なら、
分かると思いますが、UVのローラーグレージングって、半端ないですよねぇ。
例えば、ローラー両端のグレージングが激しいと、その部分のインキや水の
流れが、おかしく成ってしまうので、これも水飛びの原因に成ります。

しかし、ノンアルコールで頑張ってらっしゃるんですね。
まぁ、工場環境にもよりますが、高感度UVとかは、本当に水幅が狭いですから、
それを少しでも手助けするために、代替アルコールを、3%程度でも添加して
やると、かなり楽に成ると思います。

このあたりは、会社の方針とかも、いろいろ有ろうかと思いますが、油性の
高性能なインキと違って、高感度UVのインキってのは、性能的に劣る部分が
多々有りますので、私は、代替アルコールの使用を、お勧めしたいです。

高感度UVのエッチ液に関しては、今のところ、全て一長一短だと思います。
水を少し上げただけで、急激に濃度が下がってしまう物とか、印刷品質的には
非常にイイんだけど、極端に調量ローラーに絡みやすくて、水の安定供給に
悪影響が出やすい物など、さまざまですわ~。

あまり良い回答に成っていないと思いますが、ローラーグレージングの件と、
代替アルコールの使用に関する件など、検討してみて下さい。