印刷Q&A 印刷スピード | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

先日、「生産量をマネージメントする」と言う話が有りましたが、
成田先生のおっしゃるような生産量を刷り上げる事は、当社では
出来ておりません。私は生産管理の部署におりますので、実際の
作業に関しては、理解しかねる事も多々有りますが、どのような
状況で、計算通りの生産が出来なく成っているのでしょうか。
何か事例が有りましたら、ご紹介頂けると幸いです。

●回答

あるマンガの話なんですが(頭文字ナンチャラ)、その中に登場する
ベテランの走り屋さんが「盤石のコントロール」って話をするんですよ。
どんな状況に於いても、決して破綻しない。アクシデントを全て想定して、
決して動揺せず、盤石のコントロールを行うって話です。

技術屋の神髄って、ここに有るような気がします。あらゆる事を全て想定済み
にしてしまって、想定の範囲内だから、全ての事を確実にコントロールし切る。
って感じですわ~。

実は先日、私が立会いをしなければ成らない印刷物が有りまして。何の事はない、
墨の1色刷りを、450枚刷るだけのことなんですが・・・。とりあえず、朝一から
刷ると言うことなので、9時前に工場に入ったワケですわ。

30分くらいで済むと思っていたら、これが、とんでもない事に成りました~。
まず、刷り出してみたら、前回見本に対して、ぜんぜん濃度が足らないんです。
いくらインキを盛ってみても、濃く成って来てくれない。

これじゃ、濃度不足だから、もっとインキを盛ってね。と言う注文に対して、
試し刷りを繰り返しているのですが、この試し刷りが、これまた、紙が出ない。
バタバタと止まってばかりなので、試し刷りが全く進行して行かない。

そんなさぁ、ベタベタのヤレ紙を使うのは止めようよ。どんなに調整したって、
そんな紙、なかなか出ないと思うよ。予備紙はシッカリ入ってるから、本紙のみ
で試し刷りしてよ~。

・・・しかし、いくらインキを盛っても、やはり濃度が上がらない。これってさぁ、
ブランケットがダメなんじゃない?何か無理して圧を掛けて刷ったりしてない?
そう言えば、昨日、かなり無理して刷った物が有りました。

んじゃ、ブランケット、新品と替えようよ。・・・てなワケで、時間がどんどん
過ぎて行き、たった450枚の1色刷りを刷り終えたのが、11時でしたわ~。

これってね、紙も、印刷機も、資材も、全くコントロール出来てませんよね。
症状が起こったから、それに対して、迷いながら対応してるってだけですわ。
こう言うのって、オペレーションとは言わないですね。つまり、これでは、
オペレータとしての仕事をしていないって事なんですよ。

あらゆる事を想定して、全てを準備(コントロール)しておくこと。
破綻は全て想定内。こうなったら、こうする。と言う、盤石なコントロールが、
淀みのない、スムーズな生産性を生んで行くんですね。

トラブルを先読みして、トラブルに成ってしまう前の段階でコントロールする。
オペレーションと言うのは、そう言う事だと思いませんか。