印刷Q&A 汚れ対策 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

印刷会社で工務をしています。このところ、版キズや絵柄のゴミ乗りなど、
ちょっとした事でもクレームに成ってしまって、刷直しが多く成ってしまって
います。当社のオペレータが高齢で、細かいキズ等が見えていないと言う事も
原因の一つなのですが、他社さんでは、どのような対応をされているので
しょうか。差支えの無い範囲で結構ですので、お教え頂ければ幸いです。

●回答

そうですね。版キズや汚れに関しては、本当に厳しく成っていますね。
昔から、医療関係の物は、とても厳しかったのですが、私もこの歳に成ると、
細かい物が見え辛く成っていますので、照明付きの大きなルーペを入手して、
厳しい物に関しては、それで、隅から隅まで見るようにしています。
完全に確認してから、刷り出し開始ですね。

私が嫌いなのが、小さな印刷物が、多面付けしてあるヤツですわ~。
例えば「名刺」。小さな名刺をイッパイ付けて、大きめの紙で刷るなんて
場合なんですが、さっと見ると、あっイイな。刷出そう。って刷って
しまうんですよね。

これがね、実際にお客さんが使われる場合は、当然の話なんですが、1枚の
名刺サイズで、ご覧に成るワケですよね。多面付けされてる時は分からない
のに、小さな名刺サイズに成ると、キズや汚れが目立つんですよね。

他社さんで、よく見かけるのが、機長と補助の人の二人掛かりでの検査ですね。
本刷り前の段階で、二人掛かりで検査して、その上でGOするみたいなやり方
ですわ。

あと、検査専属の人を一人置いて、その人が専属で、全ての印刷機の刷り出しを
確認しているって所も有りますね。刷直しばかりするよりも、一人分の人件費の
方が安いって事ですね。

とにかく、現場に任せっ切りの野放し状態ってのが、一番アカンですよね。
現場と工務で、よく話し合って、どうやって見て行くかを考えてみるとイイですね。

自分が、もともと機長だったから、どうしても機長側の肩を持ってしまうんですが、
機長ってね、例えば、色調がなかなか出ないとか、なかなか安定しないとか、
湿し水の調整が思うように行かないとか、いろんな事に気を取られてしまって、
なかなか、版キズとかに集中出来ない事が多いんですよ。

もちろん、キズや汚れを確認する責任は、全て機長にあります。でもね、
補助の方なり、管理側の人間なりが、少しだけでも、手助けしてあげられるような、
そんな体制を取ってあげないと、キズ、汚れに関する根本的な改善は難しいと
思いますよ。