●質問
ジャパンカラー2007のコート紙用ベタ濃度でコート紙に印刷したらOKをもらえるのですが、
マット紙にマット紙用ベタ濃度で印刷したら薄くなってOKがもらえずコート紙の濃度位で
OKが出ます。これってCTP出力や製版に問題があるのでしょうか?それとも印刷に問題が
あるのでしょうか?製版の方に聞くとCTP出力キャリブレーションは用紙に関係なく
リニアで出力してるそうです。それとジャパンカラー2011はコート紙だけになっています。
マット紙で印刷するにはどこを目標値にしたらよいのでしょうか?
●回答
おおッ!こりゃなんとも、私の苦手な質問を頂いちゃいましたねぇ。
まず初めに、ジャパンカラーに対する、私の考え方を紹介せにゃアカンですね。
正直なところ、「ええッ?ジャパンカラー?なにそれ?それって何か意味が有るの?」
ってのが、私のジャパンカラーに対する考え方です。ジャパンカラーで印刷して、
ノークレームで納められるような印刷物なんて、私の周りには存在してないですもん。
質問者さんの会社では、色調見本とか、無いんですか?ただ単に、濃度を合わせれば、
それでOKなんですか?通販系の印刷会社さんなら、ジャパンカラー準拠とか言って、
濃度の数値だけで生産が出来るのかも知れませんが、我々のような小さな印刷会社では
数値よりも「見た目」が大切で、それで顧客満足度を満たして、仕事をしてます。
え~っと、そんな愚痴みたいな事ばかり言ってても仕方がないんで、回答をさせて
頂きますが、私は、濃度計が嫌いです。あんな不確かな機器は、存在すら認めたくない
ってくらいに嫌いです。(まぁ他に無いので、普通に使ってはいますが)
ましてや、そんな不確かな機器で、ドットゲインとか、トラッピング量とかを測って、
印刷品質がうんぬん、なんて言ってる場面を見ると「アホかいな」と思ってしまう
くらいに、嫌いなんですわ。ですから、濃度計絡みの質問だと、メチャ否定的な回答に
成ってしまいますので、その点を差し引いて読んで下さい。
え~っと、マットコートをジャパンカラーの濃度で刷ったら、淡くてアカンかった、
CTP出力がアカンのか、製版がアカンのか、印刷がアカンのかって質問なんですが、
これはですねぇ、濃度計がアカンのと、ジャパンカラーの数値を決めた人がアカン
のですわ~。(ほら、否定的でしょ)
我々がマットコートを印刷する時に測る濃度って、こりゃ、印刷直後のウエット状態で
測る事に成りますよね。(油性の場合)・・・そりゃ当然ですわねぇ、乾燥するまで待って、
そこで測って、インキの制御をしてたんでは、仕事に成らんですもんね。
それに対して、ジャパンカラーの数値を決める人は、完全にドライの状態で計測するしか
手が無いんですよ。ドライダウン後の淡く成った状態で計測して、それで、1.20 とか
っていう数値を決めたんですね。
我々はウエットの、ドライダウン前の状態でしか測れないので、ここで 1.20 とかで
刷ってしまったら、ここからドライダウンして、かなり淡く成ってしまいます。
これでは、アカンに決まっていますよね。
濃度計メーカーに言わせると、ドライダウン後の数値も測れます!なんて事を言う所も
有るのですが、そりゃ、ウソですわ。光学機器である濃度計が、物理的なダウンまで、
正確に測れるワケが無いですもんね。
それやこれやのトラブルが有って、ジャパンカラー2011とやらでは、マットコートの
数値掲載が無く成ったのではないでしょうか。
さて、最後の質問「マット紙で印刷するには、どこを目標にしたら良いか?」ってヤツ
なんですが、こりゃ数値じゃ語れないですよ。ドライダウンってヤツはオペレータの
技量によって、大きく異なる場合があります。使っているインキや、環境によっても
大きく左右されます。
数値にこだわり過ぎてはアカンです。お客さんが「良い!」と言ってくれる物が、
一番良い品質なのですよ。その、お客さんの「良い!」をサンプリングして、自分で
数値を求めてみて下さい。
ただし、ドライダウンってヤツは、インキの硬さや、気温、湿度なんて言うのでも
随分と変化が出てしまいますから、年間の四季を通じて、常に同じ数値では、全く
アカンと言う事も覚えておいて下さい。