校正刷り | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

ブログで~す。

ウチの会社(株式会社タツミ)は、もともと、校正刷り屋さんだったんです。
平台校正機ってヤツを、何台も並べて、校正刷りを専門にやってました。
今でも、4色の平台校正機(B全判)が、1台だけ稼働しています。

今時は、平台校正機よりも、本機(普通の4色機)で校正刷りを作った方が、
作業的にも楽なので、本機校正も多く成っているのですが、こっちの方は
少し変わった事情の仕事が入って来たりします。

先日も、こんな仕事がありました。・・・他所の印刷屋で刷ってもらったんだが、
色調が悪くて、クライアントからクレームが来てしまった。刷った印刷会社の
話では「標準濃度で刷った」と言って、クレームを認めようとしないのだが、
本当に標準濃度で刷ったら、こんな色に成ってしまうのかを、校正刷りで検証
して欲しい。

食品系のパンフのような印刷物でした。一目見て、その食品系が、とても
まずそうな色をしてるんですよ。藍がとっても強くて、暗い感じの仕上がりで、
こりゃクレームに成るわなぁ~。と言うレベルです。

本来の色調見本は、インクジェットのプリントアウトだったので、こりゃまぁ
あまり参考には成りませんが、それでも、けっこう美味しそうな色調でした。
それに対して印刷物の方は、こりゃまぁ、見事なくらいにまずそうな仕上りで、
これほどまずそうな仕上りでは、こんな食品、誰も買わんわ~。てな感じです。

とりあえず、ウチの本機で、刷ってみたら・・・。いや、これがですねぇ、実に
美味しそうな仕上りなんですよ。

クレームの印刷物は、藍を盛り過ぎたのかな?と調べてみたんですが、それほど
盛り過ぎてる様子はなし。んじゃ、網が変なのかな?と、ルーペで覗いてみると、
こりゃビックリです。5%~10%くらい、藍と墨の網点が太ってしまっているん
ですよ。これでは、まともな色調が出るワケないですわ~。

でもね、これを刷った印刷会社さんでは「標準濃度で刷った」と言っています。
確かに濃度的には、標準だと思うんですが、この網点はアカンですよ。明らかに
印刷機の方でトラブって網点が太ってしまっている事が分かります。

これを刷った印刷機、墨と藍に大きなトラブルを抱えていると推測されます。
このままの状態で印刷を続けると、印刷機に大きなダメージを与えてしまう
可能性が有ります。

皆さんの所でも、濃度の数値だけではなく、ドットゲインの数値も見てやって
下さい。また、自分の印刷機の網点を、自分でルーペで見て評価するってのも、
とても重要な事ですから、そうした技術も身に付けて下さい。印刷機械と自分の
仕事を守るためには、とっても重要なことです。