印刷Q&A 水飛び2 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

銘柄はアートポスト240Kで絵柄はパチンコ関連の表紙で柄は結構重たく
網、ベタともに同じ割合くらいです。回転数は9000回転くらいです。
絵柄の部分は汚れが発生するほど水も絞れてはいましたが・・・
両サイドからとんでました。
グレージングは定期的に磨いていい状態を保つようにはしています。

●回答

ふむふむ。やはり絵柄は重いんですねぇ~。
グレージングは、定期的に、ローラーを磨いてらっしゃる。
そりゃ、たいしたもんですわ~。

んでは、今回は、チョット高度な回答を書かせて頂きますね。

問題はやはり、湿し水の量と質なのではなかろうかと思います。
「絵柄の部分は汚れが発生するほど水も絞れてはいました」
との事ですが、「汚れの発生=水が絞れている」と言う公式は、
成り立たない場合が多いんですよ。

必要以上にインキの量が多ければ、水飛びするくらい水が上がっていても、
絵柄が絡む場合が有ります。もっと言うなら、水が多過ぎて乳化してしまえば、
水飛びもするし、絵柄も汚れるし、と言う状態にも成ります。

こうした場合、エッチ液の性質の問題がケッコウあるんですよ。
最近のエッチ液は、非常に強い物が多くて、チョット水を上げ気味にしただけで、
一気に絵柄の濃度が下がってしまう物も有るんですわ。濃度が下がるからインキを
盛る。すると、また汚れるので、水を上げる→濃度が下がる→インキを盛る→

なんて言う、恐ろしいスパイラルに入り込んでしまう場合も有るんですね。
アートポストって言う紙は、インキの盛り量に対して、許容範囲の大きな紙とは
言い難い部分が有りますので、どこかで、無理なバランスに成ってしまっている
ような気がします。

グレージングもOK、ニップもOK、そうした物理的な部分が全てOKである
からこそ、他の紙ではなんの問題も無く刷れているのですから、そうした点に
関しては万全ですよね。しかしながら、アートポストでは水飛びが起きてしまう。

ならば、あとは、アートポストと言う紙の特性、そしてインキと水のバランス
なんてところに問題が有ろうかと思います。・・・盛り盛りのアートポストの
ロングランって、ケッコウ難しいですよ。

本当は、代替アルコール3%の添加をお勧めしたいんですが、それがダメなら、
一度、徹底的にエッチ液のテストをされてみてはいかがでしょうか。