現場を見る | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

ブログで~す。

「100円課長」って言う、ケッコウ有名な(だった?)話が有るんですよ。
大きな会社で、社員食堂の利用率が、最近、減ってしまったので、この課長が、
改善に乗り出したのですが、「そりゃ、おかずの質が粗悪だからだ。おかずに
掛ける代金を、100円アップして、美味しい物にすれば利用率が上がる」

てなワケで、1食あたり100円のグレードアップをしたのですが、利用率は
一向に上がりませんでした。・・・実は、利用率が悪く成った本当の理由は
他に有って、その社員食堂では、冷えてしまったおかずを提供していたんですね。
社員達は、暖かい物が食べたくて、外食に出ていたのだそうです。

改善を行う場合は「必ず現場を見ろ」と言う教訓を教えた、100円課長と言う
お話しです。ご存知の方も多いかと思います。

私も、印刷技術コンサルタント、とか言うような仕事をさせてもらってるんですが、
この仕事も、現場を見る事の大切さを痛感させられる事が、実に多いんですよ。

ある時、地方の印刷会社さんから、印刷サンプルが送られて来て「ウチの印刷物には、
メリハリが無い。と顧客に言われるんですがいかがでしょうか?」てな相談が有りました。
印刷物を見ると、まぁ確かに、メリハリの無い、眠たい印刷物でした。

湿し水が多い。乳化ぎみ。インキが軟らか過ぎる。など、思いつく事を指導したんですが、
招かれて、その印刷会社さんの現場に行ってみると、本当の理由は、全く違ってました。
印刷の方は、ケッコウ上手いんですよ。悪かったのは、刷版(CTP)のトーンカーブの
設定だったんですわ。

なんで、こんなヘンテコリンなカーブ使ってんの?ってくらい、意味の分からんカーブで
刷版を出力してたんですね。それを、ほぼリニアにしてもらって、同じ絵柄を再出力して
実際に印刷したら、メリハリがバンバンの、輝くような印刷物に成りました。

またある時は、九州の印刷会社さんから、裏移りが激しいので、オペレータの指導を
して欲しいと、経営者さんから依頼を受けたんですわ。これも、現場に行ってビックリ
でした。その印刷会社さん、暖房が全くダメ。菊全機2台の、割と大きな工場なのに、
家庭用の石油ストーブが1個あるだけですもんね。

こりゃ、オペレータの指導じゃねぇ~わ。社長さんと、専務さん、そこに座りなさいッ!
印刷をナメちゃあかんですぞ。オペレータの吐く息が白く成るような工場で、まともな
物が刷れるワケが無いやないですかッ!と、社長さんと専務さんを1時間、指導。

今でも、こうして、Q&Aを書かせてもらったり、他のサイトで、改善策を書かせて
もらったりしてるんですが、本当は、その現場に行きたいです。正しい回答は、その
現場を見ないと、絶対に分からんと、思っております。